保険の基本をおさらいしよう・・・自転車の事故に備える保険

配信日: 2023.11.06

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保険の基本をおさらいしよう・・・自転車の事故に備える保険
手軽で、健康にも良く、密も避けられるということで、自転車で通勤・通学している方もいるでしょう。また、自転車を利用したレジャーを楽しまれる方も多くいらっしゃいます。
 
ところで、自転車ユーザーの皆さんは、自転車を運転していて「ヒヤッ」としたことはありませんか? 今回は、自転車事故のリスクや保険について考えてみましょう。
大泉稔

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

自転車の事故によるリスク

自転車を運転していて「ヒヤッ」とするだけならまだ良いのですが、実際に事故にあってしまった場合には、以下の3つのリスクが考えられます。


1.自転車を運転していた自分自身がけがを負ってしまう
2.他人をけがさせてしまう
3.(他人の)物を壊してしまう

自転車は車とは異なり、「自分を守ってくれるボディ」がありません。事故を起こしても、事故に巻き込まれても、いずれの立場においても、自転車を運転していた自分自身もケガを負う可能性は、自動車を運転している時よりも大きいといえるでしょう。
 

交通事故に占める自転車事故の割合

警視庁の発表によると、交通事故に占める自転車事故の割合は、2019年以後交通事故全体の20%を超えていて、2022年には23.3%にも達しています。
 
また、自転車を利用している時に、死傷した人の年齢別の割合は、65歳以上で19.7%、15歳~19歳で18.1%、14歳以下で10.4%となっており、自転車の事故を起こし死傷事故に至った割合は高齢者と子どもが多いといえます。
 
高齢者のなかには、車の運転を控える代わりに自転車の利用をしている方もいるでしょう。また、子どもは免許の取得できる年齢ではありませんので、特に高校生は自転車で通学する方も多いのではないでしょうか。
 
自転車の利用頻度が増えれば、それだけ事故の可能性が高まることが統計にも表れていると推察されます。
 

自転車が起こした事故でも問われる責任

自転車は、法律では軽車両となります。車と同じく自転車が事故を起こした場合には、民事上の責任と刑事上の責任をそれぞれ問われることになります。
 
特に自転車が起こした事故によって被害にあった方がいれば、けがを負った人には治療費を、壊した物には修理代を、それぞれ弁済しなくてはなりません。この弁済の義務を負うことが民事上の責任なのです。
 
そして、自転車が起こした事故によって相手の方が死傷してしまった時に、その程度にもよりますが、重過失致傷罪に問われる可能性もあるのです。
 

民事上の責任は保険でカバーできる

自転車が起こした事故によって、負う可能性のある民事上の責任に備える保険が個人賠償責任保険です。火災保険や自動車保険、傷害保険等の特約で契約することもあるでしょう。
 
また、多くの自治体で自転車向けの保険の加入を義務付けている条例が定められていますが、条例でいう「自転車向けの保険」とは民事上の責任に備える保険を指しています。
 

自転車事故でけがを負った自分自身のための保険

既述のとおり、車とは異なり自転車には自分自身を守ってくれるボディがありませんので、自転車事故を起こしても起こされても、自分自身がけがを負ってしまう可能性があります。
 
しかし、個人賠償責任保険はあくまでも民事上の責任に備える保険です。個人賠償責任保険の保険金を自分自身が負ったけがの治療費に充てることはできません。
 
自分自身の治療費に充てるための保険は、例えば、けがによる入院や通院に備える傷害保険や、病気やけがを問わず入院に備えるための医療保険等が考えられます。
 

まとめに代えて

条例等で加入が義務付けられているのは、自転車を利用していた時に事故を起こしてしまい、民事上の責任を負った場合に弁済費用に充てるための個人賠償責任保険等です。けがを負った自分自身のための保険は、傷害保険や医療保険等です。
 
自転車を利用する機会の多い方は傷害保険や医療保険等を見直したり、検討したりしたほうがよいでしょう。
 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役

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