知ってましたか?介護保険、2018年8月から所得の高い高齢者は自己負担3割へ

配信日: 2018.08.17 更新日: 2019.01.10

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知ってましたか?介護保険、2018年8月から所得の高い高齢者は自己負担3割へ
8月1日から、介護サービスを利用したときの負担割合が2割負担から3割負担に引き上げられます。対象は、2割負担の方の中で特に所得の高い方です。
 
負担増となるのは利用者全体の約2.5%にあたる約12万人とされています。対象者かどうかは、市区町村から送られてくる「負担割合証」で確認できます。
 
3割負担になるかどうかの判定基準と負担割合を軽減するしくみについて解説します。
 
新美昌也

Text:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

負担割合の判定基準

介護サービスを利用したときの負担割合は原則1割負担です。しかし、65歳以上の方は、所得に応じて1~3割負担になります。
 
65歳以上の本人が住民税を課税されていない、または生活保護を受給している場合、あるいは、本人の合計所得金額が160万円未満の場合は1割負担となります。
 
本人の合計所得金額が160万円以上220万円未満の方で同一世帯の65歳以上の方(本人含む)の年金収入とその他の合計所得金額が単身で280万円以上、2人以上世帯で346万円以上の方が2割負担となります。
 
さらに、本人の合計所得金額が220万円以上の方で同一世帯の65歳以上の方(本人含む)の年金収入とその他の合計所得金額が単身で340万円以上、2人以上世帯で463万円以上の方が3割負担となります。
 
負担割合は毎年6月、前年の所得で判断され、市区町村から自宅に「負担割合証」が送られてきます。
 

合計所得金額とは?

合計所得金額とは年金・給与等の収入から必要経費に相当する金額を控除した金額で、扶養控除や生命保険料控除、社会保険料控除などの各種所得控除をする前の金額をいいます。
 
平成30年度から負担割合の判定において、土地売却等に係る特別控除がある場合には、長期譲渡所得および短期譲渡所得に係る特別控除を控除した金額を用いるようになりました。
 
その他の合計所得金額は公的年金等に係る雑所得を除いた金額です。
 

負担割合を軽減するしくみ

今まで2割負担だった方が3割負担になった場合、負担が1.5倍になるわけではありません。負担割合を軽減するしくみとして「高額介護(介護予防)サービス費」があるからです。
 
高額介護(介護予防)サービス費は、同一月に利用したサービスの自己負担額が高額になった場合、一定額を超えた分を、申請により払い戻してもらうしくみです。同一世帯内に複数のサービスの利用者がいる場合は、世帯の合計額になります。医療保険制度における高額療養費と同じ趣旨です。
 
自己負担の上限額は1か月、所得に応じ15,000円~44,400円となっています。3割負担の方は、月44,400円が上限なので、これを超えた場合は実際の負担額は3割よりも低くなります。高額介護(介護予防)サービス費を忘れずに申請しましょう。
 
なお、差額ベッドが高額療養費の対象外であるのと同様、施設サービスでの食費・居住費・日常生活費、福祉用具の購入費、住宅改修費など介護保険給付対象外のサービスの自己負担は、高額介護(介護予防)サービス費の対象外ですので注意してください。
 
高額介護サービス費の対象となる人には、市区町村から高額介護サービス費の申請書と案内が郵送されます。
 
この申請書に必要事項を記入して申請すれば、指定の口座に数か月後に高額介護サービス費が振り込まれます。初回に申請すれば2回目以降の申請は必要ありません。
 
さらに、8月から翌年7月までの1年間の医療保険と介護保険の自己負担(高額サービス費や高額療養費で払い戻された部分を除く)が一定の限度額を超えた場合は、その超えた分を申請により後から払い戻してもらえる「高額医療・高額介護(介護予防)合算制度」というしくみもあります。
 
なお、同じ世帯でも、家族がそれぞれ異なる医療保険に加入している場合は合算できません(夫が後期高齢者医療制度、妻が国民健康保険といった世帯等)。対象となる場合に、市区町村などからお知らせが来ない場合もありますので注意してください。
 
実際、介護を受けている方が、これらの手続きを忘れずに行うのは難しいかもしれません。家族の方がフォローしてあげてください。
 
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。

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