【地震に備える】防災を意識するこの機会、地盤や地形、助成制度などをチェックしておこう!

配信日: 2023.03.30

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【地震に備える】防災を意識するこの機会、地盤や地形、助成制度などをチェックしておこう!
2023年2月6日、トルコ・シリアで大地震が発生し、甚大な被害をもたらしました。12年前の3月11日には、東日本大震災がありました。
 
大規模な地震が起こると家を失うだけではなく、いつ大きな余震が起こるのか、不安な中で生活を送ることになります。
 
防災を意識するこの機会に、住んでいる自治体の助成制度やお住まいの地盤を調べたり、生活再建のための地震保険への加入を検討したりしてみてはいかがでしょうか。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

地盤・地形を調べてみよう

いくら、建物が耐震性に優れていても、建物を支えている地盤が軟弱だった場合、建物は被害を受けます。まったく住めないか、住めたとしても傾いた建物に住んでいると健康を損ねてしまいます。
 
そこで、今住んでいる、あるいは将来住みたい土地について調べてみましょう。地震が起きたときの「揺れやすさ」「地すべりのリスク」「液状化のリスク」は、インターネットで調べることができます。
 

●「揺れやすい」地盤を調べる

軟弱な地盤は揺れやすく、固い地盤は揺れにくい傾向にあります。
 
例えば、海や川からの砂・泥などが幾重にもなってできた「沖積層」という地盤は、軟弱な地盤の1つです。これとは逆に、高台などにある水分が少なく固い「洪積層」という地盤は、固い地盤の代表格であり、液状化・地盤沈下が起こりにくく、揺れにくいとされています。
 
「揺れやすい」地盤かどうかは、「地形で見る軟弱地盤マップ GEODAS」(ジオテック株式会社)(※1)でも調べることができます。
 

●「地すべりのリスク」のある地盤を調べる

宅地(丘陵地など)用に整えるためには、切り土(山を削ること)や盛り土(凸凹な地盤に土を盛る)を行います。
 
もともと固まっている土地を削る切り土は、地盤が固いです。しかし、盛り土は地盤が軟弱です。その土地が傾斜地に盛り土してつくられたのであったら、地すべりのリスクが高い可能性があると認識しておくとよいでしょう。
 
各自治体のハザードマップ(地すべり、液状化、浸水などの位置を示した地図)は、「ハザードマップポータルサイト」(国土交通省)(※2)で調べることができます。
 

●「液状化のリスク」のある地盤を調べる

液状化現象とは、地震が発生した際の振動により、地下水位の高い砂地盤が液状化することです。液状化現象が起きると、建物が地下に沈み込んで傾いたり、地中が高水圧になることで、マンホールなどが地上に出てきたりしてしまいます。
 
沿岸部だけではなく内陸部でも、入り江を干拓してつくったり、沼を埋め立てたりした土地は、液状化のリスクを想定しておかなければならないでしょう。
 
リスクを知るためには、土地の履歴を知る必要があります。その土地の古い地図や昔の空中写真などが、参考資料として役立つかもしれません。
 
「地図・空中写真・地理調査」(国土交通省 国土地理院)(※3)や「歴史的農業環境閲覧システム」(農業環境技術研究所 農研機構農業環境研究部門)(※4)で、空中写真や古い地図を調べることができます。
 

●地名を調べる

昔からの地名には、地盤や地形の情報が織り込まれている場合があります。海、川、沼、池など「さんずい」が使われている地名は軟弱であり、地形を表す窪、谷、沢などが使われている地名は、水がたまりやすいことを意味している可能性があります。
 
もちろん、「必ず」ということではありませんので、さまざまな情報を入手し判断しましょう。
 

耐震診断や改修工事は自治体の補助金を活用

建築基準法により、耐震基準が強化された1981年6月より前に建てたマイホームの場合、一般に耐震性が低い可能性がありますので、ぜひ1度、耐震診断を受けてみてはいかがでしょうか。
 
耐震改修までの主な流れは、(1)自治体での耐震相談(2)耐震診断(3)補強設計(4)耐震改修工事、となっています。耐震診断費用は、建物の大きさ・構造・形状・設計図書の有無により異なります。
 
一般財団法人耐震総合研究所の資料によると、耐震診断は木造住宅・一般診断法・図面がある場合、20万~35万円程度です。耐震改修工事は所在地、家の広さ、工事の工法などにより大きく異なります。木造の場合、1棟100万~200万円程度です。
 
各区市町村において、耐震診断、耐震改修などに要する費用の一部を助成する制度を設けている場合がありますので、調べてみましょう。
 
例えば練馬区では、耐震診断(一般診断または精密診断)費用の4分の3(12万円が限度)、実施設計費用の3分の2(22万円が限度)、耐震改修工事費用の3分の2(130万円が限度)の助成をしています。
 

地震保険の仕組み

火災保険は、火災だけではなく、落雷、爆発、風災、雪災などによって建物や家財が損害を受けたときにも補償されますが、地震や津波などの損害は火災保険では補償されません。
 
地震や津波などの損害を補償するのが、地震保険です。地震保険は単独では加入できず、必ず火災保険とセットで加入する必要があります。すでに火災保険に加入している方は、契約期間の中途からでも地震保険に加入できます。
 
居住用の建物および家財(生活用動産)を地震保険の対象にできますが、火災保険で建物しか加入していない場合、地震保険に加入すると家財を目的にはできないので注意が必要です。
 
工場、事務所専用の建物など、住居として使用されない建物、1個(1組)の価額が30万円を超える貴金属・宝石・骨とう、通貨、有価証券(小切手、株券、商品券等)、預貯金証書、印紙、切手、自動車等は対象外です(出典:財務省「地震保険制度の概要」)。
 
保険金額は生活再建を目的としているので、火災保険の契約金額の30~50%の範囲内で、建物は5000万円、家財は1000万円が限度です。
 
実際に支払われる保険金は、4パターンの被害程度に応じて決まります。「全損」は地震保険の保険金額の100%、「大半損」は60%、「小半損」は30%、「一部損」は5%です。
 
地震保険の保険料は、保険対象となっている居住用の建物とその家財を収容する建物の構造、所在地により算出されます。保険会社で異なることはありません。長期契約(2~5年)の保険料は割引になります。また、保険料は「地震保険料控除」の対象となります。
 
建物の免震・耐震性性能によって「建築年割引」「免震建築物割引」「耐震等級割引」「耐震診断割引」の4つの保険料割引制度があり、割引の種類により保険料が10~50%割引になります。ただし、各割引の重複適用はできません。
 
大地震はいつ起こるかわかりません。住んでいる地域の危険度をさまざまな角度から判断し、地震保険などを活用して備えましょう。
 

出典

(※1)ジオテック株式会社 GEODAS(ジオダス) 地形で見る軟弱地盤マップ
(※2)国土交通省 ハザードマップポータルサイト
(※3)国土交通省 国土地理院 地図・空中写真・地理調査
(※4)国立研究開発法人 農業環境技術研究所 歴史的農業環境閲覧システム

一般財団法人 耐震総合研究所

練馬区 住宅の耐震改修工事等の助成

日本損害保険協会 地震保険 特設サイト

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1145 地震保険料控除
財務省 地震保険制度の概要
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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