小学生の子どもに自転車を買う予定です。自転車の「保険」が義務化されたと聞きましたが、どういう「保険」でどのくらいの保険料なのでしょうか?
配信日: 2024.09.26
本記事では、「自転車保険への加入の義務化について」「どのような保険に加入すればよいかについて」を解説します。自転車の購入を検討されている方の参考になると思いますので、ぜひ最後までお読みください。
執筆者:中村将士(なかむら まさし)
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
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「自転車保険への加入が義務化された」とはどういうことか?
自転車保険への加入義務は、法律により規定されたものではありません。
国土交通省の自転車活用推進本部が、自転車活用推進官民連携協議会や各地方公共団体等と連携しながら自転車保険への加入を促進するための活動に取り組んだ結果、自転車事故における被害者救済の観点から、条例により自転車保険への加入を義務化する地方公共団体が増えているということが自転車保険への加入義務化の背景にあります。
つまり、自転車保険への加入義務は地方公共団体の条例により規定されたものであり、各地方公共団体によって義務化されているかどうかや義務化の内容が異なります。令和6年4月1日時点での、地方公共団体の条例の制定状況は図表1のとおりです。
図表1
出典:国土交通省 自転車活用推進官民連携協議会「重点的な取組み」
「自転車保険への加入が義務化された」といっても、義務化されていない地方公共団体があること、「義務化」と「努力義務」があることが図表1から分かります。ちなみに、義務化は「○○しなければならない」という意味であり、努力義務は「○○するよう努めなければならない」という意味です。
「自転車保険への加入が義務化された」と聞くと、「自転車保険は強制加入だ」と思われるかもしれません。しかし、お住まいの地域によっては必ずしもそうではないということがご理解いただけるでしょう。
どのような保険に加入すればよいか?
自転車保険への加入が義務化(努力義務を含む)されている地域にお住まいの方だけでなく、自転車保険への加入を検討している方も、どのような保険に加入したらよいかは悩ましいところではあります。
自転車保険は、「自転車を運転することによって発生した賠償責任を補償するための保険」の俗称であり、必ずしも「自転車保険」という名前の保険に加入する必要はありません。自転車保険としては、以下の保険に加入するとよいでしょう。
・個人賠償責任保険
・TSマーク付帯保険
個人賠償責任保険は、個人・同居の家族が日常生活で他人にけがをさせたり、他人の物を壊したりしたことで生じた法律上の賠償責任を補償する保険です。この保険の特徴は、家族も補償の対象となるのが一般的ということです。
例えば、お父さんが個人賠償責任保険に加入していれば、お母さんやお子さんも補償の対象になるため、お子さんがあらためて個人賠償責任保険に加入する必要はありません。
TSマークとは、自転車安全整備店に勤務する自転車安全整備士が点検確認した安全な自転車に貼るシールのことであり、TSマークが貼られた自転車の事故によって他人に死亡・重度後遺障害を負わせた場合は、点検日から1年以内であれば法律上の賠償責任が補償されます。
個人賠償責任保険の保険料は保険会社やプランによって異なりますが、補償の対象を家族型(本人・配偶者・親族)とした場合、年間2000円から1万5000円程度のようです。
TSマーク付帯保険には保険料という考え方がなく、TSマークを貼る料金(自転車の点検整備を受ける料金)を負担することでマーク付帯保険に加入することになります。
なお、個人賠償責任保険は自動車保険・火災保険・傷害保険の特約に付いていることがあります。また、クレジットカードに個人賠償責任保険の特約が付いていることもあります。個人賠償責任保険への加入を検討される際には、別の保険などに特約として付いていないか、一度確認してみたほうがよいでしょう。
まとめ
「自転車にも保険が義務化された」といわれていますが、お住まいの地域によって自転車保険への対応の仕方が異なります。義務化された地域と義務化されていない地域があり、義務化された地域であっても「義務化」なのか「努力義務」なのかの違いがあります。
自転車保険に加入するのであれば、「個人賠償責任保険」や「TSマーク付帯保険」への加入を検討するとよいでしょう。ただしTSマーク付帯保険については、その保険に加入するだけということはできず、自転車の点検整備を受けなければなりません。
自転車事故に対応した個人賠償責任保険は、多くの保険会社で取り扱いをしています。どの保険がよいかは、現在加入している保険なども加味したうえで検討されるとよいでしょう。その際、個人賠償責任保険が特約として付いていないか確認することをおすすめします。
特約に個人賠償責任保険が付いていれば、あらためて保険に加入する必要はありません。クレジットカードなどにも個人賠償責任保険が付いていることがあります。そちらも合わせて確認してみるとよいでしょう。
「なんとなく保険に加入している」という方は珍しくありません。加入している保険の内容を把握していないために、無駄な出費をしていることもあるかもしれません。自転車保険への加入は、ご自身が加入している保険の内容を確認するよい機会となり得ます。この機会に、保険の見直しを行ってみてはいかがでしょうか。
出典
国土交通省 自転車損害賠償責任保険等への加入促進について
国土交通省 自転車活用推進官民連携協議会 重点的な取組み
公益財団法人 日本交通管理技術協会 TSマークのQ&A
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー