更新日: 2019.01.11 その他保険
人生で必要な保障について 保険に入るか、入らないかの判断基準とは? その3
今回は、主な損害保険の説明と、保険に入るか入らないかの判断基準について、解説しようと思います。
Text:浦上登(うらかみ のぼる)
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表。
ファイナンシャル・プランナーの上位資格であるCFP(日本FP協会認定)を最速で取得。証券外務員第一種(日本証券業協会認定)。
FPとしてのアドバイスの範囲は、住宅購入、子供の教育費などのライフプラン全般、定年後の働き方や年金・資産運用・相続などの老後対策等、幅広い分野をカバーし、これから人生の礎を築いていく若い人とともに、同年代の高齢者層から絶大な信頼を集めている。
2023年7月PHP研究所より「70歳の現役FPが教える60歳からの「働き方」と「お金」の正解」を出版し、好評販売中。
現在、出版を記念して、サマーアロー・コンサルティングHPで無料FP相談を受け付け中。
早稲田大学卒業後、大手重工業メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超え、海外の話題にも明るい。
サマーアロー・コンサルティングHPアドレス:https://briansummer.wixsite.com/summerarrow
不時の事故への備え【損害保険】
病気による生死や、健康リスクとは直接関係のない「不時の事故への備え」は主に損害保険でカバーされます。
損害保険の主なもの、自動車保険、火災保険・地震保険、個人賠償責任保険などは、社会保険と直接関係するものはありません。自分自身の所有物、または行動に応じてリスクが生じるものなので、そういう状況になったときに保険をかけるか、かけないかを決めればよいのです。
具体的には、「自動車を買ったから、自動車保険に加入する」「家を購入したら火災保険・地震保険に加入する」ということです。
ただし、必ずしも加入しなくてはいけないものではありません。では、どういう場合に保険に加入すべきなのか、自動車保険の例をとって考えてみましょう。
(注:自動車に乗る際の現実的なリスクを考えれば、民間の自動車保険に入らずに、車を運転することは考えにくいのですが、ここでは、保険に入るための判断基準を説明するためのわかりやすい例題として、取り上げます)
民間の自動車保険に加入しなくても、自動車の運転者は自賠責保険に強制加入させられます。自賠責保険は対人事故を起こした場合、3000万円までの補償を提供します。国は、被害者保護の観点から最低限度の補償をつけて自動車を運転することを運転者に義務づけているのです。
ただし、万一、自動車事故で歩行者を死亡させた場合、3000万円でおさまるとは限りません。補償額はその人が生きていたらどれだけ稼いだかを計算し、それをもとに決定されるので、若い人、高収入の人ほど高くなります。
また、車で第三者の家に突っ込んだ場合、対物賠償も請求されます。そういう状況も考え、ほとんどの人は自賠責保険だけでなく民間の自動車保険にも加入しているのです。
保険に入るか入らないかの判断基準は一般的に次のとおりです。
(A)発生の頻度が低いが、損害の金額が大きく、自分の財力では支払えないもの。……保険に入る。
(B)発生の頻度が低いが、損害の金額が小さく、自分の財力で支払えるもの。……リスクを自分で保有する。
(注:発生頻度が高いリスクについては、保険会社としても採算が取れないので、一般的には保険は存在しません。)
自動車による対人・対物事故は発生の頻度は少ないものの、いざ発生すると自分の財力ではカバーしきれないほどの高額になるので、保険に入るべきと言えます。……(A)
新居を建てた場合の火災・地震のリスクも発生の頻度は少ないけれど、いざ発生すると自分の財力ではカバーしきれないので、保険に入る必要があります。……(A)
これに対し、入院・手術のリスクは発生の頻度が少なく、発生しても高額療養費制度が存在するので損害の金額を少なく抑えられます。自分の財力でまかなうことができるため、リスクを自己保有することも可能になります。……(B)
個人賠償責任保険について
個人賠償責任保険は、自転車に乗っていて、人にぶつかってケガをさせた、ベランダの植木鉢が落ちて通行人をケガさせたなど、日常生活に起因する賠償責任を補償する保険です。
個人的に賠償責任を請求される頻度は高くはありませんが、いざ発生すると賠償請求額が数千万円などかなりの高額となる可能性があります。自転車による死亡事故も起きています。
保険料も年間1000円から2000円程度で入れるので、これは入っておいたほうがよい保険ということが言えます。
まとめ
3回にわたり、人生に必要な保障(補償)と保険には、どんなものがあるかを見てきました。
加えて、必要な保障の中で、社会保険でカバーされているものについては、社会保険のカバー範囲を確認したうえで民間保険のカバー範囲を決めること。そして、民間保険に入る、入らない、を決める判断基準についても説明しました。
これで、保障と保険に関する大まかなわく組みについてはご理解していただけたのではないかと思います。
次の機会には、各保険の詳細について解説したいと思います。
Text:浦上 登(うらかみ のぼる)
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー