更新日: 2019.01.10 その他保険
「保険を契約したけれど、やっぱり解約したい」 そんなとき、まず考えたいこと
保険商品も似たところがあります。1つは契約期間が通常長いことと、2つ目は購入したらすぐに満足を得られるというものではないことです。
解約や減額が頭をよぎったとき、どうすればいいのでしょうか。
Text:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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目次
契約書を取り交わすときが気持ちMAX
住宅などは高額ですが、毎日その家に住んでその家で寝起きするので、「購入したぞ」感が日々実感できます。
これに対して、例えば月払い2万円で30年払い込み満了の保険契約であれば、支払い保険料は2×12×30=720万円と、かなりの金額になります。
しかし、入院したり事故にあったりと保険事故にあわない限り保険料を払い続けているだけ、という「損した気分」が徐々に募ってきます。
契約書や告知書に記入したり審査を受けたりしたときの「契約したぞ」という気持ちがうせてくるのは当然です。
保険契約は基本長期。その間に想定外のライフイベントが起こるのは当たり前
保険契約は基本的には長期です。ということは、その間に当初はあまり真剣に考えていなかった結婚、第一子出産、第二子出産、転居といったことは往々にして起こりえます。
特に女性の場合は、契約時にはフルタイムで働いていたので保険料の負担感もなかったけれど、いざ子育てに専念するようになって仕事を辞めたり、扶養の範囲内での仕事になったりすると、気にならなかった保険料が目障りになってきます。
そこで決断できないのは、途中解約するとこれまで払ってきた保険料が戻ってこない、という損得勘定が頭をよぎるためです。
その結果、損を覚悟で解約するのは悔しいし、かといってこれからも払い続けるのは難しくなる、というシーソーゲームを続けることになります。
ライフステージに合わない保険契約を継続するのは、サイズが合わない服を無理に着ているようなもの
保険商品の役割を確認しましょう。
掛け捨て型の定期保険ではなく終身保険では、保障と貯蓄がセットになっていると理解されている人が多いですが、保険の主たる役割は「保障」です。
保険契約が成立してすぐに「万一のことがあったら」2000万円なり3000万円なり、契約時の保険金額が支払われます。
どんなに利率が高い金融商品でも、1カ月2万円の積立を開始して翌月に2000万円になることはありません。
「安心を引き受けてもらった金額を控除した差額」が解約返戻金であることを確認すれば、一般的な終身保険(従来型)の場合、10年以上は継続しないと返戻金は払い込み保険料の70%未満であるという事実も納得できると思います。
そのうえで、自分のライフステージに合わなくなったら、見直しとして解約や減額をすればいいのです。
「悔しいから元がとれるまで我慢して払い続ける」というのは、サイズが合わなくなった洋服を無理して着続けているようなものです。
1番の無駄遣いは、保険商品の役割を理解せず、決断を先延ばしにすることではないでしょうか。
Text:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
日本証券アナリスト協会検定会員、MBA(ファイナンス)、
キャリアコンサルタント、キャリプリ&マネー代表