更新日: 2024.03.15 生命保険

父が急逝しましたが、どの会社の生命保険に加入していたのか分かりません。調べる方法はありますか?

父が急逝しましたが、どの会社の生命保険に加入していたのか分かりません。調べる方法はありますか?
あなたは、両親がどの会社の生命保険に加入しているのかを知っていますか?
 
両親が突然死亡した場合など、生命保険の加入状況が全く分からないときに、契約の有無を照会できる制度が「生命保険契約照会制度」です。本記事では、当制度の概要について確認してみたいと思います。
高橋庸夫

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

生命保険契約照会制度とは

この照会制度は、民間生命保険会社42社(2023年9月11日現在)が加盟する「一般社団法人生命保険協会」で行われています。主に死亡した、または認知判断能力が低下した方が保険契約者または被保険者となっている生命保険契約の有無を、加盟する会員会社に一括で確認できます。
 
調査の対象となる方を「照会対象者」、調査を依頼する方を「照会者」といいます。照会者が複数いる場合などには、実際に手続きを行う照会代表者1名を定め、ほかの照会者が照会申込等を照会代表者に委任して、申請を行います。
 
調査の対象となる契約は、照会受付日現在で有効に継続している個人保険契約です。死亡保険金が支払い済みの契約、解約済みまたは失効等の契約は含まれません。
 
照会の結果は、照会代表者に対して回答されます。照会事由が照会対象者の死亡である場合は、死亡日まで最低3年間さかのぼって調査され、会員会社のどの会社に契約があるかが伝えられます。
 
さらにその中で、照会者が死亡保険金受取人となっている契約については「請求可能契約あり」と記載され、保険金を請求できることが回答されます。
 
また当制度の利用は、状況によって「平時利用」と「災害時利用」の2種類に分けられます。次項からは、それぞれの場合における手続きの流れを紹介します。
 

平時利用とは

「平時利用」とは、照会対象者である親族等が死亡した場合、または認知判断能力が低下した場合に、当制度を利用することを指します。
 
認知判断能力の低下については、医師による診断が必要となります。平時利用の利用料は、照会対象者1名につき3000円です。また、死亡の場合の照会者の要件は、以下のように定められています。


(1)照会対象者の法定相続人

(2)照会対象者の遺言執行者

(3)照会対象者の法定相続人の法定代理人
この場合は、法定相続人の成年後見人、親権者、未成年後見人、生命保険に関する代理権を付与された保佐人、補助人を指します。

(4)照会対象者の法定相続人の任意代理人

この場合の「任意代理人」の範囲は、弁護士、司法書士、行政書士に限ります。税理士、相続財産管理人、破産管財人からの照会は受け付けられません。

(5)照会対象者の遺言執行者の任意代理人

この場合の「任意代理人」の範囲は、弁護士、司法書士および行政書士に限ります。税理士、相続財産管理人、破産管財人からの照会は受け付けられません。

実際に手続きを行う照会代表者が、上記の要件に該当していない場合には、この制度を利用することができません。
 

災害時利用とは

災害救助法が適用された地域で被災し、照会対象者が死亡または行方不明となった場合に利用する場合は「災害時利用」といいます。この場合の利用料は無料です。
 
また、災害時利用の場合には、家屋等が流出や焼失などしていて生命保険の契約関係の確認が困難である状況や、緊急を要する状況もあります。
 
そのため、災害時受付専用連絡先(生命保険相談所、0120-001-731)にて、電話での照会を受け付けています。また回答は、申請から原則14営業日以内に郵送でなされることとなっています。
 

まとめ

この制度を利用して生命保険契約があることを確認した後の手続きは、照会者が該当する生命保険会社のコールセンター等を通じて行うことになります。
 
その際にも保険契約の権利関係の内容によっては、すぐに回答を受けることができず、正当な権利者からの連絡を求められる場合がありますので、注意しましょう。
 

出典

一般社団法人生命保険協会 生命保険契約照会制度のご案内
 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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