退職後も健康保険に入れるって本当? 任意継続被保険者制度について正しく知ろう!
配信日: 2018.06.28 更新日: 2019.01.10
退職後は自営業者と同じ、国民健康保険に切り替えることにもなりますが、退職後も一定の条件のもと、引き続き健康保険に入ることができます。
Text:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。
日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。
任意継続被保険者制度とは?
会社員として健康保険に加入していた人が退職すると、国民健康保険制度に加入することになりますが、退職後2年間は引き続き任意継続被保険者として健康保険に加入することができます。
在職していた頃の健康保険制度を引き続き使って、病院で診察を受けたりすることが可能となります。
任意継続被保険者になるには、退職まで継続して2カ月以上被保険者になっていたことが条件です【図表1】。ただし、75歳以上の人はなれません。
保険料が2倍になることも!
健康保険の保険料は、退職時の給与(標準報酬月額)に保険料率を掛けて計算しますが、任意継続被保険者の場合、在職中と異なり保険料は被保険者本人の負担分だけでなく、会社負担分も負担しなくてはならなくなります。
従って、在職中に給与から差し引かれていた保険料額の2倍の額にもなります。
ただし、保険料の計算にあたっての給与(標準報酬月額)には上限額があり、全国健康保険協会による健康保険(協会けんぽ)の場合、退職時の給与(標準報酬月額)が28万円を超えても、28万円に保険料率を掛けて計算することになります(【図表2】。健康保険組合による健康保険の場合は、28万円でない場合もあります)。
保険料で国保と比較して検討
任意継続被保険者として健康保険に加入するか、国民健康保険に加入するかは保険料を比較して決めることになるでしょう。
住所地の市区町村によって国民健康保険の保険料は異なりますが、会社負担分も合わせて保険料を負担しても、健康保険のほうが国民健康保険より安い場合もあります。
また、国民健康保険は世帯の各世帯員それぞれが被保険者になり、世帯単位で保険料が計算されます。
従って、家族は健康保険のように被扶養者にはなれません。
在職中、被扶養者となっていた家族がいる場合、健康保険の任意継続であれば、退職後も最大2年間、被扶養者とすることができますので、その点も考慮して検討すると良いでしょう。
手続きは自分で行うこと!
任意継続被保険者になるには、退職の翌日より20日以内に加入手続きをする必要があります。期限までに手続きを忘れると、任意継続被保険者になれませんので、退職後はすぐに手続きをするほうが良いでしょう。
また、毎月の保険料については、退職しているために給与からの控除ができませんので、自身で納付手続をする必要があります。
納付書を使って納付する場合、初回分の保険料は除き、毎月10日までにその月の保険料を支払わなければなりません。払い忘れると、任意継続被保険者としての資格を失いますので、注意が必要です。
口座振替の方法による納付もありますので、納め忘れないようにするため、活用すると良いでしょう。
Text:井内 義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー