個人賠償責任保険ってどんな保険? 自転車事故も補償の対象になる?

配信日: 2023.10.27

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個人賠償責任保険ってどんな保険? 自転車事故も補償の対象になる?
個人の方を対象にした、保険の基本をおさらいましょう。今回は、「個人賠償責任保険」です。車は持っていなくても、また持ち家に住んでいなくても、例えば自転車を利用される方はこの保険の契約が必要かもしれません。
大泉稔

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

補償内容

「他人のモノ」を壊してしまったり、「他人にけが」をさせてしまったりしたときなどに、その弁償額が保険金として支払われます。ただし、法律上の損害賠償責任を負った場合にかぎられ、故意等の場合は除きます。また、車等が起こす交通事故については自動車保険で対応しますので、個人賠償責任保険は対象外です。
 

契約方法

自動車保険、火災保険、傷害保険などの契約の特約として、個人賠償責任保険を契約できます。車を持っていないし、住まいは賃貸という方でも、賃貸借契約を結ぶときに、火災保険の加入手続きも一緒に行っている可能性があります。そのため、その火災保険の特約として個人賠償責任保険に加入していることがあります。
 

ひとつの保険(契約)で家族が起こす事故から守る

個人賠償責任保険は、ひとつの保険(契約)で家族が起こした事故をカバーできます。例えば、父親の自動車保険の特約で個人賠償責任保険を契約している場合、母親や子どもの自転車による交通事故もカバーできます。
 
父親がすでに自動車保険の特約で個人賠償責任保険を契約しているのに、母親が傷害保険の特約で個人賠償責任保険を契約した場合は、無駄な契約になってしまいます。
 

自転車保険加入義務の条例にも応える

東京都では、「令和2年4月1日施行 改正東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」により、都内で自転車を利用する場合には、対人賠償事故に備える保険等に加入している必要があります。また、千葉県でも令和4年7月1日から自転車保険の加入が義務化されていますし、神奈川県でも同じく自転車保険に加入しなくてはなりません。
 
加入が義務となっている自転車保険は、法律上の損害賠償責任を負った場合の事故に備えるためのものです。自転車には自賠責保険等の加入の義務はありませんが、先述のように自治体によっては加入が義務付けられている場合もあります。お住まいの自治体の条例を確認してみましょう。
 

ほかにも、こんな事故に備えて

例えば「買い物中に商品を壊してしまった」「飼い犬が他人に飛び付いてけがをさせてしまった」などという事故で法律上の損害賠償責任を負い、修理代や治療費等を弁償しなければならないときに、この保険で弁償費用をカバーできます。
 

あってはならない事故を起こしてしまった場合には

事故のときには、被害者と話し合う前に契約している損害保険会社に連絡し、事故の報告をしましょう。そして、弁償費用の支払い等について、相談するとよいでしょう。いくら相手が被害者だからといっても、何でも弁償の対象になるとはかぎりません。保険会社に相談なく被害者に支払ってしまった費用は、個人賠償責任保険の対象になりません。
 
なお、交通事故を起こした場合には、警察に届け出る必要があります。届け出がないと、個人賠償責任保険の対象にならない可能性もありますので留意しましょう。
 

まとめに代えて

物価高騰の今、家計から少しでも固定費を減らしたいものです。個人賠償責任保険はひとつの契約で家族を守れますので、もし複数の契約があれば、ぜひ見直ししましょう。
 

出典

東京都生活文化スポーツ局 自転車利用中の対人賠償事故に備える保険等

千葉県 千葉県では自転車保険への加入が義務化されました(令和4年7月1日から)

神奈川県 神奈川県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例の概要

 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役

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