【交通事故は減少傾向!?】自賠責保険の賦課金(ふかきん)ってなに? 賦課金の使い道は?

配信日: 2023.10.10

この記事は約 3 分で読めます。
【交通事故は減少傾向!?】自賠責保険の賦課金(ふかきん)ってなに? 賦課金の使い道は?
一言で車といっても、乗用車、バス、トラック、そしてオートバイもあります。これらは交通手段として欠かせないツールであるとともに、物流に欠かせないものです。
 
その一方で、車を利用することにより交通事故等のリスクもあります。交通事故による被害者救済の目的で設けられているのが、自動車賠償責任保険(いわゆる自賠責保険)です。原動機付自転車を含む、すべての自動車に加入を義務づけられています。
大泉稔

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

減り続ける交通事故

交通事故の件数とそれに伴う負傷者数は、平成16年をピークにおおむね減少トレンドを維持しています。最近の車には自動ブレーキが装備されるなど、安全面での性能が向上しています。そのような性能の向上は交通事故の減少という結果に貢献しているともいえるでしょう。
 
しかし、交通事故の件数がゼロになったわけではありません。
 

2023年度の自賠責保険の保険料は平均で1割以上の引き下げ

交通事故の件数とそれに伴う負傷者数の減少は、自賠責保険の保険料の引き下げ(2023年度は平均で11.4%)という成果にもつながっています。一方で、自賠責保険などの保険料に含まれる、賦課金の使途を拡大するという改正がなされました。
 

<自賠責保険の保険料に含まれる賦課金とは?>

自賠責保険の保険料には賦課金が含まれています。2022年度までの賦課金の使い道は、主に自賠責保険・共済に加入していない、いわゆる無保険(無共済)車による事故や、ひき逃げによる被害者の死亡・けがの補償に充当していました。
 
無保険車やひき逃げの被害者への補償に充てる賦課金の額は車種等によって異なります。自賠責保険1年契約の場合で、東京都等のタクシーと自家用乗用車を例に挙げます。以下のとおりです。
 

<主な車種ごとのひき逃げ・無保険車による事故の救済に充てる賦課金額>

東京都等のタクシー(2022年度):166円、(2023年度)37円
自家用乗用車(2022年度):16円、(2023年度)4円

 
国土交通省によると、新たな賦課金の額は、年間1台当たり平均で約125円として、これにより、被害者支援や事故防止対策を安定的かつ継続的に実施する仕組みへの転換を図るとしています。
 

賦課金の使い道の拡大

2023年4月より、自賠責保険の保険料に含まれる賦課金の使い道が拡大しました。無保険車やひき逃げの被害者への補償はもちろん続きますが、交通事故被害者の介護やリハビリ等の支援の充実や、先進的かつ安全とされる自動車の導入支援など、事故の防止策の推進に活用されます。
 
交通事故の被害は、年齢を問いません。特に、若いときに交通事故に遭い、後遺障害を負われた方とそのご家族は、長期にわたり治療・リハビリ・介護の必要が生じ、それに伴う金銭的な負担も長く続きます。そうした方々の支援に充てるために賦課金の使い道を拡大します。
 

自賠責保険の保険料に含まれる被害者支援・事故防止策に充てる賦課金の額

以下は自賠責保険の保険料に含まれる被害者支援・事後防止策に含まれる賦課金の額です。いずれも1年契約で、1台当たりの年間の額(1年契約の場合)です。
 

<主な車種ごとの被害者支援・事故防止対策に充てる賦課金額>

営業用のバス、タクシー、トラック等:150円
自家用乗用車、軽自動車等:125円
原動機付自転車等:100円

 

まとめ

自賠責保険の加入は、車を保有している人の義務ですし、加入しないことで罰則もあります。特に車検のない原動機付自転車をお持ちの方は気を付けましょう。
 

出典

損害保険料率算出機構 自賠責保険基準料率届出のご案内
警察庁 統計表

国土交通省 あなたの自賠責保険料・共済掛金が交通社会に暮らす誰かを支えている

 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集