42歳、妻と子のために手厚い死亡保障をつけていますが、「遺族年金」があるなら生命保険に入らなくても大丈夫でしょうか?

配信日: 2023.07.15

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42歳、妻と子のために手厚い死亡保障をつけていますが、「遺族年金」があるなら生命保険に入らなくても大丈夫でしょうか?
家族の生活や子どもの進学、家賃や住宅ローンの支払いなど自身にもしものことがあったときに備えるために、生命保険の死亡保障を契約している人は多いでしょう。
 
しかし、自身の死後、家族に残せるお金は生命保険のみではありません。遺族年金を利用すれば、100万円前後の金額が毎年支給されることもあるため、残された家族にとって生活の大きな支えとなります。
 
一方で、遺族年金があるなら生命保険は必要ないのでは? と思う人もいるかもしれません。本記事では、具体的な例をもとに遺族年金でもらえる金額から生命保険の必要性について解説します。
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42歳男性が死亡、遺族年金はいくらもらえる? 遺族年金だけで残された家族を養える?

以下のケースを例に、遺族年金について一緒に確認していきましょう。
 

Aさん:42歳男性、会社員(2003年4月に入社後、同社に継続して勤務)、妻と子ども2人(12歳・10歳)と一戸建てに居住。

 
まず、遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。このうち、遺族基礎年金は子どものいる国民年金加入者が条件を満たしている場合に支払われる公的な年金制度です。一方で、遺族厚生年金は厚生年金に加入している雇用社員、または老齢厚生年金をもらう権利がある人が条件を満たすことで受給できます。
 
2023年6月時点で発表されている2023年4月からの遺族基礎年金の受給額は79万5000円+子の加算額(2人目までは1人につき22万8700円、3人目以降は7万6200円)、遺族厚生年金は老齢厚生年金の報酬比例部分に4分の3をかけたものが受給額になります。報酬比例部分の年金額を求めるために厚生年金に加入した月数を使用しますが、加入期間が25年に満たない場合は加入期間を300月として計算されます。
 
なお、遺族厚生年金の報酬比例部分は、平均標準報酬月額または平均標準報酬額に過去の加入期間等をかけて求めます。2003年3月までの加入期間の計算は平均標準報酬月額を使用しますが、2003年4月以降の加入期間には平均標準報酬額を用いるため注意が必要です。
 
仮にAさんの平均標準報酬額を30万円として計算した結果、遺族年金として毎年支給される総額は162万2367円です。生命保険では保険金を受け取る際に税金が発生しますが、遺族年金は非課税のため全額を受け取ることができます。
総務省が発表している2人以上世帯における2022年度年間支出金額349万380円のうち、生活費などを表す基礎的支出は207万2700円でした。遺族年金の支給額は総支出金額に比べて約180万円少なく、年間の生活費にも45万円ほど足りないため、遺族年金のみで家族の生活を補うことは難しいでしょう。
 

生命保険はもういらない? 遺族年金はすぐに支払われないので注意が必要

遺族年金のみでは生活費をすべてカバーできないことが分かりました。
 
公益財団法人生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査」によると、2021年度における40~44歳の生命保険加入率は60%であり、約6割の人が生命保険に加入しています。また、死亡保険金額の平均は2713万5000円と全体や男性の平均金額よりも高い傾向にありました。
 
一方で、40~44歳男性の年間保険料の割合をみてみると、約半数が月に1~3万円の保険料を支払っています。生命保険への加入に悩む人もいるかもしれません。
 
しかし、遺族年金のみに頼る場合、子どもの年齢によってもらえる金額が変わること以外にも注意点があります。それは、遺族年金が支給されるまでの期間に約110日のずれが生じることです。
 
厚生労働省の提示している遺族基礎年金をもらうまでの手順を見ると、年金の請求から約60日後に年金証書・年金決定通知書が日本年金機構より送付されます。さらに、送付から約50日後に年金の受給が始まるため、もしものときに備えて、ある程度のまとまった金額を手元に蓄えておく必要があります。
 

まとめ

遺族年金による年間100万円以上の支給は、残された家族の生活を支えるために大きな存在となります。一方で、年間に必要な生活費やその他のお金を考えると足りないことも事実です。
 
加えて、子どもの年齢が18歳(障害等級によっては20歳)になった年の年度を過ぎてからは遺族基礎年金による支給はなくなります。子どもの学費などに備えるには、生命保険や妻の稼ぎなどがないと厳しいものがあるでしょう。
 
とはいいつつも、手厚過ぎる生命保険に入ると保険料も高くなります。自身の生活を振り返って、家族が生活していくには、どの程度のお金が必要になるのか、じっくり考えた上で決めるのが望ましいですね。
 

出典

日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)

日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)

総務省統計局 家計調査(家計収支編) 時系列データ(二人以上の世帯)

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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