更新日: 2023.11.16 自動車保険
保険の基本をおさらいしよう・・・自動車保険(任意保険)の補償内容
特に、個人の方が所有する車(自家用普通乗用車・自家用小型乗用車・軽四輪乗用車)に絞ると、8割前後が対人賠償と対物賠償に加入しています。本稿では、自動車保険の基本をおさらいします。
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。
組み合わせて契約するのが自動車保険
ひと口に自動車保険といっても、保証内容の「組み合わせ」をして契約することになります。では、どのように組み合わせるのでしょうか?
<相手への賠償と示談代行サービス>
まず「相手への賠償」です。相手への賠償には「対人賠償保険」と「対物賠償保険」とがあります。
■対人賠償保険
契約者(または被保険者)の自動車事故により他人を死亡させたり、後遺障害やケガを負わせたりして法律上の賠償義務が生じた場合に、治療費や慰謝料、休業補償等の弁償に充てます。自賠責保険の限度額を超えた場合に保険金が支払われます。
■対物賠償保険
契約者(または被保険者)の自動車事故により他人の物(=例えば、車や建物など)を壊し、法律上の賠償義務が生じた場合に、修理代などに充てるための保険金が支払われます。なお、対象は他人の物ですので、自分の車で自宅に突っ込んで自宅の修理が必要という場合には「対物賠償保険」は対象外です。
なお「対人賠償保険」と「対物賠償保険」は、どちらも相手への賠償ですので、迷惑を掛けてしまった相手との話し合い(=交渉)が必要になるでしょう。多くの自動車保険には契約者(または被保険者)に代わって、保険会社の担当者が相手との話し合いを行う示談代行サービスが付いています。
<車に乗っている人のための補償>
「車に乗っている人」のための補償として、「人身傷害保険」「搭乗者傷害保険」「自損事故保険」「無保険車傷害保険」の4つがあります。順に見ていきます。
■人身傷害保険
自動車事故により、契約している車に乗っている人が死亡したり、後遺障害やけがを負ったりした時に、運転していた自身の過失部分を含めて、自分の契約している損害保険会社から、治療費や慰謝料、休業補償等の損害額の全額が支払われます。
つまり、人身傷害保険から保険金を受け取る場合には、原則として相手の対人賠償保険からの保険金を受け取ることはありません。
■搭乗者傷害保険
運転者や同乗者など、契約している車に乗っている人が事故によって死亡したり、後遺障害やケガを負ったりしたときに保険金が支払われます。
なお自身が契約している人身傷害保険や相手の対人賠償保険は「実額」による補償(賠償)なのに対し、搭乗者傷害保険は「定額」の補償となる場合が多いようです。また、搭乗者傷害保険の保険金を受け取っても相手の対人賠償保険からの保険金も受け取ることができます。
■自損事故保険
自損事故、いわゆる単独事故によって契約している車に乗っている人が死亡したり、後遺障害やケガを負ったりした時に保険金が受け取れます。
■無保険車傷害保険
契約している車に乗っている人が事故によって死亡したり後遺障害を負ったりした場合で、損害賠償の義務がある相手が対人賠償保険を契約していない時に保険金を受け取ることができます。なお、無保険車傷害保険ですが「けが」は対象外です。
車両保険
契約している車そのものに対する保険です。契約している車が事故の他、自然災害、盗難等にあった場合に、保険金を受け取ることができます。
なお、車両保険の対象となる事故は、地震等を除いて幅広い事故を対象とするプランや、当て逃げや自損事故を対象外とした補償範囲を限定したプランもあります。補償内容や保険会社によって異なるようですので、よく確認しましょう。
必要な補償と必要な額を
交通事故は、相手や場所を選ぶことができませんから、対人賠償保険や対物賠償保険は「無制限」を契約したほうが良いかもしれません。
保険会社によっては、「車両保険がある場合」と「車両保険がない場合」とで、保険料を比較して案内しているケースもあります。車両保険の有無で保険料の差が大きいかもしれません。まずは必要な補償と必要な額を、じっくりと検討しましょう。
出典
損害保険料率算出機構 2022年度版自動車保険の概況
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役