更新日: 2019.01.10 その他保険

独特のマーケットとチャネルで成長…少額短期保険(生保系)

独特のマーケットとチャネルで成長…少額短期保険(生保系)
平成18年4月に登場したニューフェイスな少額短期保険。

本日は、その少額短期保険の中でも生命保険と思しき商品を見ていくことにしましょう。
 
大泉稔

Text:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

合併症まで進んだ症状でも加入を検討することができる生命保険&医療保険

最近、大手の生命保険会社から「緩和型」という生命保険が販売されています。糖尿病も合併症まで進んでしまうと、緩和型の生命保険の加入を検討することが難しいようです。
 
しかし、少額短期保険の商品の中には、合併症まで進行した糖尿病を抱える方でも、生命保険&医療保険の加入を検討することができる商品があります。
 
「それって、さぞ高いんじゃないの?保険料が…」という読者の心の声が聞こえてきそうですが、私の個人的な感覚では「保険料が高い」という印象はありません。と言うと、今度は「じゃあ、保険金や給付金の支払いが渋いんじゃないの?」という心の叫びが聞こえてきそうですが、恐らくそれも無いのではないかと思われます。
 
では、なぜ「保険料が高い」という印象が無いのでしょうか?
 
こちらの少額短期保険会社は、もともと「糖尿病の患者さんでも入れる保険を」という明確な目的を掲げてスタートしたようです。ということで、(以下、筆者の憶測ですが)そのマーケティング戦略も目的に合わせて展開されたと思われます。不特定多数の方を対象にするよりも、ターゲットを絞っている分、コストを抑えることができているのではないでしょうか。
 
なお、こちらの会社では「糖尿病の患者ではない」方に向けた商品もありますが、あまり大々的なPRは行っていないようです。それも、やはりコスト削減につながりますね。
 

販売チャネルをグッと絞り込んだ少額短期保険

何と、販売チャネル(代理店)を葬儀屋さんだけに絞った少額短期保険の生命保険があります。
 
生命保険というと、若年層は「解約した時の戻りや保険料控除」に、年配層は「相続税の非課税枠」にと、期待するところはさまざまだと思います。こちらの会社では販売チャネルをグッと絞り込むことで、生命保険への加入目的を絞ることが可能です。
 
販売チャネルだけでなく商品(ただし、複数のコースが用意されている)も絞り込むことで、やはり(付加保険料と言われる)コストをグッと絞ることができ、同時に企業イメージが明確になっています。
 
なお、対象となるマーケットを絞ってはいないようです。年齢制限はありますが、上限が高く設定されており、健康告知で検討が可能です。
 

ハンディのある方と、そのご家族の方だけを対象にした少額短期保険

知的や発達の面でハンディのある方とそのご家族は、健康告知の質問が壁になったり、相談に応じる保険募集人(=保険を販売する資格を持った担当者のこと)に対応のノウハウが少ないなどを理由として、一般的な生命保険や医療保険の加入を検討することが難しいようです。
 
しかし、少額短期保険の中には「ハンディのある方と、そのご家族の方だけ」を対象にした会社があります。
 

ラテンな雰囲気たっぷりな少額短期保険

「ラテンな雰囲気」というタイトルに頭の中が「???」となってしまった方もいらっしゃったかもしれませんが、こちらの会社名が何ともラテンなのです。
 
こちらの保険はもともと、日本に在住する、南米からの外国人労働者を対象としてスタートしました。今では南米に限らず、短期滞在を含めた日本在住の外国人や、日本人を対象としています。
 
10カ国語に対応する、国際色豊かな少額短期保険会社です。ただ、筆者としては、かつてのラテンな雰囲気たっぷりなホームページが、シンプルなデザインに変わってしまったのが寂しいところです。
 
それはともかく、こちらの保険は日本在住の外国人に必要とされる、生命保険・医療保険・損害保険(家財を対象にした火災保険・個人賠償・救援費用)の他、外国人技能実習生や留学生など、目的に応じたパッケージプランまであります。そして、日本人向けには価格破壊とも言える商品が用意されています。
 
在日外国人の方だけでなく、日本人の方も必見の少額短期保険会社です。
 

まとめに代えて…

生保系の少額短期保険は、これまで述べたように販売チャネルやマーケット、さらには取り扱う商品までも絞っている会社が多くあります。
 
絞られたマーケットの中には、少額短期保険ではない生命保険会社が避けてきたマーケットも含まれているのではないでしょうか。
 
一般的な生命保険会社は、一社で定期・養老・終身に個人年金、そして医療にがん保険と、まるで生命保険のデパートとも言える品揃えです。それに対し、少額短期保険は「知る人ぞ知る」専門店的な会社が多いように思われます。
 
Text:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役 専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師

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