更新日: 2022.07.12 損害保険

自転車事故だけじゃない！意外な場面で役立つ「個人賠償責任保険」とは

執筆者 : 荒木和音

この記事は約 4 分で読めます。

自転車事故に対応できる保険として、加入している方も多い個人賠償責任保険。実は、自転車事故以外にもさまざまな場面で役立つ補償内容になっています。

この記事では、自転車事故以外にも適用できる例を紹介するとともに、補償の対象外となるケースや、見落としがちなポイントについても解説します。

執筆者：荒木和音（あらきかずね）

2級ファイナンシャルプランニング技能士

1 個人賠償責任保険とは？
2 個人賠償責任保険で補償対象外となるケース
3 個人賠償責任保険へ加入する際の注意点

個人賠償責任保険とは？

個人賠償責任保険とは、誤って他人にけがをさせたり、他人の物を壊してしまったりしたときに発生する損害賠償金や弁護士費用を補償する保険です。

自動車保険や火災保険、傷害保険などに特約として付帯するのが一般的となっています。また、自転車を購入するときに加入する「自転車保険」に特約として付帯するケースもあります。

保険料は年間で数千円程度と契約しやすい金額となっているものの、補償額の上限は「1億円」や「3億円」といった大きな金額の補償が受けられるのが特徴です。中には、金額無制限で補償する（国内での事故に限る）タイプの商品もあります。

また、個人賠償責任保険における被保険者（補償の対象となる人）には、契約者本人だけではなく、家族も含まれます。家族には配偶者や同居の親族、別居の未婚の子が含まれるため、1世帯で1件加入しておけば、幅広く補償されるため安心です。

自転車保険として加入している人が多い

自転車による事故では、高額な賠償を求められる事例が相次いでおり、中には1億円近くの賠償を請求されたものもありました。

全国的に、自転車保険への加入を義務付けている自治体は増加傾向にあるため、自転車事故に備えるために、個人賠償責任保険に加入する方も多くなってきています。au損害保険の調査によると、全国で自転車の事故に備える保険（個人賠償責任保険等）に加入している人の割合は6割を超えています。

自転車事故以外の支払い対象となる事故

個人賠償責任保険は自転車事故に限らず、次のようなケースで損害賠償請求された場合も支払い対象です。

・買い物中にお店の商品を過って壊してしまった
・飼い犬が他人にかみ付いて、けがをさせてしまった
・子どもが駐車場で遊んでいたところ、他人の車を傷つけてしまった
・風呂場から水漏れし、階下の住人の家財道具に損害を与えてしまった
・誤って線路に立ち入って、電車を走行不能にさせてしまった

個人賠償責任保険で補償対象外となるケース

個人賠償責任保険が、「損害賠償請求されれば、すべて補償の対象となる」と安易に考えてはいけません。補償対象外となるケースもあるため注意しましょう。

例えば次のようなケースは補償対象外です。

・他人を故意にけがさせたり、他人の物を故意に壊したりした
・自動車を運転中に起こした事故
・仕事中に過って物を壊してしまった場合など、業務遂行中に起こした事故
・子どもが友人から借りたゲーム機を落として壊してしまった場合など、他人から預かっている財物に損害を与えた場合（契約の内容によっては、他人から預かっている物に損害を与えた場合でも補償対象となるケースもあります）

また次のような場合も補償対象外です。そもそも損害賠償責任が発生しない可能性もあります。

・同居の家族とぶつかってけがを負わせた
・地震が原因で建物の一部が崩落し、通行人にけがをさせた
・心神喪失状態にあり、物事の分別がつかない状態で他人にけがをさせた

個人賠償責任保険は、他人の「財物」や「身体」に損害を与えた場合を補償対象としています。他人への名誉毀損やプライバシー侵害などについては、補償の対象とはなりません。

個人賠償責任保険へ加入する際の注意点

個人賠償責任保険が複数の保険契約に付帯している場合には、補償が重複する可能性があります。例えば、火災保険と自動車保険、両方に個人賠償責任特約が付加されているようなケースです。重複した場合には、いずれか一方の保険からしか保険金が支払われない場合があり、保険料を余分に支払っているような状況になってしまうため、注意しましょう。

「示談交渉サービス」が付いているかどうかも、重要なポイントです。

示談交渉サービスとは、事故が発生し損害賠償責任を負担することになった場合に、保険会社が事故の被害者や相手の保険会社と交渉を行うサービスを指します。サービスが付いていない場合には、直接相手方と示談交渉を進めなければならないため、示談交渉サービスの有無はぜひチェックしておきましょう。