更新日: 2022.06.20 生命保険

「相続対策」におすすめ? 「一時払い終身保険」のメリットやデメリットを解説

執筆者 : 荒木和音

「相続対策」におすすめ? 「一時払い終身保険」のメリットやデメリットを解説
退職金の使いみちに困ったら、選択肢の一つとして「一時払い終身保険」への加入があげられます。
 
本記事では、老後の資産形成や相続対策などさまざまな活用方法がある一時払い終身保険を取り上げ、そのメリットとデメリットについて解説します。

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荒木和音

執筆者:荒木和音(あらき かずね)

2級ファイナンシャルプランニング技能士

一時払い終身保険とは?

一時払い終身保険とは、契約時に保険料をまとめて1回で支払うタイプの死亡保険(終身保険)のことです。被保険者(保障の対象者)が亡くなった時に、受取人として指定された遺族が死亡保険金を受け取れる仕組みです。
 
受け取ったお金は用途が決められていないため、葬儀費用のほかに遺産として遺族に遺すこともできます。保険金の受け取りと保険料の払込みをともに日本円で行う「円建て」のタイプだけではなく、米ドルや豪ドルで受け取り、保険料の払込みをする「外貨建て」のタイプもあります。
 
一時払い終身保険の一般的な保障内容は図1の通りです。
 
図1

死亡保険金 被保険者が死亡した場合に死亡保険金が支払われる
定期支払金 被保険者が生存している限り、基本保険金額に定期支払率を
掛け合わせた金額が毎年支払われる
リビング・ニーズ特約 余命6ヶ月以内と判断されたとき、死亡保険金の全部または
一部を受取ることができる
給付金代理請求特約 契約者が契約に関する手続きの意思表示ができない場合に、
あらかじめ指定された契約者の代理人が、所定の手続きを行うことができる

 
また、実際の保障内容は商品や会社によって異なる場合があります。
 

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一時払い終身保険のメリット

一時払い終身保険には具体的にどのようなメリットがあるのか、「相続対策に活用できる」というポイントに焦点を当てて紹介します。
 

非課税枠がある

亡くなった方が遺した財産は基本的に相続税の課税対象です。しかし、死亡保険金を受け取った場合は、「500万円×法定相続人の数」までの金額が非課税となります。現金で遺すよりも、課税対象となる範囲を圧縮できるのです。
 

相続時にお金を遺す先を決めておくことができる

一般的に遺言を作成する場合、遺留分を侵害しないよう相続の全体像を把握する必要があります。
 
一方、一時払い終身保険の保険金は原則的に遺留分割協議の対象外となっているため、特定の人に多めの財産を遺すことが可能になる上、相続に手軽に取りかかることのできる方法と言えます。
 

一時払い終身保険のデメリット

一方で一時払い終身保険には、以下のようなデメリットもあります。
 

早期解約すると元本割れすることがある

一時払い終身保険は預金とは異なり元本保証の商品ではありません。契約してから数年程度で解約してしまうと、解約返戻金が支払った保険料を下回る可能性があります。
 
したがって、一度契約すると実質的に数年間は預けたお金を引き出すことに制約がかかるため、注意しましょう。また、外貨建て商品の場合には死亡保険金についても円ベースで元本割れとなるリスクがあります。
 

契約初年度しか生命保険料控除の適用が受けられない

通常、生命保険や医療保険に加入すると「生命保険料控除」が受けられます。しかし、一時払い終身保険は初年度に全ての保険料を支払うため、最初の1年目しか生命保険料控除の恩恵を受けられません。
 

一時払い終身保険に加入する前に

一時払い終身保険は、一般的な保険商品と比べて加入条件が緩やかになっている傾向があり、相続対策としてさまざまなメリットがある保険と言えます。
 
ただし実際に活用を検討する際には、元本割れリスクや控除の制限などここで紹介したデメリットについてもしっかり理解した上で、自分や家族の状況に適した商品かをしっかり見極めるようにしましょう。
 

出典

第一フロンティア生命 プレミアレシーブM(円建)
住友生命 終身保険(一時払い)
国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
公益財団法人 生命保険文化センター 相続対策に役立つ生命保険の機能
国民生活センター 銀行窓口で勧誘された一時払い終身保険に関するトラブル-高齢者への不適切な勧誘が急増中-
国税庁 No.1140 生命保険料控除
 
執筆者:荒木和音
2級ファイナンシャルプランニング技能士

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