更新日: 2023.12.04 その他保険

出勤中に「ぎっくり腰」になりました! この場合、労災保険は適用されますか?

執筆者 : 辻章嗣

出勤中に「ぎっくり腰」になりました! この場合、労災保険は適用されますか?
労働者災害補償保険(以下「労災保険」といいます)は、業務または通勤が原因となって発生した災害を補償する保険です。今回は、通勤中に発症した「ぎっくり腰」は労災保険の認定を受けられるのか、詳しく解説します。

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辻章嗣

執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)

ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/

通勤災害とは

通勤災害とは、労働者が「通勤」によって被った傷病などをいいます。この場合の通勤とは、就業に関し、以下の移動を合理的な経路および方法で行うことをいい、業務の性質を有するものを除くとされています。
 

(1)住居と就業場所との間の往復
(2)就業場所から他の就業場所への移動
(3)単身赴任先住居と帰省先住居との間の移動

 
通勤災害と認められるためには、その前提として、(1)から(3)までの移動が労災保険における通勤の要件を満たしておくことが必要となります。
 
なお、通勤の途中で映画館に入る場合や、飲食店で飲酒する場合など、移動の経路を逸脱または中断した場合は、その間およびその後の移動は通勤とはされません。しかし、日常生活上必要な行為であって、以下の行為をやむを得ない理由により必要最小限度の範囲で行う場合は、逸脱または中断している間を除き、合理的な経路に戻った後は再び「通勤」とされます。
 

●日用品の購入その他これに準ずる行為
●職業訓練、学校教育、その他これらに準ずる職業能力の開発向上に資する教育訓練
●選挙権の行使その他これに準ずる行為
●病院または診療所において診察または治療を受けること、その他これに準ずる行為
●要介護状態にある配偶者、子、父母、孫、祖父母および兄弟姉妹ならびに配偶者の父母の介護(継続的にまたは反復して行われるものに限る)

 

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腰痛の労災認定

上述の通勤の要件を満たした場合、その途中で被った傷病が通勤によるものであることが明らかな場合は、通勤災害として労災保険の認定を受けられます。
 
ただし、「通勤」の要件を満たしているかどうかの判定は比較的容易ですが、その傷病が通勤によるものであるか判定することは、困難な場合があります。通勤途中の交通事故でけがをした場合は、明らかに通勤による傷病と判断できますが、「ぎっくり腰」のような傷病はその判定が難しくなります。
 
そこで厚生労働省は、「腰痛の労災認定」というリーフレットを出して、腰痛を「災害性の原因による腰痛」と「災害性の原因によらない腰痛」の2種類に区分して、それぞれ労災補償の対象となるための要件を定めています。
 

1.災害性の原因による腰痛

負傷などによる腰痛で、次の(1)と(2)の要件をどちらも満たしている腰痛が認定の対象となります。
 

(1)腰の負傷またはその負傷の原因となった急激な力の作用が、仕事中の突発的な出来事によって生じたことが明らかに認められること
(2)腰に作用した力が腰痛を発症させ、または腰痛の既往症・基礎疾患を著しく悪化させたと医学的に認められること

 

2.災害性の原因によらない腰痛

突発的な出来事が原因ではなく、重量物を取り扱う仕事など腰に過度の負担のかかる仕事に従事する労働者に発症した腰痛で、作業の状態や作業期間などから見て、「仕事が原因で発症した」と認められる腰痛が、認定の対象となります。
 

通勤途中に発症した「ぎっくり腰」の労災認定

それでは、通勤途中に発症した「ぎっくり腰」が労災認定されるのか、見てみましょう。
 
前述のリーフレットには、「『ぎっくり腰』(病名は「急性腰痛症」など)は、日常的な動作の中で生じるので、たとえ仕事中に発症したとしても、労災補償の対象とは認められません」と記載されています。
 
なお、リーフレットには、「発症時の動作や姿勢の異常性などから、腰への強い力の作用があった場合には業務上と認められることがあります」とも記載されていますが、通勤途上にこのような状況が生起する可能性は、極めて低いものと考えられます。
 

まとめ

通勤中に発症した「ぎっくり腰」が労災保険の補償対象となるためには、通勤の要件を満たしていることが前提条件となります。その上で、その傷病が通勤によるものかどうかの判定を受けることになります。しかし、腰痛はその因果関係を特定することが困難なため、厚生労働省がその基準を定めています。
 
その基準によると、「ぎっくり腰」はたとえ仕事中に発症したとしても、労災補償の対象とは認められず、通勤途中となるとさらに認められにくいものと思われます。なお、労災保険の保障を受けられない場合は、健康保険制度による療養の給付や傷病手当金などの補償を受けることになります。
 

出典

(※1)厚生労働省 労災保険給付の概要

(※2)厚生労働省 腰痛の労災認定
 
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

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