資産運用を始めたいのですが、「変額保険」とはどんな保険でしょうか? どんな人が向いていますか?

配信日: 2023.12.27

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資産運用を始めたいのですが、「変額保険」とはどんな保険でしょうか? どんな人が向いていますか?
「変額保険」について聞いたことはありますか。変額保険は、「変額」の文字通り、将来受け取る保険金が変動する投資商品です。また、「保険」の名がつくとおり、万が一の場合の保障機能もあります。
 
このように、変額保険は、投資と保障を兼ね備えている商品ですが、果たして、資産運用を始める方に向いているのでしょうか。今回は、変額保険について解説します。
廣重啓二郎

執筆者:廣重啓二郎(ひろしげ けいじろう)

佐賀FPオフィス 代表、ファイナンシャルプランナー、一般社団法人日本相続支援士会理事、佐賀県金融広報アドバイザー、DCアドバイザー

立命館大学卒業後、13年間大手小売業の販売業務に従事した後、保険会社に転職。1 年間保険会社に勤務後、保険代理店に6 年間勤務。
その後、コンサルティング料だけで活動している独立系ファイナンシャルプランナーと出会い「本当の意味で顧客本位の仕事ができ、大きな価値が提供できる仕事はこれだ」と思い、独立する。

現在は、日本FP協会佐賀支部の副支部長として、消費者向けのイベントや個別相談などで活動している。また、佐賀県金融広報アドバイザーとして消費者トラブルや金融教育など啓発活動にも従事している。

変額保険って何?

変額保険は、「保障」と「投資」の両方を兼ね備えた保険といわれています。変額保険は、支払う保険料のうちの一部が保障部分に充てられ、運用部分は、国内外の株式や債券などを対象とした投資信託で運用される、という仕組みになっています。
 
変額保険の死亡保障は、保険金の最低保証があるため、基本保険金額を下回ることはありません。ただし、満期になった場合や中途解約した場合には、最低保証はありません。さて、このような特徴のある変額保険ですが、資産運用には最適なのでしょうか。
 

変額保険加入時の注意点について

変額保険は、下記の注意点を踏まえて、検討する必要があります。
 

(1)元本割れをする場合があること

前述のとおり、変額保険は「保障」と「投資」の両方を兼ね備えた保険です。投資信託は、元本保証ではないため、元本割れの可能性があります。変額保険も運用の実績によっては、お金が減ってしまう可能性があります。
 

(2)保障が必要ない場合、効率的な投資には不向きなこと

変額保険には保障機能が備わっているため、保障にかかるコスト(手数料)分が差し引かれ、投資に回ります。よって、保障が必要のない方にとっては、投資には不向きといえるでしょう。
 

(3)投資信託などの投資商品に比べ、運用コストが割高なこと

変額保険は、死亡保障などの費用がかかる分、運用コストが高くなります。また変額保険は、株式相場が下落するなど運用成績が悪くなると、定額保険よりも保険料が割高になる可能性があります。
 

資産運用を始める方に、変額保険以外で最適な金融商品は?

万が一のことに備えた保障を得ることではなく、お金を運用することが目的なのであれば、変額保険のような投資型の保険ではなく、純粋に投資商品を利用するほうが合理的です。
 
資産運用を始める方が、最初に検討したほうがよいのが「投資信託」です。投資信託とは、投資家から集めたお金を大きな資金としてまとめて、運用の専門家が株式や債券などに投資し、運用する金融商品です。
 
以下、投資信託の特徴です。
 

(1)少額から投資が始められる

株式や債券投資は、通常、ある程度まとまった資金が必要になります。しかし投資信託は、1万円(ネット証券の場合、100円)程度から手軽に始めることができます。
 

(2)株式や債券などに分散投資ができる

投資の基本は、資産をいくつかの商品に分けてリスクを分散させる「分散投資」です。投資信託は、小口のお金を集めて大きな資金として運用するため、幅広くさまざまな資産に分散投資することが可能です。
 

(3)透明性が高く、分かりやすい

投資信託は、取引価額である「基準価額」が公表されており、値動きが分かりやすい金融商品です。また、商品選択時に手数料が開示されているため、手数料を考慮した選択ができます。
 

変額保険を選んだほうがよいときとは?

変額保険を選んだほうがよいときは、相続対策をするときです。遺族に残される資産が、銀行預金や投資信託の場合、そこに相続税がかかる場合があります。しかし、保険金は一定額(500万円×法定相続人の数)まで非課税です。
 
また、死亡保険金の基本保険金額が保証されているので、変額保険による運用実績が悪かった場合でも、最低限の保険金が手に入ります。実績がよければ死亡保険金が増加する場合がありますが、状況によっては、増えた死亡保険金も非課税で受け取ることができます。
 

まとめ

金融商品選択の際、原則として「保障」と「投資」は分けて考えることが大切です。「保障」の場合は保険、「投資」の場合は投資信託などの投資商品のように、それぞれの役割に適した商品を選択することが必要です。金融商品は、目的を明確にしたうえで判断するようにしましょう。
 
執筆者:廣重啓二郎
佐賀FPオフィス 代表、ファイナンシャルプランナー、一般社団法人日本相続支援士会理事、佐賀県金融広報アドバイザー、DCアドバイザー

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