「不妊治療の保険適用」とは、どんな制度でしょうか?

配信日: 2022.08.07

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「不妊治療の保険適用」とは、どんな制度でしょうか?
2021年から、不妊治療について公的な健康保険での適用が始まりました。
 
ここでは「不妊治療の保険適用」などについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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保険適用された治療は?

「不妊」とは、妊娠を望んでいて一定期間(1年程度)性交渉をしているのになかなか妊娠できない状態をいいます。不妊の原因は男女ともにさまざまで、原因不明なものもあります。今までの不妊治療のほとんどは、健康保険適用外の「自費診療」でした。
 
今回、主に以下のような基本治療が保険適用されるようになりました。

・一般不妊治療:タイミング法、人工受精
・生殖補助医療:体外受精、顕微受精、受精卵・胚培養、胚凍結保存、胚移植など
・男性不妊治療に係る検査の一部、体外受精または顕微受精に用いるための精子採取手術など

 

メリット・デメリットは?

<メリット>

●窓口での医療費負担が減る
健康保険が適用される治療を受けると、窓口負担が3割負担に軽減されます。保険適用となっても治療費が高額になる場合には、「高額療養費制度」を利用できます。
 
「高額療養費制度」とは、保険加入者の所得金額に応じて、1ヶ月あたりに定められた上限額よりも医療費が高額になった場合に、上限額を超えた分の医療費が返金支給される制度です(「自由診療」と、保険診療と併用できる「先進医療」は対象外です)。
 
保険適用される前の、平均的な治療費負担は図表1のような金額でした。
 
【図表1】

全国の医療機関にアンケート調査した結果、人工授精の費用は1回平均で約3万円、体外受精は約50万円。
simple-TESE(顕微受精を目的として精巣内の組織を一部採取する手術)で17万円。
いずれの治療法についても、施設ごとの請求費用に一定程度幅がみられた。

出典 野村総合研究所 「不妊治療の実態に関する調査研究」
 
●民間の医療保険の保険金給付対象になることも
「人工受精」「体外受精の採卵」「体外受精の胚移植」などが保険適用により手術に分類されたため、民間の医療保険で手術給付金がある保険契約の対象になることもあります。
 

<デメリット>

●保険適用に、年齢制限・回数制限がある
「体外受精」「顕微受精」は、女性の年齢制限・保険適用回数にいくつかの条件を満たすことが必要です(なお、男性側の年齢制限は定められていません)。
 
主な制限は以下のとおりです。

・年齢制限:治療開始時において、年齢が43歳未満であること
・治療開始時の年齢が40歳未満:1子につき最大6回まで
・治療開始時の年齢が40歳以上43歳未満:1子につき最大3回まで

 

治療をサポートする制度なども利用しよう

最近では民間の「医療保険」で、治療費用負担を軽くすることもできるようになってきました。女性だけでなく、男性不妊治療の費用をカバーする保険も出てきています(給付金を受け取るにはさまざまな条件が有るため、治療開始前に加入しておくのがおすすめです)。
 
厚生労働省は不妊治療を受けながら働き続けられるような施策、「不妊治療と仕事との両立」に取り組む企業を認定する「くるみんプラス」などを行っています。
 
導入の理由は、図表2のとおりです。
 
【図表2】

・不妊治療を経験した方のうち16%[男女計(女性当23%)]が、不妊治療と仕事を両立できずに離職しています。
・両立に困難を感じる理由には、通院回数の多さ、精神面での負担の大きさ、通院と仕事の日程調整の難しさがあります。
・労働者の中には、治療を受けている事を職場に知られたくない方もいます。職場内では、不妊治療についての認識があまり浸透していないこともあります。
 
企業には、不妊治療を受けながら安心して働き続けられる職場環境の整備が求められます。

出典 厚生労働省 不妊治療と仕事との両立のために
 

まとめ

少子化が進む中、不妊治療への保険適用は一歩前進した施策です。
 
「子どもがほしいな」と思う前から、国の保険適用範囲や、不妊治療費用をカバーする民間の保険などを知っておくと、治療が始まった際に安心して進めやすくなりそうです。
 

出典

厚生労働省 不妊治療に関する取組
厚生労働省 不妊治療と仕事との両立のために
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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