身近なトラブルの味方「個人賠償責任保険」頼る場面・注意点を解説!
配信日: 2022.07.06
通常は主契約に付帯する形で加入するため、テレビや雑誌で宣伝されることもなく、言葉を知っていても契約の内容まで知っている人は少ないのではないでしょうか。
実は少ない保険料で、身近に潜むさまざまなトラブルを解決してくれる強い味方なのです。知名度の低い個人賠償責任保険について、詳しく勉強してみましょう。
執筆者:木元泰徳(きもと やすのり)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
個人賠償責任保険ってどんな保険?
個人賠償責任保険とはどんな保険なのでしょうか。一般社団法人 日本損害保険協会によると、以下のように記載されています。
“個人またはその家族が、日常生活で誤って他人にけがをさせてしまったり、他人の物を壊してしまったりして、法律上の損害賠償責任を負った場合の損害を補償する保険”
つまり、日常生活で他人を傷つけたり、他人の物を壊してしまったりしたとき、相手への損害賠償費用を保険会社が支払ってくれるということです。
対象となるのは「生計を共にする同居の親族」です。例えば、夫婦と子ども2人の家族を想定しますと、夫が加入していれば、妻も子ども2人も保険の対象になります。
また、子どもが大学に通うために別居していても、仕送りを受けている未婚の学生であれば「生計を共に」していますので、保険の対象になります。
個人賠償責任保険は、火災保険や傷害保険、自動車保険といった保険に「特約」として付帯するほか、クレジットカードに「自動」で付帯することもあります。加入している保険やクレジットカードの補償内容を再確認してみましょう。
個人賠償責任保険のうれしい点
個人賠償責任保険は日常生活のさまざまな場面で活躍しますが、ほかにメリットとして考えられるのはどんなところでしょうか。
最初に挙げられるのは、保険料が安価な点です。保険会社や主契約にもよりますが、補償額数千万円~1億円の保険に、月々数百円ほどの保険料で加入できます。
次に、自転車損害賠償責任保険の代替となるのもうれしい点です。
国土交通省の資料によると、令和4年4月1日現在、30都府県で自転車損害賠償保険への加入を「義務」、9道県が「努力義務」として条例を定めています。
個人賠償責任保険に入っていれば、自転車損害賠償責任保険の代わりとなります。子どもが自転車で他人にぶつかってしまった場合などに、補償があることは心強いはずです。
個人賠償責任保険の使用事例
具体的に、個人賠償責任保険はどのような場合に適用されるのでしょうか。保険会社各社のホームページに記載された事例を見てみましょう。
・誤ってベランダから物を落とし通行人にけがをさせた
・買い物中、商品を誤って落として壊した
・自転車で人にけがをさせた
・飼い犬が他人を噛んでけがをさせた
・ゴルフのプレー中に、打ったボールが他人に当たってけがをさせてしまった
・住宅洗濯機の水漏れで、階下の部屋のカーペットに被害を与えてしまった
このように、相手にけがをさせた、あるいは相手の物を壊した事故に対して、幅広く補償を受けられることが分かります。特に、子どものいる家庭では、突発的なトラブルが発生しやすいので、個人賠償責任保険に加入しておくと安心です。
個人賠償責任保険に加入する上での注意点
最後に、個人賠償責任保険の注意点を紹介します。補償範囲が多岐にわたる個人賠償責任保険ですが、注意しないと保険の適用外になったり、損をしたりする場合もあります。
1つ目は「実損分しか補償されない」点です。例えば、火災保険と自動車保険、双方で個人賠償責任保険に加入していても、実際に発生した被害の分だけしか補償されません。
2つのうち1つの保険契約は加入する意味がなく、保険料を支払う分だけ無駄が生じます。加入している保険の内容を見直すことが大事です。
2つ目は「他人から借りたもの(受託物)は対象外」である点。借りた時点で、管理する義務が他者からあなたに移るため、保証の対象外となります。
3つ目は「主契約の解約」です。特約として付帯する個人賠償責任保険は、主契約を解約すると同時に解約となります。必要でしたら、他の保険で個人賠償責任保険を付帯する契約を結びませんと、保険のない空白の期間が生じてしまいます。
メリットが多い個人賠償責任保険
各種保険やクレジットカードに付帯する、個人賠償責任保険について解説しました。適用されるトラブルの範囲が広く、加入しておきますと安心につながる保険です。
現在加入していない人は加入を、すでに加入している人は重複の有無を確認して、無駄なく安心した生活を実現しましょう。
出典
一般社団法人日本損害保険協会 個人賠償責任保険
国土交通省 自転車損害賠償責任保険等への加入促進について
コープ共済 個人賠償責任保険(臨時費用補償及び賠償事故解決特約)
ソニー損保 個人賠償特約
チューリッヒ保険会社 個人賠償責任保険(個人賠償責任補償特約)とは。子どもの自転車の事故に備えるのにおすすめ?
執筆者:木元泰徳
2級ファイナンシャル・プランニング技能士