2022年上半期に生命保険会社の入院給付金支払いが激増していた!
配信日: 2023.01.10
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/
2022年度上半期は新規陽性者数が増えた時期と重なる
下記のグラフは新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数の推移で、期間は2020年4月1日から2022年9月30日までの2年半に設定してあります。
資料:厚生労働省『データからわかる-新型コロナウイルス感染症情報-』
新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数は何回も波を繰り返していて、振り返れば2021年まではまだ少なく、2022年2月になって10万人を超える日が出始めました。過去の最も大きな波は2022年7月からで、ピークの翌月8月には連日20万人を超えています。そして、新規陽性者数に連動して入院(みなし入院も含む)する人も増えています。
2022年度上半期の入院給付金支払いは半年で前年の5倍超も!
生命保険会社が新型コロナウイルス感染症に関してどのくらい支払ったのか、生保6グループ(11社)の支払件数と支払額を、2022年度上半期の決算資料で確認してみました。1つ目の表は2021年度(4月~3月)の1年間の数値で、2つ目の表は2022年4月からの半年間(4月~9月)の数値です。
表の死亡保険金は新型コロナウイルス感染症を原因とする死亡、入院給付金は新型コロナウイルス感染症に感染して治療のための入院に関する保険会社の支払額です。みなし入院は、医師の指示により病院以外の宿泊施設や自宅で療養した場合でも、入院とみなして支払われた入院給付金です。
2021年度は既に新規陽性者数が増えていたことから、入院給付金の支払件数は11社で年間44.3万件もあり、このうちの39.4万件(T&D3社分は入院給付金の60%で計算)がみなし入院です。入院給付金の支払額は11社で489.4億円です。これだけの入院給付金を加入者(被保険者)が受け取っています。
そして、2022年度に入って入院給付金額がどれだけ増えたかというと、2022年4月から9月までの半年間で、11社の入院給付金支払件数は245.5万件にもなり、みなし入院が240.9万件(T&D3社分は入院給付金の90%で計算)にもなります。入院給付金の支払額も11社で2231.3億円(みなし入院が2168.6億円)へ激増しています。
これだけの入院給付金を生命保険会社11社で支払っています。つまり、加入者(被保険者)は同額を受け取っていることになります。新型コロナウイルス感染症に感染したらつらいですが、この入院給付金はかなり役に立ったのではないでしょうか。
9月26日以降はみなし入院給付金の対象者を限定
新規陽性者数がまた増加傾向にありますが、新型コロナウイルス感染症による「みなし入院」の支払対象になる要件が、9月26日から変更になっています。対象となる人は「65歳以上」「入院を要する」「重症化リスクがあり、新型コロナ治療薬の投与または新型コロナ罹患により酸素投与が必要」「妊娠中」となっています。医療機関に入院した場合は従来どおり入院給付金の支払対象になっています。
新型コロナウイルス感染症に関する取り扱いの詳細については、加入している保険会社のホームページ等で必ず確認してください。
執筆者:松浦建二
CFP(R)認定者