亡くなった人の50%が生命保険に加入していた!?
配信日: 2018.10.20 更新日: 2019.01.11
生命保険契約は、新規加入で契約が始まり、被保険者死亡で契約が終了するとは限りません。期間満了により死亡でなくても終了する契約や、解約によって終了する契約もあります。保険契約にどのような動きがあるのか確認してみました。
Text:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/
契約の純増数は新契約数の3分の1程度しかない
生命保険協会では会員会社41社の契約に関する統計をとっています。その中から契約の主な異動について下記にまとめてみました。
用語説明
更新…保険期間満了後も健康状態を問わずに保障を継続させること
復活…失効した契約の効力をもとの状態に戻すこと
転換…加入している契約を、責任準備金等を用いて新しい契約へ切り換えること
満期…保険契約の期間が満了になること
失効…払込猶予期間を過ぎても保険料の払い込みがなく、契約の効力が失われること
資料:生命保険協会「生命保険事業概況(2017年度)」
※人口は総務省人口推計2017年の2017年10月1日現在の人口を使用
※死亡者数は厚生労働省人口動態統計(月報2018年3月)を使用
2017年度が始まる時に生命保険会社41社の保有契約は1億6772万件あり、2017年度に新規で1404万件の契約がありましたが、2017年度末の保有契約は1億7302万件で、530万件しか増えていません。新契約以外にも更新や復活等で契約数は増えますが、解約や満期になることで、契約数は減ります。
上記の表では、新契約・更新・復活・転換による増加・その他の増加で契約数が増え、死亡・満期・転換による減少・解約・失効・その他による減少で契約数が減っています。その結果、新契約が1404万件あっても純増加はその37.7%の530万件しかありません。
1年間に解約は673万件、失効は113万件もある!
保有契約数が減少する要因の一つに死亡があります。被保険者の死亡によって保険契約が終わることから、死亡の件数だけ保険金受取人が多かれ少なかれ保険金を受け取っていると考えられます。
死亡の件数(669,346件)を2017年度の死亡者数(1,350,492人)で割ると49.6%になります。
複数件加入していた人もいるでしょうから正確な数値とはいえませんが、亡くなった人の2人に1人が生命保険に加入していて、その遺族は保険金を受け取ることができたのではないでしょうか。
その他に気になる数値として、解約が673万件もあります。保有契約に対する割合は4%で少ないように感じますが、件数でみるとかなり多い気がします。失効も113万件あり、保有契約に対する割合は0.7%です。解約は何らかの事情(他社の保険に入りなおす等)があって契約者の意思でしますが、失効は望んでいない事情(保険料の払い込みができない等)で起きてしまうことが多いことから、少ないに越したことはないです。
保険の必要性を感じて加入したのに、保険の効力を失ってしまうことは何とも残念な状態です。復活が31万件あるので、一定割合は元の状態に戻せているようですが、失効がより減ることを願いたいものです。
生命保険契約は、加入したら万一の時まで継続していかなければなりません。保険期間が定期なら満期(期間満了)や更新があります。途中でより良い保険へ加入しなおすこともあります。加入後何十年も放置せず、必要な時に役立つ保険であるよう、時々は契約内容を確認しておきましょう。
※契約成績の統計は生命保険協会に加盟している生命保険会社のみで、損害保険会社や共済等は含まれていません。生命保険協会に加盟している保険会社は現在41社ですが、会社数は毎年のように変動しています。
Text:松浦 建二(まつうら けんじ)
CFP認定者