「短期入院」に備える保障は必要? 最新の医療事情から必要性を解説
配信日: 2022.06.28
入院に関する最新のデータをふまえて、必要性を解説します。
執筆者:荒木和音(あらき かずね)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
「短期入院」に備える保険とは?
短期入院に備える保険には、主契約(保険のベースとなる部分)の中に一時金を受け取れる内容が含まれているタイプと、特約や特則(主契約に付加して契約できる部分)を付帯すると一時金が受け取れるタイプの2種類があります。
主契約型
あらかじめ主契約として一時金を受け取れる仕組みになっています。病気やけがで1日以上入院したとき、つまり日数に関係なく「入院した」という事実があれば10~20万円の給付金が受け取れるのが特徴です。支払い金額は任意で設定でき、支払い回数には保険期間中の上限があります。一時金だけではなく、入院日数に応じた給付金が別途支払われるタイプもあります。
特則・特約型
短い入院の場合には一時金を、長期の入院では入院日数に応じた入院給付金を受け取れるのが特徴です。例えば、10日以内の入院の場合は一律で5万円、11日以上の場合は1日あたり5000円が支払われる仕組みになっています。このケースで20日間入院したときに受け取れる金額は10万円です。
(※上記金額は商品や会社によって異なります)
今入院するといくら必要?
入院した際の治療費については、公的医療保険制度の適用対象となり、1~3割の自己負担で済みます。しかし、治療にかかる医療費以外にも入院時には次のような費用がかかるのが一般的です。これらの費用は公的保険の適用外となるため、全て自己負担となります。
●食事代
●差額ベッド代
●交通費(見舞いに来る家族の分を含む)
●日用品代
生命保険文化センターによると、直近の入院における自己負担額の平均は20万8000円です。
加入するかどうかはメリットとデメリットをよく比較した上で検討しましょう
1日あたりの入院自己負担費用の平均は2万3300円です。2~3日のごく短期の入院でもまとまった支出が発生する可能性があります。一回の入院でかかる費用を払えるだけの貯蓄がない人にとっては、「短期入院」に備える保険に加入するメリットは大きいといえます。
また、入院の日数自体は短期化の傾向にあります。短期の入院に対して手厚く保障される内容を選んだ方が、入院日数に応じて給付金が支払われる従来型の医療保険と比べて、より多くの給付金を受け取れる可能性があるため、新規に加入する場合は合理的な選択といえるでしょう。
一方、貯蓄が十分にある場合はそもそも医療保険が必要ないケースもあります。
また、一般的に、特約や特則として短期入院に対応する保障を付加する場合には、入院日数に応じて給付金が支払われる従来型の医療保険と比べて、保険料が高くなりやすいのもデメリットです。長期的に見ると、受け取った給付金の額が支払った保険料の総額を大きく下回る可能性もあります。
基本的に、保険は「発生頻度は低いが、発生した場合の損失が大きい」リスクに備える方法です。短期入院に備える保険はすべての人にとって必要なものとはいい切れません。加入にあたっては、メリットとデメリットを比較しながら、慎重に検討することをおすすめします。
出典
ネオファースト生命保険株式会社 無解約返戻金型入院一時給付保険
第一生命保険株式会社 第一生命の総合医療一時金保険
朝日生命保険相互会社 スマイルメディカルSuperワイド
なないろ生命保険株式会社 なないろメディカル礎
メットライフ生命保険株式会社 終身医療保障保険 マイ フレキシィ
アフラック生命保険株式会社 医療保険 EVER Prime:保険料シミュレーション
厚生労働省 医療費の一部負担(自己負担)割合について
公益財団法人生命保険文化センター 入院したときにかかる費用はどれくらい?
公益財団法人生命保険文化センター 1日あたりの入院費用(自己負担額)はどれくらい?
厚生労働省 平成29年(2017)患者調査の概況 3退院患者の平均在院日数等
金融広報中央委員会 知るぽると お金の知恵
執筆者:荒木和音
2級ファイナンシャルプランニング技能士