更新日: 2022.12.06 その他保険

【意外と知らない!?】「貯蓄」で備えるべきものと「保険」で備えるべきものの違いとは?

【意外と知らない!?】「貯蓄」で備えるべきものと「保険」で備えるべきものの違いとは?
貯蓄にも保険にも「備える」という言葉を使いますが、備え方の違いはどこにあるのでしょうか。結論をいうと、貯蓄は結婚や退職後の生活資金準備など将来の目的に合わせて貯めていくもので、保険はいつ起こるか分からない病気や事故、災害等に備えるものです。
 
本記事では、貯蓄と保険で備えるべきものの違いを比較し、ライフイベントに合わせて上手に活用するコツを解説します。
山崎和義

執筆者:山崎和義(やまざき かずよし)

2級ファイナンシャル・プランニング技術士

目的に応じて貯蓄と保険を使い分ける

貯蓄と保険は活用目的にも大きな違いがあります。貯蓄の場合、将来自分や家族が使うお金を貯めることが目的です。一方、保険に関しては、未来に起こりうる危険に備えることが目的となります。
 
つまり、保険は不幸が起こらなければもらえないお金のため、できるだけ少ない額を支払い、貯蓄は自分や家族が必ず使うお金なので、できるだけ多く蓄える必要があります。
 

「貯蓄」で備えるべきもの

金融広報中央委員会が2022年2月に公表した「家計の金融行動に関する世論調査」によると、金融資産の保有目的は単身世帯と2人以上世帯で以下の事項が挙げられています。
 

〈単身世帯〉

●老後の生活資金
●病気や不時の災害への備え
●特に目的はないが、金融資産を保有していれば安心
●旅行、レジャーの資金

 

〈2人以上世帯〉

●老後の生活資金
●病気や不時の災害への備え
●子どもの教育資金
●旅行、レジャーの資金

 
この結果から分かるように、世帯に関係なく老後の生活資金に不安を抱えている方が多く、一定のお金の備えが推奨されることが分かります。
 
また、2人以上世帯かつ40代の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)の平均値は916万円(中央値は300万円)でした。
 
しかし、金融庁が2019年6月に公表した、金融審議会「市場ワーキング・グループ」報告書に端を発して老後資金不足2000万円問題がフォーカスされたように、40代の金融資産保有額の平均値である916万円は決して十分な額とはいえず、今後の資金計画をしっかり立てる必要があります。
 

「保険」で備えるべきもの

いつ起こるか分からない厄災に関しては、発生率はさほど高くないものの、一度起こってしまうと高額の費用がかかることがあります。例えば、以下のようなケースです。
 

●世帯主の死亡
●世帯主の就労不能
●家屋火災の修繕
●自動車事故の賠償

 
これらの突発的なリスクに備えるために保険があり、場合によっては高額な保険金が支払われます。保険は大勢の人がお互いのために助け合う「相互扶助」の考えから誕生したものです。一人ひとりの掛け金は少なくても大勢がお金を出し合うことで、万が一のときには個人で積み立てたお金より高額な保険金を受け取ることも可能となります。
 
こうしたケースに備え、さまざまな保険商品が用意されています。例えば世帯主の死亡や高度障害状態になった場合の備えとなる定期保険のような掛け捨て保険、病気やけがなどに備えるための「医療保険」や「特定疾病保険」などは生命保険会社が扱っている保険商品です。
 
また、自然災害による家屋の修繕については「火災保険」や「地震保険」が、自動車の利用に関わるさまざまなリスクをカバーする保険として「自動車保険」が、「損害保険会社」からそれぞれ提供されています。
 

貯蓄性のある保険商品も存在する

万が一に備える保険ですが、掛け捨てではなく資金を貯蓄できるタイプもあります。代表的なものは以下のとおりです。
 

死亡保険(終身保険)

死亡時の備えと貯蓄の両方を兼ねるのが「貯蓄型の死亡保険」です。自分が死亡したとき以外にも、資金の必要性がある場合や保険料の支払いが厳しい等やむを得ない事情がある場合、途中で解約することもできます。その際、すでに払い込んだ期間にもよりますが、支払った保険料の大半が「解約払戻金」として戻ってくるのも大きなメリットです。
 

終身介護保険

終身介護保険は、介護状態になったときに保険金として介護一時金を受けることができる保険です。「要介護1以上に認定されれば一時金」を、「要介護3以上に認定された場合には介護年金」を受け取れるものもあります。所定の年齢までに介護状態にならなかった場合に、解約払戻金を受け取れるものを選べば貯蓄も期待できます。
 

学資保険

子どもの教育資金を積み立てる上で、大学進学などの大きな学費に備える保険です。契約時に支払開始年齢を設定し、大学入学前に保険金を受け取ることができる商品が一般的といわれています。また、親など保険の契約者に告知義務違反がなく、不慮の事故や病気などで死亡した場合でも補償が継続されるという保険ならではの機能も有しています。
 

「貯蓄」と「保険」を使い分けて豊かな将来への備えを

貯蓄と保険は備え方と活用目的に大きな違いがあります。ライフステージの変化などがあった際には、将来必要なお金と備えるべきリスクを考慮した上で、必要な貯蓄と保険を上手に使い分けましょう。
 

出典

金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]令和3年調査結果

金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和3年調査結果

金融庁 金融審議会「市場ワーキング・グループ」報告書の公表について

 
執筆者:山崎和義
2級ファイナンシャル・プランニング技術士

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