死亡保険金はいくらにしたら良い?必要保障額の計算方法
配信日: 2022.08.28
ただ、死亡保険金は多ければ多いほど家族の生活が楽になることに違いはありませんが、その分、保険料が高額になる点が問題です。家計を圧迫しない保険料を支払いながら、万が一の不安に備えるためには、「必要保障額」をきちんと見極めることが大切です。
今回は、死亡保険金の必要保障額の計算方法について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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必要保障額の基本的な考え方
必要保障額とは、残される家族のその後の生活に必要となるお金のうち、「死亡保険金でまかなわなければならない不足部分」のことをいいます。
必要保障額=遺族の支出見込額-遺族の収入見込額
配偶者が平均寿命まで生きるとすると、若いほど必要保障額が大きくなるということになります。特に、子が生まれてから成人するまでの間は教育費が必要になるため、人生のうちで必要保障額が最も大きな時期になるでしょう。
遺族の支出見込額
支出見込額には次のような種類があります。
・生活費
・教育費
・住居費
・葬儀費用
など
最も大きくなる生活費は、現状の支出から計算します。
例えば、1ヶ月の生活費が30万円だとして、今後子が成人する20年先までの保障を必要とするなら、生活費だけでの支出見込額は、7200万円(30万円×12ヶ月×20年)となります。
ただ、死亡することによって不要になる支出にも目を向けるようにしましょう。例えば、月のお小遣いが3万円の場合には、死亡によってその支出はなくなります。
また、マイホームで住宅ローンを支払っている場合には、団体信用生命保険に入っていることがほとんどですので、住宅ローンの支払いもなくなります。また、子が独立した後の生活費は半額程度になるのが一般的です。
生活費の他に、臨時的に必要になる教育費、住居費、葬儀費用などを足して、最終的な支出見込額が算出されます。
教育費については子の進路次第であるため予測が難しいところですが、幼稚園から大学まですべて国公立に進んだ場合の総額は1000万円程度といわれています。すべて私立の場合には、その2.5倍の2500万円程度です。
住居費の修繕費用は一般的に600~800万円、葬儀費用はこだわりがなければ300万円程度となっています。
遺族の収入見込額
収入見込額には次のような種類があります。
・遺族年金
・配偶者の老齢年金
・配偶者の収入
・退職金
など
死亡保険金以外から得られる収入を考えていきましょう。収入も支出と同様に、ライフスタイルによって大きく変動します。必要保障額の計算の際に、入れていた収入がなくなってしまうと、予定していた生活ができなくなります。配偶者の給与収入など、不確定要素の強い収入については最低限の金額で計算しておくのがポイントです。
まず、確実な収入である遺族年金と老齢年金を計算します。
夫がサラリーマンで厚生年金に加入しており子が1人の場合の遺族年金は、給与額によって年間約150万円前後が支給されます。
老齢年金は専業主婦の場合で、年間77万7800円です。妻が別に厚生年金に加入している場合には、もっと多くなります。ある程度の概算額は年金事務所で確認することができますので、一度は聞いてみると良いでしょう。
勤務先によっては、死亡退職金や弔慰金などが規定されている場合がありますので、確認しておきましょう。
必要保障額のシミュレーション
子が1人(2歳)で、専業主婦の妻30歳が85歳まで生きる場合の支出見込額を計算してみましょう。
夫の生前の給与額は35万円だったとします。
【支出見込額】
・生活費30万円(うち、小遣い3万円、住宅ローン10万円)
・教育費1000万円
・住居費800万円
・葬儀費用300万円
子が大学を卒業するまでの生活費:(30万円-3万円-10万円)×12ヶ月×20年=4080万円
子が大学を卒業してからの生活費:(30万円-3万円-10万円)×1/2×12ヶ月×35年=3570万円
4080万円+3570万円=7650万円
7650万円+(1000万円+800万円+300万円)=9750万円
【収入見込額】
・遺族年金
・配偶者の老齢年金
・配偶者の収入0円
・退職金500万円
遺族年金
子が18歳になるまで:156万円×16年=2496万円
子が18歳になってから(妻46歳~64歳):114万円×18年=2052万円
遺族年金+老齢年金
妻65歳~85歳:134万円×20年=2680万円
公的年金:2496万円+2052万円+2680万円=7228万円
7228万円+500万円=7728万円
【必要保障額】
9750万円-7728万円=2022万円
このケースでの必要保障額は2022万円という計算になりました。2000~2500万円の死亡保険に加入するのがおすすめです。
まとめ
大黒柱の死亡という大きな不安から、必要以上の死亡保険に加入してしまいがちですが、落ち着いて必要保障額を計算してみると、思ったより少なくて良かったというケースは多いです。
また保険は、ライフスタイルに合わせて定期的に見直すものです。結婚、出産、マイホーム購入などのタイミングで必要保障額を計算してみましょう。ファイナンシャルプランナーへ相談するのもおすすめです。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部