再確認!「ほんとうに加入すべき保険」とは?
配信日: 2023.08.02
そこで、今回は保険の必要性についてお話します。
執筆者:秋口千佳(あきぐちちか)
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士
保険に対する印象の移り変わり
日本人は全体的に、保険に対して好意的な考え方を持っている人が多いです。それには、高度経済成長期やバブル期の高い利率が影響しています。その当時、貯蓄型保険が主流であったため、高い利率は大きな魅力でした。
また、サラリーマンにとって、外交員が職場まで出向いてくれて、大切なお金が将来増えることや、万一のときに家族にお金を残すことができる、ということを教えてくれる保険会社は、親切な存在であり、その影響で加入する人も多かったようです。
さらには、社会人になると、親からも「保険には加入しなさい」などと言われたため、何の疑いもなく加入したことでしょう。
ところが、バブル経済の崩壊に伴い、家計が苦しくなると、毎月固定で支払う保険料が注目されることとなりました。すると、その人に必要のない保障額の保険に加入している事実(おひとり様の死亡保険金1億円など)が発覚するなどし、「保険を見直す必要がある」といった流れが世の中に広まっていったのです。
保険に加入している理由を言えますか
ファイナンシャル・プランナー等にお金の相談をする場合、その理由は十人十色ですが、相談において、ファイナンシャル・プランナーは必ずと言っていいほど、家計の内容を聞きます。その際、必然的に保険料の年間の支払額に注目することになります。
人によっては、保険料が年間の収入額と比較して家計を圧迫しているケースもあり、保険料を支払うことで楽しい家族行事を我慢しているといったこともあるようです。
そのような場合は、保険の見直しの話をすることがあります。見直す必要のある人の大半は、自分が入っている保険の内容を知らない傾向にあります。もし、保険料が少々多くても、入っている保険の内容を把握し、こういう理由のもと保険に加入しています、と言える人は、ほとんど見直す必要はありません。
つまり大切なことは、何の目的で保険に加入しているか、です。
お金の居場所を決める
家計の管理においては、お金を「分ける」ことがおすすめです。色分けなどできれば分かりやすいですが、実際に持っているお金を色分けする訳にはいかないので、「お金の居場所」を決めてあげるのが良いでしょう。
居場所は大きく分けて4ヶ所です。「銀行や信用金庫等」「保険会社」「証券会社」「財布」です。この居場所に、手取り収入額を割合を決めて分けてあげるのです。
もちろん、今の自分の立場(年齢、おひとり様、おふたり様、配偶者と子がいる、配偶者と子と親がいる等)により、その「居場所」に置く手取り収入の割合は異なりますが、あらかじめ割合を決めておくことで、家計管理がしやすくなります。
そのときに注意して欲しいのが「保険会社」です。ここに置く割合は必要な保障額に合ったものにしてください。
保険は万一のときのお守りです
保険料はかかるし、そもそも保険に入った方が良いのか迷う人もいるかもしれません。ただ「保険に加入する必要がありますか」という質問に対する答えは、「必要な人は入るべき」です。保険は万一のとき(「保険事故」と言います)にしかお金が支払われません。つまりその万一のときに、手元にお金がないと不安があるのであれば、入るべきです。預貯金額が少ない人は一番に考えた方が良いでしょう。
しかし、不安の額をすべて保険でカバーすることは不可能です。そのような保険に入るとすれば、保険料が高額になり支払えなくなるからです。保険はあくまでもお守りなのです。
仮に、おひとり様で自分が亡くなったあとが気になるのであれば、必要最低限の死後費用を残すために生命保険に加入するのは問題ありません。ただし、その金額を預貯金で残しておけるのであれば、保険に加入する必要はありません。
老後の医療費(入院・手術・治療等)が不安なのであれば、高額療養費制度を使っても足りないと思う分を保険で補うことは必要かもしれません。このときは、自分が終末医療をどうしたいのかも合わせて考えてください。先進医療をできる限り使って生きたい、といった希望があるのなら先進医療の保障をつける必要があるからです。
つまり、その人その人に応じて必要な保険は異なります。いまこの保険が人気です、といった言葉に惑わされず、自分に合った保険を選んでください。
執筆者:秋口千佳
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士