更新日: 2023.07.24 損害保険
高級な骨董品が壊れてしまった! 火災保険で明記物件の申告をしていないけど、どうなるの?
高額な骨董品なども保険の対象にできますが、明記物件として申告が必要な場合があります。その申告を忘れた場合にも補償対象となるのか、解説します。
執筆者:小山英斗(こやま ひでと)
CFP(日本FP協会認定会員)
1級FP技能士(資産設計提案業務)
住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
未来が見えるね研究所 代表
座右の銘:虚静恬淡
好きなもの:旅行、建築、カフェ、散歩、今ここ
人生100年時代、これまでの「学校で出て社会人になり家庭や家を持って定年そして老後」という単線的な考え方がなくなっていき、これからは多様な選択肢がある中で自分のやりたい人生を生涯通じてどう実現させていくかがますます大事になってきます。
「未来が見えるね研究所」では、多くの人と多くの未来を一緒に描いていきたいと思います。
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火災保険の補償範囲とは
火災保険は、その名前に「火災」と付くことから、火事で損害を被ったときに補償される保険と思っている人は少なくないようです。しかし、火災保険の補償範囲は火災に限らず、「不測かつ突発的な事故」による損害を対象としており、その補償範囲は広くカバーされています。
具体的には、火災の他にも、落雷や台風などによる風災・水災といった自然災害による損害や、ガス漏れによる爆発や、水漏れなどの損害、盗難などによる損害なども補償の範囲となります。ただし、どこまでを補償範囲に含めるかは、火災保険の契約ごとに決めることになります。
なお火災保険では、地震、噴火、またはこれらによる津波を原因とする損害は補償されません。それらの原因による損害に対して補償を得るためには、地震保険の加入を検討する必要があります。
火災保険の主な保険対象
火災保険の保険対象は、主に「建物」と「家財」となります。保険対象を建物だけとしたり、もしくは家財だけを保険対象としたり、また、その両方を保険対象にすることもできます。
以下に一般的な火災保険の対象となる範囲をあげますが、実際の保険対象は保険会社ごとに異なることがありますので、契約の際には確認が必要です。
保険対象となる建物の範囲
保険の対象となるのは建物本体だけでなく、システムキッチンやバス・トイレ、床暖房といった屋内設備も含まれます。
また、建物がある敷地内に設置されている屋外設備も保険の対象となります。例えば、門や塀、物置、物干し、カーポートや車庫などがあげられます。他にも、庭木や、ボルトやネジなどで固定されている電気・ガス・冷暖房設備も対象となります。
保険対象となる家財の範囲
建物内にある家財だけでなく、敷地内の車庫や、物置に収納されている家財も保険の対象となります。家財には、例えば、家具や家電製品、衣類、自転車などの生活用動産の他にも、貴金属や宝石、骨董品といった美術品なども対象に含まれます。
火災保険の明記物件
火災保険の「明記物件」とは、保険の申込み時に見積り金額を記載し、保険証券に明記しなければ保険の対象に含まれないものを指します。「明記物件」は、1個、または1組の価額が、30万円を超える貴金属や宝石、書画や骨董品といった美術品などが対象となります。
「生活用動産」といった家財は、比較的その価値がはっきりしやすい一方で、「明記物件」の対象となるものは、その価値の評価が難しいといえます。
「明記物件」の損害に対しては、一般的には時価額で評価して補償がされますが、保険会社によっては補償額に上限を設けているなど扱いが異なりますので、補償条件の確認が必要です。
明記物件の申告を忘れた場合
「明記物件」としての申告を忘れた場合は、基本的には補償はされません。ただし、保険期間を通じて1回の事故に限り、1個または1組30万円までは補償される、といったように、保険会社により扱いが異なります。どのような扱いになっているかは、各保険会社に確認しましょう。
明記物件の申告が不要な場合
「明記物件」は、その価値の評価が難しいものが対象となります。一方で、一般的に流通しているもので評価額がはっきりしている場合は、申告の必要はありません。例えば、1個または1組の価額が30万円を超えるような高価な電化製品や家具であっても、広く流通していて具体的な評価が可能なものは申告不要です。
まとめ
火災保険でも、「明記物件」のように、個別に申告しないと補償を受けられないものもあります。家財に対象のものがある場合は、忘れずに申告するようにしましょう。また、補償範囲や内容も、各保険会社によって異なる場合がありますので、契約の際には必ず保険会社などに確認するようにしましょう。
出典
「総務省消防庁」 損害保険の種類 火災保険
執筆者:小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)