更新日: 2023.12.24 自動車保険
自動車保険料の値上げ! 型式別料率クラスが原因になることがあるって本当?
等級が上がれば保険料が安くなるはずの自動車保険で、どうしてそのようなことが起こるのでしょうか。考えられる理由は、年齢や運転免許証の色(ゴールド免許割引の有無)、走行距離、車の使用目的(日常レジャー・通勤通学・仕事)などがあります。
しかし、これらの理由以外で保険料が上がっているとしたらどういった理由があるのでしょうか。詳しく見てみましょう。
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。
その値上げ、型式別料率クラスが原因かも?
自動車保険の保険料を決める要素の一つに、型式別料率クラスというものがあります。これは自動車の型式ごとに、定められた事故実績に基づいた保険料の割増引率のことです。型式は車検証に載っていますので確認してみましょう。
自動車保険を車両保険・人身傷害(人身傷害保険や搭乗者傷害保険など)・対人賠償・対物賠償の4つに分け、車の型式ごとに4つの項目それぞれに1~17の区分けをします。自家用乗用車(車検証の普通車・小型車)の場合は17クラスに分け、最もリスクが低いのが1、最もリスクが高いのが17と、数字で現わされます。
料率クラスが1クラス上がると保険料は約10%上がります。また、最もリスクの低いクラスと高いクラスとで、保険料は約4.3倍の較差があります。なお、軽自動車の場合には3クラスに分けられていて、最もリスクの低いクラスと高いクラスとで、保険料の較差は約1.2倍です。
型式別料率クラスは、どのように動くのか?
まず「型式別料率クラスがいつ決まるのか?」です。毎年1月1日に型式別料率クラスが決まり、それ以降に保険始期日(保険契約が始まる日)を迎える契約から反映していきます。
型式別料率クラスは先述のとおり、1クラス動けば保険料が約10%変わってきます。では、そのクラスは、どのように変化するのでしょうか?
平均の損害率とその型式の損害率とが見合っていれば、型式別料率クラスに変化はありませんが、もし型式のリスクとクラスが釣り合っていなければクラスは変化します。
平均損害率よりもその型式の損害率が一定以上高ければ料率クラスが1つまたは2つ高くなり、一定以上低ければ料率クラスが1つまたは2つ低くなることもあります。
なお、発売から3年を経過した型式については、-3や-4と型式が動くこともあります。また新しく発売された型式は、排気量や新車価格、発売年月を基に型式別料率クラスを決めていますが、新しく発売されたのが軽自動車の場合には型式別料率クラスは2から始まります。
型式別料率クラスは保険会社が決めるのか?
損害保険料率算出機構では、純保険料率を算出し、これを参考純率と呼んで発表しています。この参考純率を目安にしながら、損害保険会社各社が型式別料率クラスを決めていきます。つまり、同じ型式でも損害保険会社が異なれば、型式別料率クラスも違うということがあるかもしれません。
ところで、OEM(ある自動車メーカーが車を、別メーカーの自社ブランドとして発売する)のように、性能等が同じ車の場合には同一の型式別料率クラスになるのでしょうか。型式別料率クラスは「型式ごとにクラスが違う」のですから、性能等が同じであっても型式が異なれば、型式別料率クラスも異なります。
なお、損害保険料率算出機構で算出している参考純率は、同機構のホームページ上で確認できます(※)。
まとめ
これまで説明してきたように、保険料が上がる理由は、ゴールド免許割引、走行距離、車の使用目的など以外にもあります。まずはご自身の車両や保険がどのようになっているか、確認してみましょう。
出典
損保ジャパン 自動車保険Q&A/料率クラスとは?
自動車保険(参考)型式別料率クラスの仕組み〜2022年1月1月以降〜
(※)損害保険料率算出機構 型式別料率クラス検索
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役