いじめも保険で補償される時代に!「トラブル対策費用補償特約」が誕生。その概要を解説!
配信日: 2023.07.15
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
トラブル対策費用補償特約の概要
トラブル対策費用補償特約とは、大手保険会社の東京海上日動火災保険株式会社が令和5年10月から販売を開始する予定の保険商品です。
昨今、学校においていじめやネット上でのやり取りに関するトラブルが社会問題となることが増えました。そういった状況において児童や生徒、そしてその保護者の不安を取り除き、安心して日常を送れるようにすることを目的としています。
子どもがいじめや嫌がらせ、プライバシーや肖像権の侵害などの被害を受けた場合に、再発防止のための費用や転校、カウンセリングに必要となる費用が保障されるようです。
図表
出典:東京海上日動火災保険株式会社 いじめやネットトラブルに対応する「トラブル対策費用補償特約」の販売開始
すなわち、同保険に加入することで、いじめについて初期段階での対応から最終段階まですべての段階が補償されることになります。支払われる保険金は1事故あたり20万円が限度となります。それに対して概算保険料は月額120円と低額で、保険加入が家計に大きな負担となることがありません。
ただし、実際に募集が開始される頃には保険内容や条件などが変更されることもあります。
加入していることが周囲にバレることがない
子ども本人や保護者の中には、同保険に加入していることをバレたくない方もいらっしゃるでしょう。バレたらいじめの対象となるのではないかと、SNS上では懸念するコメントが散見されます。しかし、そういった心配は不要です。従来の保険商品と同様、加入内容などは個人情報として厳重に管理されるため、公表されたり漏れたりして外部に知られることはありません。
加入することによってどのような場面で役に立つ?
同保険は通っている学校やPTAが契約者となる団体契約「団体総合生活保険・こども傷害補償」に弁護士費用等補償特約(人格権侵害等)とともにセットで加入するタイプになります。
いじめ問題に関しては当事者同士での話し合いがうまくいかないケースや法的解釈が難しい場面も多々あります。
そんなとき、弁護士費用等補償特約を利用して弁護士にいじめについて相談したり、場合によっては相手に損害賠償を請求する依頼をしたりします。そして、トラブル対策費用補償特約を利用して防犯や転校、カウンセリングにかかる費用も保険でカバーするというように、いじめに関する一連の流れをカバーすることができるのです。
このように、いじめの解決や子の保護に大きく寄与するのがトラブル対策費用補償特約なのです。
いじめ問題に備えて入っておくべきか否か
小学校から高校、そして特別支援学校などにおけるいじめ認知件数は、2021年度で61万5351件とされています。これは11年前にあたる2010年度と比較すると、約8倍にものぼる数値です。また、インターネット違法・有害情報相談センターへ寄せられた件数は2010年度の約5倍になります。
これらはあくまでも認知されている件数であり、氷山の一角です。実際にはもっと多くの問題が起きているはずです。もはや、いじめ問題は人ごとではないでしょう。いじめ問題の被害者となったときに子どもを守るためにも、加入できる状況であれば、加入しておいてもよい保険だといえます。
まとめ
トラブル対策費用補償特約は月120円の負担で、子どもをいじめ問題から守る手段の一つになります。同保険によって多くの子どもが救われると同時に、同保険がいじめ問題に対して一定数の抑止力となり、世間がいじめ問題について考え直すきっかけにもなることを願ってやみません。
今まさに子育て世帯の方は、トラブル対策費用補償特約の加入について検討してみることをおすすめいたします。
出典
東京海上日動火災保険株式会社 いじめやネットトラブルに対応する「トラブル対策費用補償特約」の販売開始
執筆者:柘植輝
行政書士