しかし、地震保険料は物件の所在地により大きく変わります。首都圏直下型地震が心配されている東京都は日本で最も地震保険料の高い地区なので、地震保険料は火災保険料に比べ高くなります。今回は反対に、日本で最も地震保険料が安い地区の一つ、岩手県で比較をしてみたいと思います。
執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
早稲田大学卒業後、大手メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超える。その後、保険代理店に勤め、ファイナンシャル・プランナーの資格を取得。
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表、駒沢女子大学特別招聘講師。CFP資格認定者。証券外務員第一種。FPとして種々の相談業務を行うとともに、いくつかのセミナー、講演を行う。
趣味は、映画鑑賞、サッカー、旅行。映画鑑賞のジャンルは何でもありで、最近はアクションもの、推理ものに熱中している。
岩手県における火災保険料と地震保険料の比較
「地震保険料は、火災保険料より高い? その2 -東京都の場合-」で記載した、東京都と同様の条件で、火災保険料と地震保険料を比較してみます。
【図表1】
火災保険料と地震保険料は次のとおりとなります。
マンション:地震保険料は火災保険料の0.76倍
木造一戸建て:地震保険料は火災保険料の0.4倍
これを東京都の場合と比較してみましょう。
【図表2】
岩手県では、火災保険料に対する地震保険料の比率は半分前後ですが、東京都では、1.4~2.35倍とかなり高いといえます。
火災保険料と地震保険料の合計をみると、マンションで約2.3倍、木造一戸建てで約1.7倍とかなり高いといえます。また、10年間保険料の絶対額における差はマンションで18万4452円、木造一戸建てで24万2237円となっており、こちらもかなり差があるといえるでしょう。
これは東京都と岩手県で比較していますが、他の地震保険料が最も高い地域(東京・神奈川・静岡)と最も低い地域(岩手・秋田・山形・栃木・群馬・富山・石川・福井・鳥取・島根・山口・福岡・佐賀・長崎・熊本・鹿児島)で比べてもほぼ同様の結果になると考えてよいでしょう。
まとめ
東京・神奈川・静岡などにおいては地震保険料が高くなるため、火災保険料と地震保険料の合計も、岩手・秋田・山形など地震保険料の低い地域と比べてかなり高いものになってしまいます。
換言すれば、東京・神奈川・静岡など地震保険料の高い地域に住んでいる方は高い保険料を払い続けざるを得ないということになります。免震構造や耐震等級の高い家に住んでいる場合は、地震保険料の割引を受けることは可能ですが、その分の建設コストの増加や証明書の取得費用が掛かるため、どこまで有効かは一概に言えません。
また、火災保険についても、耐火構造の家屋にすれば木造一戸建ての保険料は安くなります。なるべく建設費が増加しないようにしつつ、耐火構造・耐震構造の家を購入することがポイントになるでしょう。ただ、これらにはいろいろな要素が関係しますので、一つひとつ要素を見極めながら、どれがベストの組み合わせかを探し出す必要があります。
また機会をみて、その点についても解説してみたいと思います。
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー