「県民共済」ってどんな仕組み? 特徴や加入する場合の注意点を解説
配信日: 2022.06.21
民間生命保険との違いを踏まえながら、その特徴や加入する場合の注意点などを解説します。
執筆者:荒木和音(あらき かずね)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
県民共済とは?
消費生活協同組合法(生協法)に基づいて、非営利の「生活協同組合」が各都道府県の認可を受けて運営しています。現在は全国で展開されており、都道府県によってその名称は異なる場合があります。
なお、加入できる保険の種類や掛け金、プラン(保障内容)なども各県民共済によって異なるためご注意ください。
加入できる保険の種類
一般的な県民共済では、以下のような保険に加入できます。
・医療保険
・死亡保険
・三大疾病保険
・がん保険
・傷害保険
・個人賠償責任保険
・火災保険
15歳未満の子どもが加入できる「こども共済」や65歳以上の方が加入できる「熟年型共済」などもあります。
加入要件・掛け金
申込日時点での居住地または勤務先によって、加入できる県民共済は変わります。例えば、東京都在住または勤務先が東京都にある場合は「都民共済」に加入することになります。
また県民共済の掛け金は加入するプランによって決まっているため、年齢や性別によって差が出ることはありません。1000円~5000円に設定されているのが一般的です。
県民共済の特徴
県民共済は営利を目的としていない事業です。そのため、民間の生命保険とは異なる特徴を持っています。ここでは、県民共済で加入できる各種商品の特徴について解説します。
割戻金が受け取れる場合がある
県民共済では、毎年決算を行っています。集めた掛け金のうち、共済金の支払いをしてもなお残った部分については「割戻金」として還付を受けられるのが大きな特徴です。多いときで、掛け金の50%近くが割り戻されることもあります。割戻金があることにより、実質的な保険料の負担が軽減される仕組みです。
告知書への記入だけで申し込みできる
申し込みにあたっては、民間生命保険会社のように、医師による診察を受けたり、健康診断書の提出をしたりする必要はありません。申込書の告知事項に回答し、健康状態について一定の条件を満たしていれば加入できます。
掛け金が割安に設定されている
民間生命保険会社が販売する商品の保険料には、保険会社の事業運営に必要な人件費や広告宣伝費などの「経費」が含まれています。そのため、同じような保障内容であっても保険会社によって保険料に差が出ることがあるのです。
一方、県民共済は、事業運営のコストを極力削減することにより、安価な掛け金を実現しています。小さな掛け金で大きな保障を得られるのが県民共済の魅力の一つ1つです。
県民共済に加入する場合の注意点
県民共済に加入する場合に押さえておきたい注意点を解説します。
資産形成や高額な生命保障を目的とする場合には不向き
県民共済は掛け捨ての保険です。貯蓄性はないため、将来に向けた資産形成には向きません。保険で教育費用や住宅購入費用、老後費用などを準備したい場合には、民間生命保険会社の養老保険や学資保険などを活用した方がよいでしょう。
また、病気で死亡した場合には500万円程度の保障となっているケースが多くなっています。掛け金の高いコースでも1000万円程度のため、遺族の生活保障の手段として高額な死亡保障が必要となる場合には、県民共済のみでは不足が発生する恐れ可能性があります。
高齢者向けのプランは年齢を重ねると保障が少なくなる
65歳以上の高齢者が申し込める熟年型のプランは、原則として85歳までの保障となっており、満期を迎えますると、保障がなくなります。また、自動継続できますが、70歳、80歳と年齢を重ねる度に保障内容が変わるのが特徴です。基本的に、保障される金額は徐々に少なくなります。
長生きの時代に合わせて、一生涯継続でき、保障内容も変わらないものが必要な場合には、民間生命保険会社の「終身タイプ」の保険に加入した方がよいかもしれません。
出典
一般社団法人生命保険協会 STEP. 7 保険料と配当金の仕組み
都道府県民共済グループ
執筆者:荒木和音
2級ファイナンシャルプランニング技能士