【何故?】東京都に近い県は生命保険にあまり加入しない!?
配信日: 2018.10.10 更新日: 2019.01.11
契約傾向に何か特徴はないかと考え、都道府県別の契約数を調べたところ、都道府県によって契約数に差があることがわかりました。どのような状況なのか、今回は個人保険の新契約数について確認してみました。
Text:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/
東京都は1人あたりの新契約数が最も多い
下記のグラフは、生命保険協会の統計資料「生命保険事業概況」から、2017年度の個人保険の新契約数を都道府県別に調べ、新契約数を総人口で割って1人あたりの新契約数を求めたものです。1人あたりの契約数が多い10都道府県を表にしてみました。
資料:生命保険協会「生命保険事業概況(2017年度)」
※総人口は総務省人口推計2017年の2017年10月1日現在の人口
※人口1人あたりの新契約数は筆者が計算
新契約数が最も多い都道府県は東京都(185.6万件)で全国に占める割合は13.2%となっています。人口が多いので新契約数も多くなるのは当然ですが、東京都の人口割合は全国の10.8%なので、人口割合を上回る契約数があります。
1人あたりの新契約数を計算しても東京都が0.135件で最も多く、以下、熊本県(0.133件)、鳥取県(0.130件)と続きます。全国平均が0.111件なので、この3都県は全国平均の1.2倍程度の契約数があることになります。
地域の傾向としては、10都道府県のうち九州の県が5県入っています。九州が多い要因の一つとして、2016年4月に起きた熊本地震で備えの大切さを改めて感じた人が多くいたのかもしれません。
平均保険金額は、愛知県、東京都、大阪府の順に高くなっています。生活費が比較的多くかかりそうな都市部の方が、万一時の保険金額も高めに設定する傾向にありそうです。
東京都に近い県は生命保険にあまり加入しない!?
次の表は先ほどと同じ都道府県別の新契約数で、今度は1人あたりの新契約数が少ない10都道府県を表しています。
資料:生命保険協会「生命保険事業概況(2017年度)」
※総人口は総務省人口推計2017年の2017年10月1日現在の人口
※人口1人あたりの新契約数は筆者が計算
1人あたりの新契約数が最も少ない都道府県は茨城県(0.092件)で、次が埼玉県(0.094件)、その次が神奈川県(0.095件)と、東京都に近い関東地方の県が並んでいます。
東京都(0.135件)と比べるといずれも30%程度少なく、全国平均と比べても15%程度少なくなっています。これらの県の新契約数が少ない理由は定かではありませんが、まだ保険加入する必要のない若年層の割合が高いのかもしれません。
ちなみに新契約数が最も少ないのは鳥取県で、73,426件しかありません。次が島根県の74,475件、その次が高知県の82,399件で、人口の少なさに比例しています。
平均保険金額は少ない方から北海道、高知県、宮崎県となっています。平均保険金額の高い都道府県とは反対に生活費が比較的少なくて済むので、保険金額も抑えられているのかもしれません。
他の人の保険内容がどんなであろうと関係ない話ですが、1人あたりの新契約数に違いがあるということは、地域によって保険に対する考えや保険会社の販売力等に何らかの違いがあるはずです。茨城県の人に保険についていろいろ聞いてみたいところです。
※新契約数の統計は生命保険協会に加盟している生命保険会社のみで、損害保険会社や共済等は含まれていません。
Text:松浦 建二(まつうら けんじ)
CFP®認定者