更新日: 2024.11.27 その他保険

高齢の母のため「母の健康保険証」を預かり、薬をもらいに通院しています。12月2日で健康保険証が廃止されたら、母の「マイナンバーカード」を持って行く必要がありますか? 大事なカードの持ち出しは避けたいです…

高齢の母のため「母の健康保険証」を預かり、薬をもらいに通院しています。12月2日で健康保険証が廃止されたら、母の「マイナンバーカード」を持って行く必要がありますか? 大事なカードの持ち出しは避けたいです…
12月2日以降、健康保険証が新たに発行されなくなり、「マイナ保険証」の利用がより推奨されるようになります。
 
それに伴い、現在、家族など他の人の健康保険証を預かって通院などをしている人の中には「12月からはマイナンバーカードを持って行かなければいけないの? 」と心配している人もいるようです。家族の場合に限らず、施設入居者の保険証を施設管理者が預かっている場合なども同様でしょう。
 
対応方法としては、さまざまなやり方がありますが、方法の複雑さや、用語の難解さなどのため、分かりにくくなっているようです。本記事で、対応方法を説明します。
玉上信明

執筆者:玉上信明(たまがみ のぶあき)

社会保険労務士、健康経営エキスパートアドバイザー

マイナンバーカード保険証利用率はまだまだ低い

2024年12月2日以降、現行の健康保険証の発行は終了し、マイナ保険証の利用がより推奨されますが、そもそもマイナ保険証の利用率は2024年9月時点で13.87%にとどまっています。国家公務員済組合の利用状況も同様で、2024年9月時点で13.58%です。参考まで、次のような声があるようです。
 

・マイナンバーカードの紛失リスクを考えると持ち歩きたくない
・これまでの保険証がそのまま使える。マイナ保険証のメリットを感じない
・マイナ保険証に対応していない病院もあり、これまでの保険証と2枚持ちになっている
・マイナ保険証を使うべき理由が明確ではない

 

健康保険証は有効期限までは使える

現行の健康保険証は12月2日以降も有効期限まで使えます(図表1)。国民健康保険の場合などは、有効期限は保険証の券面に表示されています。協会けんぽの健康保険証ならば2025年12月1日まで使えます。
 
また、オンライン資格確認が導入されていない医療機関・薬局にかかる場合は、引き続き健康保険証が必要です。保険者からは「お手元の保険証は、有効期限まで利用可能です。破棄しないでください」という注意喚起もなされています。
 
ただし、退職・転職・転居などで保険者が変更になった場合は、お手持ちの保険証は使えなくなります。
 
図表1

図表1

デジタル庁 資格確認書(マイナ保険証以外の受診方法)
 

マイナ保険証を使わなくてもさまざまな選択肢がある

健康保険証の有効期限が切れた後は、マイナ保険証を使わないといけないのでしょうか。この場合も、さまざまな選択肢があります。
 

マイナ保険証の登録がなければ「資格確認書」が交付される

マイナンバーカードの健康保険証利用登録をしていない方には、現行の健康保険証の有効期限前に「資格確認書」が交付されます。申請は不要で、無償で交付してもらえます。内容は健康保険証と同様で、使い方も変わりません。
 
なお、資格確認書は12月にすぐ交付されるのではなく、健康保険証の期限前までに、時期を定めて一斉送付されます。交付時期は保険者により異なりますので、保険者のホームページで確認してください。例えば、東京都江東区国民健康保険の場合、資格確認書の一斉発送は2025年7月頃の予定とされています。
 

マイナ保険証の利用が困難な人にも「資格確認書」が交付される

マイナ保険証を持っていても、マイナンバーカードでの受診が困難な方(高齢者、障害者等、顔認証付きカードリーダーをうまく使えない場合)は、申請すれば資格確認書を無償で交付してもらえます。
 

マイナ保険証を登録済みでも解除が可能

すでにマイナ保険証を登録済みでも、やはり使いたくないという場合は、マイナ保険証の利用登録の解除ができます。手続きには1~3ヶ月かかることもあるようですが、くわしくは保険者にご確認ください。なお、登録解除後も、資格確認書がすぐ交付されるわけではないので、当面は現在の健康保険証を使うようにしてください。
 

「資格情報のお知らせ」は「資格確認書」と全く異なる

なお「資格確認書」と似た言葉で「資格情報のお知らせ」というものがあります(図表2)。
 
「資格情報のお知らせ」とは、被保険者等の健康保険の資格情報を簡易に把握できるよう発行されるもので、マイナ保険証登録有無にかかわらず、全被保険者等に交付されます。これは「資格確認書」とは全く異なり、これだけでは医療機関の受診はできないので注意が必要です。
 
図表2

図表2

日本年金機構 資格情報のお知らせの配付について
 

マイナ保険証が利用できない場合の対応方法も複数ある

マイナ保険証を利用する場合も、カードが読み取れない、顔認証と暗証番号の両方ともでエラーになる、といったことが実際に起こっています。また、マイナ保険証に未対応の医療機関等を受診する際にも何らかの対応が必要になるでしょう。こういった場合には、次の対応策が案内されています。
 
・マイナ保険証と「資格情報のお知らせ」を併せて提示
「資格情報のお知らせ」通知の右下または左下の「資格情報のお知らせ」を切り取ってマイナ保険証と併せて提示すれば受診できます。「点線で切り取ってマイナンバーカードと併せて大切に保管してください」などと注意喚起されています(図表2の場合は右下2の部分です)。
  
・マイナ保険証とマイナポータルの資格情報画面(スマートフォン)を提示
スマホを持っていれば、マイナンバーカードと併せて、マイナポータルで資格情報画面を提示すれば受診可能となります。
 
・健康保険証を提示
健康保険証の有効期限内なら、少し面倒でも、健康保険証も併せて携帯し、いざというときに提示するのが簡単で無難と思われます。
 

マイナ保険証の扱いは保険者の情報を確認すること

マイナ保険証の取り扱いについては日々刻々と変わっています。例えば、マイナ保険証の登録解除は10月28日にようやくシステム稼働し、各保険者で今月から案内が出されています。今後も何らかの変更がなされるかもしれません。
 
さらに、「資格確認書」「資格情報のお知らせ」なども、必ずしも全国一斉に送付されるわけではなく、保険者ごとに別々のタイミングで送付されていきます。
 
保険者のホームページ等で情報を確認して対応すること、自身の本当のニーズをよく把握し、ベストな方法を選択されることをおすすめします。
 

出典

厚生労働省 健康保険証は12月2日以降新たに発行されなくなります
厚生労働省 マイナンバーカードの健康保険証利用についてよくある質問
デジタル庁 資格確認書(マイナ保険証以外の受診方法)
協会けんぽ 資格情報のお知らせをお送りいたします。加入者情報(マイナンバーの下4桁)の確認をお願いいたします。
 
執筆者:玉上信明
社会保険労務士、健康経営エキスパートアドバイザー

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集