弟の買ったばかりの車が「水没」で台無しになったようです。車両保険に入っていたら新しい車に買い替えられたのでしょうか?
配信日: 2024.10.07
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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車の水没時、保険の補てんはあるの?
近年多発しているゲリラ豪雨や台風による洪水、高潮、竜巻など自然災害が原因となる水害で車が水没した場合、「車両保険」に加入していれば補てんがあります。車両保険とは、自分の車の修理費などを補償する保険です。
損害保険料率算出機構がまとめた「自動車保険の概況 2023年度(2022年度統計)」によると、自家用普通乗用車の場合、車両保険の加入率は63.0%、自家用小型乗用車は52.5%でした。車両保険に加入していなければ、補てんはありません。
実際に車両保険で「台風・竜巻・洪水・高潮」で補てん支払いがされた2022年度の件数は、全体の構成比としては0.8%である1万7234件でした。支払保険金は159億1490万6000円となり、1件あたり「約92万3460円」となっています。
一方、車両保険で件数構成比が全体の75.4%を占める「他車・物・人との衝突、接触、転覆、墜落」の支払件数は162万2399件、支払保険金は5995億1815万円で、1件あたり「約36万9526円」と水害と比べて金額差があります。
水害時の保険適用範囲と価格
車両保険で適用される水害とは、自然災害による水害が原因で車が壊れた場合のみ保険が適用されます。雨程度であれば問題ありませんが、洪水などで冠水してしまうと、電気系統が多く使われている車は大きな影響を受けてしまいます。
車が水のなかに長時間浸かった場合は、電気系統がショートしてしまいます。エンジンまでの浸水で修理不能となるケース、または修理代が保険金額を超えた場合に、車は「全損」扱いとなります。
水没した場合は特に修理箇所が多くなるため、保険金よりも修理費用のほうが高額になるケースが多いのが特徴です。
車両保険で支払われる保険金は、車の損害額から免責金額(自己負担額)を引いた額であり、修理代がすべて支払われるわけではありません。例えば、車両保険金が100万円、免責金額が10万円、修理代金が80万円だった場合は100万円ではなく、修理代金の80万円から免責金額の10万円を引いた70万円が支払われます。
さらに、基本的に車両保険は「保険対象車のその時の価格(時価)」を上限として、修理費の支払いや保険金が支払われます。長期間乗り続けている車の場合、支払われる保険料が少なくなり、修理費が全額補えない可能性もあります。
また、水没で自動車保険を使うと「1等級ダウン事故」として扱われ、次回更新時の等級が1等級下がるとともに保険料が割高になります。
新車に買い替えはできるの?
水没による全損時の新車買い替えに備える場合、車両保険の特約加入の有無が大きく影響します。
新車で購入後に「車両新価保険特約(新価特約)」に加入している場合、初年度登録から5年間は1年目に設定した保険金額が保証され、車両金額の半額以上の修理費になる場合には新車に買い替えることも可能です。
また、5年以上乗っている車が「車両全損修理時特約」に加入している場合、時価相当額を超えた場合の修理費が補てんされ、買い替え時の費用の足しとなります。
ただし、津波の被害により車が水没してしまった場合、車両保険は「保険適用外」ですが、一部の保険会社では地震特約も販売されています。併せて加入しておけば50万円の保険金が支払われるなど、新車買い替えの足しにできます。
水害に備えた保険の選び方
車の任意保険では「車両保険」にも加入して車両に対する補てんとして備え、新車の場合は「車両新価保険特約(新価特約)」、5年以上乗っている場合には「車両全損修理時特約」への加入を検討してみましょう。修理費が高額になりやすい水害への備えに安心です。
また津波などを原因とする水没に備える場合には、車両保険は適用外となるため、『地震・噴火・津波危険「車両全損時一時金」特約』などへの加入を検討しましょう。津波によって水没してしまった場合、一定額の保険金が支払われます。
万が一の水害に備えておこう
毎年どこかでゲリラ豪雨や台風など、水害が発生しています。車が水没すると、高額な修理費に加え、全損として車の買い替えが必要になるケースも多く発生します。水害が心配な場合には水没に備えた車両保険に見直してみてください。
出典
損害保険料率算出機構 自動車保険の概況 2023年度版 (2022年度統計)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー