共済と保険の違いとは? それぞれのメリット・デメリットや向いている人の特徴を解説!
配信日: 2024.03.28 更新日: 2024.06.19
本記事では、共済と保険の違いやそれぞれのメリット・デメリットなどについて解説しています。
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
共済の特徴と種類
「共済とは、加入している組合員がお金を出し合って、さまざまなリスクに備える制度」です。「共済」という言葉自体がお互いを支え合うという意味があります。
共済の特徴
共済に加入するためには、共済の組合員であることが必要です。共済に加入した組合員は定期的にお互いを支えるための資金(掛金)を出し合い、もしものことが起きた際には経済的損失を補てんする資金を受け取れます。
そして、共済の組合員になるための条件は各共済で異なります。例えば、都道府県民共済はその都道府県に住んでいたり、働いていたりすることなどが要件です。また、共済は非営利団体ですので、利益の追求を目的としていません。そのため、余剰金が出た場合には割戻金が受け取れます。
共済は組合員と家族を対象にしているため、組合員以外の人は利用できません。とはいえ、組合に出資することで誰でも会員資格を持てるため、実際にはほとんどの人がなんらかの組合の加入資格を満たすことができます。
共済の種類
一口に共済といっても、いろいろな種類があります。
ここでは代表的な共済として、「こくみん共済 coop 」「JA共済」「都道府県民共済」について見ていきましょう。
【こくみん共済 coop (全労済)】
こくみん共済 coop は「全国労働者共済生活協同組合連合会」のことで、死亡や入院などに備える「こくみん共済」、火災や地震などに備える「住まいる共済」、交通事故に備える「マイカー共済」などがあります。
【JA共済】
JA共済は農業に関係する団体である「農業協同組合(JA)」と「全国共済農業協同組合連合会」が共同でおこなう総合保障です。「ひと・いえ・くるま」といった生活全般になにかがあった時の保障を対象としており、ラインナップは豊富です。
【都道府県民共済】
都道府県民共済は「全国生活協同組合連合会」が実施する共済で、その名のとおり、その県に居住する人、またはその県に職場があり勤務している人が加入できます。死亡・入院などを保障する「生命共済」や、火災・地震などに備える「新型火災共済」などがあります。
保険の特徴と種類
保険とは民間企業である保険会社が提供する、日常生活で起こるさまざまなリスクに対して保障が受けられる商品です。主に生命保険と損害保険があり、生命保険では人の病気やけがなどを、損害保険では車や家などに関する保障を取り扱っています。
保険の特徴
共済は加入するのに居住地などの条件があるのに対し、保険は個人が好きなものに加入できます。とはいえ、加入者がお金を出し合い、もしものことが起きた際には補てんするという点は、共済と同様です。
共済は利益の追求を目的としていませんが、保険会社は利益を上げることを目的とする営利団体です。そのため、時代やニーズに合わせて、さまざまな商品を販売しています。
保険の種類
保険の種類は切り口によってさまざまですが、例えば、生命保険会社が扱っている保険としては、備える対象によって次のようなものがあります。
●死亡保険:死亡した場合に備える
●医療保険:入院や手術などの場合に備える
●がん保険:がんになった場合などに備える
●就業不能保険:病気やけがで働けなくなった場合に備える
●個人年金保険:将来に備える
●学資保険:子どもの教育費に備える
他にも介護保険や女性向けの保険、傷害保険などさまざまな保険があります。また、種類の切り口を変えると、生命保険は「定期保険」「終身保険」「養老保険」の3つに大別することも可能です。
●定期保険:「10年」「60歳まで」など、一定期間内に死亡・高度障害になった場合に保険金が支払われる
●終身保険:死亡・高度障害の保険金が支払われる対象期間が一生涯続く
●養老保険:一定期間内に死亡・高度障害になれば死亡・高度障害保険金が、満期に生存していれば満期保険金が支払われる
共済と保険の違い
共済と保険はともに万が一の場合に備えるという点は同じです。ただ、共済と保険ではいろいろな点が異なります。共済と保険の違いをまずは表で確認しつつ、主なものついて見ていきましょう。
【共済と保険の違い】
図表1
共済 | 保険 | |
---|---|---|
主な監督官庁 | 厚生労働省・農林水産省 | 金融庁 |
運営者 | 協同組合などの共済団体 | 保険会社 |
用語 | ・掛金 ・共済金 ・加入者(共済契約者) ・割戻金 |
・保険料 ・保険金 ・契約者 ・配当金 |
加入者 | 組合員とその家族 | 不特定多数 |
保障の豊富さ | 少ない | 多い |
保険料(掛金) | 安い | 高い |
筆者作成
共済と保険の違い1:用語
共済と保険では、同じような意味を持っているものの、それぞれで違う用語が使われていることが少なくありません。
例えば、共済も保険も毎月一定の金額を支払います。その支払うお金の名称は、共済は「掛金」ですが、保険は「保険料」です。また、万が一の際には共済も保険もお金が支払われます。その支払われるお金の名称は、共済は「共済金」で、保険は「保険金」です。
他にも、共済では「加入者」といいますが保険では「契約者」、共済での「割戻金」が保険では「配当金」というように、共済と保険では使われる用語が違うことがあります。
共済と保険の違い2:加入者の範囲
共済と保険では、加入者の範囲が違います。
まず保険ですが、保険の場合は不特定多数の人が加入の対象者です。つまり、健康面などの条件を満たせば、基本的には希望するどの保険にも加入に対して大きな壁はありません。
一方、共済は特定地域に住む人や、JA(農協)、生協といった特定の職業・組合に所属している人のみがそれぞれの共済に加入できます。とはいえ、地域同士の共済事業は連携していたり、共済に加入すると同時に組合にも所属する仕組みがあったりする場合もあります。そのため、保険よりも大幅に加入者が絞られるというわけでもありません。
共済と保険の違い3:共済は手ごろ、保険は手厚い
共済は保険よりも掛金(保険の場合は保険料)が低く設定されている傾向にあります。そのため、手ごろな価格で身の回りにあるさまざまなリスクに対応可能です。ただ、価格が手ごろな分、保障の内容がシンプルだったり、保障される金額が少なかったりします。そのため、万一の際には最低限の保障で十分な人には向いています。
一方、保険は自身や家族のニーズに合わせて、幅広く、そして時には手厚い保障を選択できます。商品の品ぞろえも豊富なため、1つの保険会社だけで必要な保障をまかなえることも多いでしょう。
共済のメリット
共済と保険は、それぞれメリットとデメリットがあります。まずは共済のメリットについて見ていきましょう。
共済のメリット1:掛金が安い
共済は運営団体が各種組合などで営利を目的としていないこともあり、保険に比べると掛金が安い傾向にあります。保険は万が一に備えるものですので、加入すれば安心はできますが、毎月の支払金額が多いと生活の余裕が少なくなってしまいます。
掛金が安い共済に加入しておけば、無理のない範囲で万が一に備えられるでしょう。
共済のメリット2:持病や病歴があっても入りやすい
掛金が安い共済ですが、共済は年齢や性別、健康状態に関わらず掛金が一定となっているものが多いです。生命保険の場合は、基本的には保険金支払いのリスクが高ければ高いほど、保険料は高くなります。そのため、例えば死亡保険の場合、一般的に年齢が上がるほど死亡率も上がるため、保険料も上がります。
一方、年齢や性別、健康状態に関わらず一定の掛金の共済であれば、持病や病歴があったり、健康でも年齢が高めの人であったりしても入りやすいです。
ちなみに、共済でも保険でも、加入の際には健康告知の義務があります。多くの保険では医師の診断書や健康診断書の提出が必須ですので、健康状態に問題があると保険に加入できない場合があります。
共済でも保障のプランによっては、保険と同様に医師の診断書や健康診断書の提出は必要ですが、保険と比べると提出が必要なプランは少ないです。
共済は保険と比べると、持病や病歴があっても入りやすいといえるでしょう。
共済のメリット3:保障内容がシンプルで分かりやすい
共済は保険に比べると保障内容がシンプルで分かりやすい商品が多いです。
保険を選ぶ際に、保険会社の人からさまざまなプランを説明され、話を聞くだけで疲れてしまったという経験はないでしょうか。「この場合は保険金が出るけど、この場合は出ない」「この特約と付けるととてもお得」などと話を聞いて加入したものの、あとから保険証券を見ると内容が全く分からないということもあるでしょう。
人によっては、気づかないうちに余分な保障内容が付いていて、本来支払う必要のない保険料を負担している可能性もあります。
共済の場合は保障内容がシンプルなため、どのような時に保険金が支払われるのかが分かりやすいです。掛金の設定もシンプルなため、商品選びに迷いたくないという人には向いているでしょう。
共済のデメリット
メリットも大きい共済ですが、デメリットについても確認していきましょう。
共済のデメリット1:商品の種類が少ない
共済は保険に比べて保障内容がシンプルですが、「商品の種類が少ない」というデメリットもあります。
例えば、多くの共済は、入院やけがを保障する医療保障と、死亡した時にお金がもらえる死亡保障のセットです。掛金を上げると保障内容が手厚くなるという点は分かりやすいですが、細かな設定には向いていません。そのため、加入した共済が自分のニーズにちょうど合わない場合、ちょっとしたカスタマイズもしづらいです。
もちろん、近年は共済も商品のラインナップを増やしていますが、それでも保険と比べると見劣りしてしまいます。自分のライフスタイルに合った保障を細かく設定したい人にはあまりおすすめできないでしょう。
共済のデメリット2:あまり手厚い保障を付けられない
共済は掛金が低めのため、手ごろに加入ができますが、その分、万が一の際に受け取れる保険金は少ないです。
例えば、死亡保障は保険であれば数億円規模の保険金を備えることもできますが、共済の場合は1000万円程度が限度です。そのため、万が一の時の保障としては、共済だけでは不十分という人もいます。足りない分を補うため、共済と保険とを組み合わせて加入しているような人も少なくありません。
共済のデメリット3:加入がしづらいケースがある
保険は不特定多数の人が加入できますが、共済は種類や地域によっては簡単に加入できないものもあります。そのため、自身に合った掛金や保障内容の共済が見つかったとしても、場合によっては加入ができません。例えば、農家以外の人がJA共済に加入するのには、出資金の支払いが必要な場合もあります。
共済の出資金は数百円程度からといったように、金額自体はそこまで大きなものではありません。ただ、加入や脱退の際には手続きが必要であり、また時間がかかってしまう面もあります。
共済は、加入自体はいろいろな形でできますが、出資金の手続きなど、保険と比べると時間がかかることがあるという点は認識しておきましょう。
保険のメリット
保険には共済とは別のメリットがあります。主なものを見ていきましょう。
保険のメリット1:商品の種類・プランが多い
保険は保険会社各社がさまざまな商品・プランを提供しています。
人はそれぞれで年齢や家族構成、貯蓄、年収などが異なります。そのため、必要な保障内容というのは同一ではありません。死亡保障を他の人よりも充実させたほうが良い人もいれば、入院や手術費用を厚めに備えたいという人もいるでしょう。中にはより細かい特定の条件へのリスクに備えたいという人もいます。
そして、保険は商品のバリエーションが多彩ですので、いろいろな商品を比較しながら、自分に合った商品・プランに加入できます。
また、必要な保障は年齢の経過によって変わっていきます。子育て中や住宅ローンの返済中は自分になにかあったら困るため保障を厚くし、落ち着きだしたら保障を減らしていくといったことはよくあります。保険の場合、自分が加入したい時に加入したい内容の商品に乗り換えながら最適な保険を選んでいくことも可能です。
保険のメリット2:保障内容が充実している
保険は商品・プランが充実していることはもちろんですが、保障内容も充実しています。死亡保障1つとっても、共済は保障の金額がそれほど高くありませんが、保険は保険料さえ高めに設定すれば、数億円をかけることも不可能ではありません。
また、保険の場合はオプションとして保障内容を追加できる特約が共済よりも豊富です。保険の特約では多岐にわたるニーズにピンポイントで対応するようなものも存在します。
保障を手厚くしたり、自分のライフスタイルに合った保障を細かく設定したりすることができるでしょう。
保険のメリット3:ネット保険はコスパも良い
保険は共済よりも毎月の支出が高くなるのが一般的ですが、近年のネット保険は従来の保険会社と比べると保険料が安く設定されています。
これは、インターネットを主な販売経路とすることで、従来の保険会社と比べると営業や運営にかかるコストが安いためです。
ネット保険は死亡保険であれば死亡保障、医療保険であれば医療保障に特化した保険が多く、保障内容も分かりやすいものが多いです。
共済のようにコストを抑えつつ、かつ保険の良いところも残しているネット保険を検討してみるのもよいでしょう。
保険のデメリット
続いて、保険のデメリットについて見ていきましょう。
保険のデメリット1:保険料が高くなることもある
保険は保障の厚さやカスタマイズ可能な特約が魅力ですが、一般的には共済よりも保険料が高めに設定されています。必要な保障をどんどんと追加していると、気が付かないうちに高額な保険料となってしまうかもしれません。
また、同じ保障内容でも、年齢や健康状態によっては、さらに保険料が高くなってしまうこともあります。
保険を選ぶ際には無駄な特約を付けないようにしたり、定期的に保険を見直したりするようにしましょう。
保険のデメリット2:加入条件が厳しい
保険は共済よりも加入に際して審査項目が多いなど、加入条件が厳しいことが多いです。例えば、持病があったり、5年以内に入院していたりすると加入ができないこともあります。せっかくいい保険を見つけても、健康上の理由により入れないということもないとはいえません。
ただし、保険の中には保険料が割高な代わりに告知事項が少ない引受緩和型商品もあります。
健康に不安がある人は、引受緩和型商品や共済など、幅広い選択肢を持つようにしましょう。
保険のデメリット3:特約や保障の種類が多く複雑になることも
保険のメリットでもある商品・プランの充実は、裏を返せば保障内容が複雑で分かりづらいというデメリットも引き起こします。保障内容が分かりづらければ、自分が認識していない余計な特約に入ってしまうなどのリスクがあります。
保障の種類や対象範囲についてしっかりと把握し、毎月の負担とならない範囲で保険を考えたいところですが、慣れないと大変に感じる人も少なくないでしょう。
共済のほうが保険よりもおすすめな人の特徴
ここまで共済と保険のメリット・デメリットを紹介してきましたが、結局それぞれどのような人が向いているのでしょうか。
まずは共済のほうが保険よりもおすすめな人の特徴について見ていきます。
共済がおすすめな人の特徴1:支出を抑えて最低限の保障があれば良い人
共済は保険よりも毎月の支払いが少なく、その分保障は厚くないものが一般的です。そのため、例えば貯蓄が多くなにかあってもカバーできる人や、他に加入している保険である程度は保障が整っている人は、残りあと少しだけの保障で良い場合もあります。
最低限の保障でいいのに、手厚い保障の保険に加入してしまうと、保険料の払い過ぎにつながります。また、収入が低くて支出をできるだけ抑えたい人や、若くて健康に全く問題がないというような人もいるでしょう。
共済はこのように、支出を抑えて最低限の保障があれば良い人におすすめです。
共済がおすすめな人の特徴2:商品や保障内容をシンプルにしたい人
共済は保険よりも商品や保障内容がシンプルで分かりやすいです。シンプルな分、保障金額や保障内容が少ないデメリットはありますが、その分、訳が分からないままに過剰な特約に加入してしまう心配はありません。
共済は、商品や保障内容をシンプルにしたい人に向いているでしょう。
共済がおすすめな人の特徴3:持病や入院歴のある人
持病や入院歴のある人は保険に加入できないことも少なくありません。保険会社からすると、保険に加入した多くの人が保険金支払いの対象となってしまうと、経営が難しくなってしまったり、保険料を上げざるを得なくなったりするためです。
共済は、保険と比較すると持病や入院歴があっても加入がしやすいです。保険ほどの手厚さは期待できませんが、それでも一定の保障を得られる安心感は生まれるでしょう。
保険のほうが共済よりもおすすめな人の特徴
続いて、保険のほうが共済よりもおすすめな人の特徴について見ていきます。
保険がおすすめな人の特徴1:手厚い保障を備えたい人
毎月の支払金額の多さよりも、保障の充実を優先したい人は共済よりも保険がおすすめです。保険のほうが共済よりも基本的には保障が手厚く設定でき、さまざまなリスクに対応できます。
そのため、貯蓄が少なく万が一の際の備えを厚くしたい人などは、共済よりも保険を選択したほうが無難といえます。
保険がおすすめな人の特徴2:自分に合った保障を細かく設定したい人
保険は一人ひとりのリスクや加入目的に応じて、保障内容を細かく設定できます。例えば、医療保険であれば先進医療特約や生活習慣病特約など、自身の価値観などに応じて、さまざまな特約を付与し、万が一の際には保障が受けられます。
とはいえ、やみくもに特約を付けると、不必要な保障も加えられてしまうかもしれません。
必要な保障を手厚く準備しつつ、無駄がないように見極めましょう。
保険がおすすめな人の特徴3:最新の保障に加入したい人
世間の保険に対するニーズは昔からずっと同じではなく、日々変化しています。そして、世の中に合わせて保険商品も日々進化し、改善されています。
もちろん、共済もいろいろなものを取り入れて、変わっていっていますが、できるだけ最新の優れた保障に加入したい場合、共済よりも保険のほうがおすすめです。
共済と保険の違いまとめ
共済と保険は万が一に備えるという点や、そのために毎月お金を支払うという点は同じです。
ただ、共済は協同組合などの共済団体が、保険は各保険会社が運営しており、両者にはいろいろな点で違いがあります。例えば一般的に、共済のほうが加入者は限定されますが、掛金は安く、その分保障の手厚さは保険には及びません。
一方保険は、保障内容は手厚く、一人ひとりに応じた保障を細かく設定できます。ただ、自由度が高い分、保障内容が分かりづらく、本当に自分に合っているものかどうかを精査するのが難しいという人もいます。
共済と保険のどちらのほうが向いているのかは、本記事で紹介したような内容も大切ですが、個人の考え方も無視できません。本記事を参考にしつつ、自分の価値観も踏まえ、適切な保障を備えましょう。
出典
こくみん共済 coop こくみん共済 coop とは
JA共済
全国生活協同組合連合会 全国生協連について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部