自転車をよく使う人は必見! 自転車保険が義務化されました
配信日: 2018.08.30 更新日: 2019.03.26
普段、通勤や通学で自転車を利用している人は、今どんな保険に入っているのか、新たに自転車用の保険に加入する必要があるのかなど、この機会に確認をしておきましょう!
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自転車保険の必要性
自転車は誰でも気軽に乗ることができますが、時に凶器となり得ます。
自転車事故の賠償事例
事例1
当時11歳の男の子が自転車に乗って帰宅中に、歩行中の62歳の女性と正面衝突し、女性は頭蓋骨骨折などにより、意識が戻らない状態となりました。この事故で神戸地方裁判所は9,521万円の賠償金の支払いを命じました。(平成25年7月4日判決)
事例2
男子高校生が自転車で歩道から車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で直進してきた会社員の男性と衝突。男性会社員は重大な障害(言語機能の喪失等)が残りました。この事故で東京地方裁判所は9,266万円の賠償金の支払いを命じました。(平成20年6月5日判決)
このような高額な賠償金を請求される事故は後を絶たず、被害者の保護と加害者の経済的負担を軽減するために、自転車保険の必要性が高まっているのです。
平成27年10月、兵庫県で初めて自転車保険が義務化されたのを皮切りに、全国の都道府県、自治体で続々と義務化が始まっています。お住まいの地域では、自転車保険が義務化されているのか、是非この機会に確認してみてください。
自転車保険とは
自転車保険とは、自転車事故等によるケガや被害者への賠償に対して補償する保険のことで、一般的に自分のケガに備える「傷害保険」と他人にケガを負わせた時などに補償される「個人賠償責任保険」を組み合わせたものとなります。
自転車事故だけではない
誤解をしやすいのが、自転車で起きたケガや事故だけを補償するものと思われがちですが、自転車保険に付いている傷害保険は「交通傷害保険」というタイプがほとんどであり、自転車に限らず “交通乗用具に起因する事故”を対象にしています。
交通乗用具とは電車、自動車、飛行機、ヨット、車椅子、ベビーカー、エレベーター、エスカレーターまで、動く乗り物全般を指します。
個人賠償責任保険についても、日常生活において意図せず他人の身体を傷づけてしまった、モノを壊してしまったなど、法律上の賠償責任を負った場合の経済的負担をカバーしてくれる保険なので、自転車事故に限ったものではありません。
自動車保険や火災保険でもOK
上記のような補償があれば、自転車保険という商品でなくてもよいわけです。例えば、自動車保険や火災保険にこれらが付帯している場合もあります。
まずは現在加入している自動車保険や火災保険を確認してみましょう。補償がなかった場合でも、オプションで個人賠償責任保険特約や傷害保険などを付けられる場合があります。
自転車保険の補償内容
自転車保険には以下のような補償やサービスがあります。
・個人賠償責任
・死亡保険金
・入院・手術給付金
・示談交渉サービス
・弁護士費用の補償
・ロードサービス
・車両盗難特約
保険料は様々ですが、保険期間1年で3,000円~1万円ほどのものが多く、保険料が高いものほど個人賠償責任補償(1億円~3億円)の金額が大きくなり、補償の内容も充実しています。
TSマーク付帯保険
自転車保険には、民間の保険会社が提供している保険商品以外に、サイクルショップ(自転車安全整備店)で点検をする際に加入できる、自転車の車体に付帯される“TSマーク付帯保険”があります。
青色マークと赤色マークがあり、賠償内容が違います。青色マークは賠償責任補償が1,000万円であるのに対し、赤色マークは平成29年10月1日から1億円になるなど(※)補償が手厚くなっています。
※平成29年9月30日までに貼付した赤色TSマークは5,000万円
保険期間は点検日から1年間なので、年に1回は自転車の点検をする必要があります。くれぐれも保険期間が切れることがないように、点検更新お知らせハガキを送ってもらえるお店を選ぶとよいでしょう。
点検・整備代金が保険料となり、自転車の状態や店によって代金は異なりますが、1,500円から2,000円程度が相場となります。
自転車保険まとめ
お住まいの地域が現在、自転車保険を義務化していなくても、多くの自治体で努力義務として、義務化への動きを進めています。
普段、自転車に乗る機会が多い人は自転車保険を検討した方が良いでしょう。
自転車で自分がケガをした場合には、医療保険に加入していれば、自転車保険の主契約である傷害保険の必要性は低いでしょう。たとえ治療費が高くなっても高額療養費制度で抑えることができます。(高額療養費制度については、こちらをご覧くださいね。)
問題は、他人に被害を及ぼした場合です。
つまり、自転車保険で最も重要なのは個人賠償責任の補償です。この補償がすでに既存の保険でカバーされていれば、新たに自転車保険に加入する必要はありません。まずは、既存の自動車保険や火災保険の補償内容を確認してみましょう。
また、家族が個人賠償責任保険に加入していて、契約者本人だけでなく、家族も補償対象となっている場合も必要ありません。但し、「本人型」「家族型」と補償プランが分けられ、家族の補償が充分でない場合は新たに検討する必要があります。
個人賠償責任保険は単体では加入できないため、自動車保険や火災保険の特約として付ける必要があります。
特約の保険料と、新規で自転車保険に入る場合の保険料を比べてみて、補償内容も考慮して、どちらに加入した方が得かを判断しましょう。
自転車は非常に便利な乗り物です。一方で危険と隣り合わせであることも忘れてはいけません。自転車を安全に快適に利用するためにも、万が一の備えは忘れずにしておきましょう!
TEXT:マネラボ お金と投資の知っトク研究所
石倉 博子(いしくら ひろこ)
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®認定者。