初めが肝心!色々ある犬のしつけ、その方法と選び方のポイントと費用を考えてみた
配信日: 2018.10.31 更新日: 2019.01.11
『叱るしつけ』や『ほめるしつけ』など、様々なしつけ方法があり、犬と初めて暮らす方にとってはどの方法を選べば良いのかわからないのではないでしょうか。今回は犬のしつけでお悩みの方へ、しつけ選びのポイントについてご紹介します。
Text:行光基(ゆきみつ はじめ)
獣医師 株式会社361°執行役員。
兵庫県出身、日本大学生物資源科学部獣医学科卒。
卒業後、外資系製薬会社にて全国の1000件以上の動物病院やトリミングサロンを訪問。
動物医療業界やトリミング業界をさらに良い業界にするべく2017年に株式会社361°の立ち上げに関わる。
http://www.361corp.com/
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com
『叱るしつけ』と『ほめるしつけ』
「叱ることとほめること、どちらが正しいの?」というご質問をよくいただきます。『叱ること』と『ほめること』、実は目的が異なります。
犬を叱る目的は、“それ(行動)をすると嫌なことが起きる”と教えて、特定の行動を減らすことです。これに対して、ほめる目的は、“それ(行動)をすると良いことが起きる”と教えて、特定の行動を増やすことです。
例えば、カーペットの上で排泄をしたことを叱ると、“カーペットの上で排泄する”という行動が減ります。一方で、ペットシーツの上で排泄をしたことをほめると、“ペットシーツの上で排泄をする”という行動が増えます。
誤解されやすい『ほめる』と『叱る』
『叱る』という行為は、人が人を叱ることとは少し意味が異なります。なぜなら、犬を含めた動物は反省してしょんぼりしているわけではないからです。
なんとなくしょんぼりしたりうつむいたりしていると、怒られたからだと、私たち人間は想像してしまいます。カーペットの上で排泄することも、チャイムが鳴ったら吠えるということも、本人は悪いことだとは夢にも思っていないでしょう。『叱る』というのは『嫌悪刺激を与える』ということであり、怒って反省させることではないのです。
また、『ほめる』と聞いて『ご褒美=おやつ』を与えることだと思っている方も多いと思います。ご褒美となるのはおやつだけでなく、愛犬の喜ぶことなら何でもいいのです。
そして、ほめることの最終的な目標は、文字通り飼い主の方のほめる言葉が愛犬にとってのご褒美になることです。“おやつがないと言うことを聞かなくなる”というお悩みは、この点を誤解されているからかもしれません。
意外と難しい『叱る』こと
「愛犬がトイレを失敗した」「言うことを聞かない」このようなケースの場合はついつい叱ってしまいがちですね。ただ、本当に効果のある『叱り方』というものは実はとてもテクニックが必要です。
叱るときには、叱る“タイミング”や“強さ”がとても重要になり、タイミングを間違えたり、強さが適切でなかったりすれば、愛犬との関係を壊しかねません。
まず、叱る適切なタイミングは現行犯でなければいけません。例えば、留守中にトイレの失敗をした愛犬を、帰ってきてから叱っても何のことかわかりません。また、タイミングによってはトイレをしたことを叱られたと感じてしまうかもしれません。
続いて、叱る強さですが、叱り方が弱すぎれば、声をかけてくれた(ご褒美)と理解するかもしれませんし、強すぎれば飼い主を怖がってしまうかもしれません。また、適切な強さであっても、次第に慣れてくればさらに叱る強度をあげていかなければなりません。
このように、『叱るしつけ』はやり方を間違えれば愛犬との信頼関係を壊しかねない副作用があるしつけ方である一方、『ほめるしつけ』にはこのような副作用がほとんどありません。つまり、しつけ初心者の方にも易しいしつけ方になります。
いつからしつけを行うべき? しつけ教室の費用は?
「いつからしつけを行うべき?」「しつけ教室の費用は?」こちらの質問も多くいただきます。
まず1つ目の質問に対しては、家に迎えた日からしっかりしつけを行うことが大事です。私たちも様々な場所でルールを守って生活しているように、動物たちにもなるべく早めにお家のルールを守ってもらうことが重要です。
しつけ教室に関しては、ペット保険の適応はありませんが、もしご自身で教育できない場合は外部講師に依頼することも1つです。しつけ教室は、近場であれば、愛護センター、ペットショップやトリミングサロン、動物病院など様々な場所で行われています。
インターネットで「お住いの地域 しつけ教室(パピースクール)」で検索すれば、いくつか候補が出てきますので、ぜひ調べてみて下さい。
また、訓練所に行くトレーニングやwebによるしつけレッスンもありますね。
いくつか例を挙げると、
・愛護センターによる教室:無料〜数百円(地域によりやっています)
・しつけ教室:数千円×何回かのコース
・訓練所トレーニング:預かりで1ヶ月数万円、個別派遣:1回数千円〜数万円
・webレッスン:数千円×何回かのコース
などがあります。
大体の場合、個別レッスンや時間が長いものになると金額が高くなります。個人でやっている方でさらに高い金額で教室を開いていることもあります。
このように様々な場所でしつけを学ぶことができますが、高い教室や訓練所に依頼すると決して安い金額ではありません。教室や訓練所に行き、しっかりマナーを守れるようになる子もいれば、教室に行ったけど変わらなかったという話もあります。一方で、飼い主自身でしつけをしてうまくいっているケースもたくさんいます。
しつけにおいて大事なことはただお金をかけることではなく、しつけたら可哀想だからという気持ちを無くし、教室で学んだことを続けること、しっかり犬にも家のルールを守ってもらうという飼い主の強い気持ちが大事です。
動物も今や家族の一員となっています。人と同じようにしっかり動物にもルールをしっかり守ってもらい、一緒に生活していきましょう。
Text:行光 基(ゆきみつ はじめ)
獣医師 株式会社361°執行役員
監修:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者