更新日: 2019.01.11 医療保険

医療保険やがん保険の「先進医療特約」に過剰な期待は禁物。正しく理解して、いざというときに役立てよう

医療保険やがん保険の「先進医療特約」に過剰な期待は禁物。正しく理解して、いざというときに役立てよう
民間の医療保険やがん保険に加入し、先進医療特約を付加している人はとても多いです。
 
「先進医療」という言葉の響きから、従来の治療法では治すことのできなかった病気でも治せる、夢の治療法のようなイメージをお持ちかもしれませんが、それは正しい理解ではありません。
 
そこで、今回は先進医療について正しく理解し、先進医療特約を活用するための方法について解説します。
 
横山琢哉

Text:横山琢哉(よこやま たくや)

ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)
フリーランスライター

保険を得意ジャンルとするFP・フリーライター。
代理店時代、医療保険不要論に悩まされた結果、1本も保険を売らずに1年で辞めた経験を持つ。
FPとして、中立公正な立場から保険選びをサポートしています。

先進医療特約とは

先進医療特約とは、先進医療を受けたときにかかる費用のうち、その先進医療固有の費用(技術料といいます)を保険会社が負担してくれる特約です。
 
先進医療の技術料は300万円程度の高額になることもありますが、医療保険やがん保険に先進医療特約を付加していれば、この費用を保険会社が負担してくれます。
 
保険料は月額100円程度と安く、保険の相談に行くとたいてい付加することをすすめられるため、先進医療特約を付加している人はとても多いのです。
 

先進医療に過剰な期待は禁物

ところで、みなさんは先進医療について正しく理解しているでしょうか。
 
先進医療という言葉の響きから、何となく「最先端の医療」「従来の治療法では治らなかった病気が治せる夢の治療法」というイメージをお持ちかもしれません。
 
しかし、実際は厚生労働省が、その医療技術を保険診療の対象とすべきかどうかを判断するため、データを集めている段階のものにすぎません。
 
そのため、先進医療は一定の効果が期待できるというデータが不十分な治療法(単なる診断法も含まれています)であると言えます。
 
また、先進医療として指定されている医療技術は2018年10月1日現在で、わずか92種類しかありません。自由診療として行われている治療法のごく一部です。
 
そして、同じ医療技術でも厚生労働大臣から認められた医療機関で実施されたものでないと先進医療にあたらないので、先進医療を利用できるケースは限られます。
 
そのため、先進医療に過剰な期待は禁物なのです。
 

健康保険の使える標準治療は優れた治療法

がんの治療において標準治療を拒否し、民間療法に走る人は珍しくありません。
 
しかし、あくまで優先すべきは健康保険の使える「標準治療」です。
 
標準治療とは、その時点で治療効果が期待できる最善の治療法です。
 
標準というのはごく平凡という意味ではなく、統計データに基づいて最も効果があるとされる治療のガイドラインです。
 
そのため、がんのように治療法を医師と患者が相談して決めるような病気の場合、まずは標準治療から検討することが大事です。
 
先進医療を検討するのはそのあとです。
 
高額だと治療効果が高いと錯覚しがちですが、実際はそうとも限りません。
 
いざというときは、その効果についての評価を誤らないように注意してください。
 

先進医療特約を活用するには

先進医療は使う機会が乏しいので、先進医療特約を付加するのはムダだという人もいます。
 
しかし、それは先進医療特約を活用する方法を知らないだけです。
 
例えば、あなたががんと診断されたときに偶然、その病院で先進医療が行われている可能性はとても低いです。
 
なぜなら先述のとおり、先進医療はそもそも数が少ないうえ、先進医療を行っている医療機関が限られているからです。
 
がんのように治療が困難な病気の場合、主治医から提案された治療法以外の方法がないかどうか、調べたくなることもあるでしょう。
 
それは、患者としてごく普通の心理です。
 
そんなとき、先進医療として指定されている治療法に有効なものはないかどうか探してみると良いです。可能性は低いですが、もしかしたら見つかるかもしれません。
 
最近は、がんの治療方針を決めるときに「セカンドオピニオン」をとるのが一般的になっています。
 
患者は自身が納得する治療を受ける権利があるので、複数の医療機関から話を聞いてみて最終的にどうするか決めて良いのです。
 
このようなときに、先進医療はその1つになるかもしれません。
 
大事なことなので繰り返しますが、先進医療は一般的に標準治療ほどの効果は期待できません。
 
標準治療よりも良い結果が出るかどうかはケースバイケースです。
 
先進医療はあくまで万が一のときの選択肢ととらえ、過剰に期待しないようにしましょう。
 
Text:横山 琢哉(よこやま たくや)
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)
フリーランスライター
 

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