40歳になったら誰でも当事者! 介護保険料や費用のカバーに…民間介護保険の選び方
配信日: 2023.08.16
つまり、85歳以上の5人に2.9人は要介護認定を受ける可能性があります。要介護状態になったとき、頼りになるのが公的介護保険ですが、介護保険料や利用者の自己負担は年々増え続けています。
高齢者は貯蓄を取り崩して生活しているのが一般的で、介護にかかる費用は重くのしかかっています。この費用をカバーするのに、民間介護保険が有益です。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
民間介護保険とは
民間介護保険は、被保険者が寝たきりや認知症などにより、保険会社所定の要介護状態になったときに保険金(一時金・年金・両方)が支払われる保険です。
加入方法としては、終身保険などの主契約に「介護の特約」を付加する方法や、主契約として「介護保険」に加入する方法などがあります。特約の場合、主契約を解約したり、払済保険に変更したりする場合など特約は消滅しますので、主契約タイプがよいでしょう。
告知項目は、医療保険などに比べ少ないです。民間介護保険を選ぶポイントは、支払条件、保障期間、介護年金の受取期間、死亡保障の有無、払込免除特約です。特に、支払条件の確認は重要です。
支払条件
支払条件は保険会社によってさまざまですが、主として、
(1) 公的介護保険の要介護度に連動して支給されるタイプ
(2) 保険会社所定の要介護状態が一定期間(180日等)継続した場合に支給されるタイプ
(3) (1)(2)両者の併用タイプ
があります。
(1) 公的介護保険の要介護度に連動して支給されるタイプ
主流は要介護2以上ですが、要介護1から支給される商品や、要介護3以上という商品もあります。自治体の要介護認定は厳しくなっているので、要介護3以上の商品は避けたほうがよいでしょう。
長所は、公的介護保険連動タイプは支払条件が明確な点です。短所は、40~64歳は特定疾病以外で要介護状態になった場合や、40歳未満は公的介護保険の対象外である点です。また、公的介護保険の認定基準が、将来厳しくなったときに影響を受ける点も短所といえます。
(2) 保険会社所定の要介護状態が一定期間(180日等)継続した場合に支給されるタイプ
所定の要介護状態とは、「日常生活動作において介護が必要になった場合」や「認知症と診断され、見当識障害等が見られた場合」など保険会社によりさまざまです。長所、短所は公的介護保険連動タイプの逆になります。
保障期間
有期(10年、20年など一定期間、もしくは70歳や80歳など一定の年齢まで)と、終身の2種類があります。高齢になるほど要介護認定率が上がるので終身保障が安心です。
介護年金の受取期間
有期(10年などの一定期間、または保険期間の満了まで)と、終身の2種類があります。有期も終身も、一般的には所定の要介護状態が続いていることが、継続して年金を受け取るための条件となっています。1度でも要件に該当すれば、継続して年金を受け取れる商品もあります。
(公財)生命保険文化センターの「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、介護を行った期間(現在介護を行っている人は、介護を始めてからの経過期間)は平均61.1ヶ月(5年1ヶ月)ですが、10年以上も17.6%います。介護年金の受取期間は、有期なら10年以上、または終身が安心です。
死亡保障
すでに死亡保険に加入しているのであれば、民間介護保険に死亡保障は不要です。民間介護保険の掛け捨てが希望でない場合は、死亡保障のある民間介護保険も選択のひとつです。
払込保険料免除特約
公的介護保険は、要介護状態になっても保険料の支払いは免除になりません。保険料は3年ごとに増えていきます。これに民間介護保険の保険料が加わると介護保険金を受け取っても大きな負担です。支払条件に該当したら以後の保険料の払い込みが免除になるタイプがよいでしょう。
出典
厚生労働省 令和4年版厚生労働白書 -社会保障を支える人材の確保-(本文)
公益財団法人生命保険文化センター 2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。