保険契約にもクーリング・オフできないものがあるって本当? FPが解説

配信日: 2024.02.14

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保険契約にもクーリング・オフできないものがあるって本当? FPが解説
「クーリング・オフ」という言葉、聞いたことがあるでしょう。イメージしやすい例を挙げると、エステや語学教室などのある程度高額な商品やサービスなどについて、一度は契約の申し込みをした場合でも、もう一度検討した結果、一定の期間であれば無条件で契約を解除したりできる制度のことです。
 
ただし、クーリング・オフできない例外もあります。いったいどんな商品で、どんなところに注意すればいいのでしょうか。また、保険契約のクーリング・オフに例外があるというのは本当なのでしょうか。本記事で、一緒に確認していきましょう。
柴沼直美

執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

クーリング・オフ制度について確認

電話勧誘や訪問販売において、商品・サービスを契約した場合に、商品購入の申し込み、契約を行った日(書面を受け取った日)を含め8日以内であれば、その契約を無条件で撤回・解除できる制度です。
 
対象となる商品やサービスによって適応になる法律が異なります。例えば、訪問販売における契約の申し込みの撤回は特定商取引法9条、電話勧誘販売の場合は特定商取引法24条、保険商品については保険業法309条です。
 
本項では、保険商品について例を取り上げたいと思います。
 
ある保険商品の申し込みをすると決めて2月1日に、自宅に来てくれた販売担当者の申込書に記入・押印をしました。しかし販売担当者が帰った後で、今後の保険料支払いのことなどを考えていくにつれて、「払い続けられるか不安」という気持ちが膨らんで「やっぱりやめよう」という結論に至りました。そして「やっぱり契約を撤回する」という意思表示をするのは、2月8日までであれば可能ということです。
 

通信販売は原則対象外

ただし、クーリング・オフにも例外があります。
 
1つ目は、通信販売です。意外に思われるかもしれませんが、そもそもクーリング・オフというのは、営業担当者の勧誘の勢いに負けて「ついつい」契約してしまった、といった状況から消費者を守るというのが趣旨です。ですから、自分で冷静に考える余裕がある通信販売については対象外になります。
 
ただし、「返品不可」という特約がなければ、送料自己負担でクーリング・オフとほぼ同じ扱いは可能です。
 

保険商品でのクーリング・オフ対象外のケース

保険商品については、主に3つのケースがクーリング・オフ適用対象外として挙げられます。
 
1つ目は、自ら保険ショップなどに出向いて契約した場合です。消費者側が「自分の意思で契約」したとみなされるため、基本的にクーリング・オフの対象にはなりません。
 
2つ目は、医師の診断が終わった場合です。この場合も、「保険契約に対する自発的な意思」が認められるため、クーリング・オフの対象外となります。
 
3つ目は、保険期間が1年以内の契約の場合です。理由としては、1年以内の契約がそれほど多額・大きな債務を長期間抱えるというものではないからと考えられます。
 
このように、基本的に保険商品はクーリング・オフ対象ですが、やはり一度契約を締結したものを撤回するというのは面倒ですし、お互いの信頼関係を損なうことになります。
 
「いざとなったらクーリング・オフがあるから」と安易な気持ちで、「取りあえず契約」は控えたほうがよさそうです。
 

出典

消費者庁 特定商取引法
e-GOV 法令検索 保険業法
 
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者

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