更新日: 2022.08.29 損害保険
2022年10月から火災保険が値上げされる? 改定内容とどのくらい値上げになるのか詳細を説明
しかし、近年は大規模な災害が相次いだため、火災保険の保険料負担が年々増加してきており、2022年10月にも保険内容に大きな変更が予定されています。
2022年10月の火災保険の保険料値上げや変更点について解説していきます。
執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)
FPオフィス Conserve&Investment代表
2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。
火災保険料の決まり方
火災保険料は保険会社の経費や利益となる「付加保険料」と保険金支払いに備える「純保険料(参考純率)」によって構成されています。
純保険料は、損害保険料率算出機構によって災害発生状況や今後の災害リスクなどを勘案して算出されています。近年は大規模な台風被害が相次いだため、2022年10月に純保険料が全国平均で10.9%引き上げられます。この純保険料に損害保険各社がそれぞれ定めた付加保険料を加えて実際に契約者が負担する火災保険料が算出されています。
保険料は実際にいくら上がるのか?
純保険料の引き上げなどを受け、損害保険各社は契約者の負担する保険料の額を全国平均で10~13%程度の値上げを予定しています。
災害リスクは地域によって差があるため、純保険料の引き上げ幅にも差が生じています。また、火災保険料は補償内容が同一であれば建物構造と築年数によっても左右されるため、負担額の増加の個人差の大きくなっています。正確な値上げ額を知るため、契約している保険会社に問い合わせて見積もりを取ることをおすすめします。
保険料負担を軽減するには?
火災保険料の負担を抑えるには補償内容の見直しがひとつの選択肢となりますが、補償内容を弱めてしまうと万が一の際に十分な補償が得られない恐れがあるため、必要な補償内容を維持したまま割引制度を活用することがおすすめです。
耐火性能の高い構造の場合、火災保険料の割引を受けることができます。今後マイホームを取得する予定の方はM構造(マンション構造)やT構造(準耐火構造)といった耐火性能の高い物件を検討してみるとよいでしょう。
また、築年数が経過することでも火災保険料負担が増加します。築年数が10年を超える場合は値上げ幅がより大きくなる場合もあるため、築浅のうちに火災保険の保険期間を長く取る、保険料を一括で支払うなどして割引を受けるといった方法もあります。
保険期間は短縮傾向のため早めに検討を
火災保険の保険期間は近年短縮傾向が続いています。以前は最長36年の長期契約が可能であったため、その頃に火災保険を長期契約した方は火災保険料の値上げを心配せずに済みますが、災害リスクの長期的な予測を立てることが難しくなってきたため、現在、火災保険の保険期間は最長10年までとなっています。
2022年10月以降はさらに保険期間が短縮される予定となっており、保険期間は最長5年間までとなる見込みです。保険期間が短くなることで長期契約の割引率も低下するため、火災保険の更新を控えている方は火災保険制度の改正前に契約更新などを行うとよいでしょう。
まとめ
2022年10月に火災保険料の値上げが予定されており、新火災保険料は保険会社によってばらつきはありますが、全国平均で10~13%程度の負担増が見込まれています。
火災保険料は住所・築年数・建物の構造・補償内容によって個人差が大きいため、正確な値上げ額を知るためには見積もりを取ることが必要です。
火災保険料負担を抑える方法として、耐火性能の高い構造の物件にしたり、長期契約や保険料の一括納付などでの割引制度を利用したりすることがおすすめですが、火災保険の保険期間も現在の最長10年から5年に短縮されるため、割引率も低下してしまいます。火災保険の制度変更に備え、早めに対策をとるようにしましょう。
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表