更新日: 2024.11.30 その他保険

今年12月2日以降に医療機関等を受診する際、マイナ保険証に切り替わるようですが、健康保険証はもう利用できなくなるのですか?

今年12月2日以降に医療機関等を受診する際、マイナ保険証に切り替わるようですが、健康保険証はもう利用できなくなるのですか?
2024(令和6)年12月2日以降、マイナンバーカードを健康保険証として利用することになり、現行の健康保険証が新たに発行されなくなります。マイナ保険証のメリットや健康保険証が廃止された後どうなるのか、医療機関等受診時のマイナ保険証・資格確認書・資格情報の使い方など解説します。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

マイナ保険証を持っている場合

マイナンバーカードを健康保険証として登録することで、医療機関等を受診する際、廃止になる現行の健康保険証代わりに利用できます。マイナ保険証を利用する手順は、次のとおりです。
 
まず受付時に、利用者自らがマイナンバーカードを窓口に設置されたカードリーダーに置き、顔認証または暗証番号(マイナンバーカード申請時に設定した4桁の番号)を入力し、本人確認を行います。
 
もしカードリーダーの操作が難しい場合、本人確認の際に代理人が暗証番号を入力したり、待合所にいる本人の顔とマイナンバーカードの顔写真を、職員が目視によって確認したりすることも可能です。
 
次に、これまでの診療・服薬などの「健診情報」の提供について確認・選択します。これで受付完了です。受付を完了したらカードを取って呼び出しを待ちます。
 
なお、カードリーダーがない医療機関等や故障中などでカードリーダーが使えない場合、マイナ保険証と合わせて「資格情報のお知らせ」などを提示することで受診できます。ただし、「資格情報のお知らせ」のみでは受診できません。
 
「資格情報のお知らせ」は、現在のご自身の資格情報(記号・番号等)が記載された簡易なものです。次で説明する、「資格確認書」とは異なります。
 

マイナ保険証を持っていない場合

マイナ保険証を持っていない方や、まだマイナンバーカードを健康保険証として利用する登録をしていない方でも、医療機関の窓口で「資格確認書」を提示することで、これまでどおり保険診療を受けることができます。ただし、マイナ保険証のメリットはありません。
 
12月2日以降は、マイナンバーカードを保有していない方などには、本人の申請によらず現行の健康保険証の有効期限内に「資格確認書」(有効期限は、4~5年の予定)が順次交付されます。資格確認書のサイズ・材質・形状は、健康保険証と同様(カード型・プラスチック製)です。
 
なお、現行の健康保険証は廃止されますが、12月2日時点で有効な健康保険証がある場合は有効期限まで、最長1年間、引き続き使用できます。2025年12月2日以降は、現行の健康保険証は利用できなくなります。
 
マイナ保険証を作るには、まず、マイナンバーカード(プラスチック製のICチップ付きカード)を市区町村に申請する必要があります。カードには、表面に氏名、住所、生年月日、性別、本人の顔写真等、裏面にマイナンバー等が記載されます。
 
マイナンバーカードが手元に届いたら、健康保険証として利用するための登録が必要です。登録はマイナポータルのほか、医療機関の窓口や薬局にあるカードリーダー、セブン銀行ATMからできます。
 

マイナンバーカードを健康保険証として利用するメリット

マイナ保険証があれば、保険者証類(健康保険被保険者証、国民健康保険被保険者証、高齢受給者証等)、限度額適用認定証、特定疾病療養受療証等の持参が不要となります。
 
医療機関・薬局で受診した際に、マイナンバーカードを利用しご自身の薬の服用履歴や過去の特定健診の情報提供に同意すると、医師や薬剤師がデータを確認できるので、より多くの種類の正確な情報に基づいた診断や、重複する投薬の回避など適切な処方を受けることができるなど、より良い医療を受けることが可能となります。
 
救急現場で搬送中の適切な応急処置や病院の選定などに活用されますので、患者が状態を説明する負担の軽減や搬送先の病院をスムーズに選ぶことに役立ちます。
 
医療機関等で高額な医療費が発生してしまった場合、申請すれば1ヶ月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担限度額を超えた額が払い戻される「高額療養費制度」があります。しかし、後から払い戻されるとはいえ、一時的な支払いは大きな負担になります。
 
「限度額適用認定証」を申請・取得すれば、窓口での支払額を自己負担限度額まで抑えられますが、マイナ保険証を利用すれば、「限度額適用認定証」がなくても、高額療養費制度における限度額を超える支払いが免除されます。
 
また、医療費の領収証を管理・保管しなくても、マイナポータルで医療費通知情報が管理でき、マイナポータルとe-Taxを連携すると、確定申告時の医療費控除申請が簡単になります。仮に、就職・転職、引っ越しをしたとしても、保険証の切り替えは不要で、マイナンバーカードを保険証として使い続けることができます。
 

マイナ保険証の安全性

マイナンバーカードを持ち歩くのが、不安な方もいるのではないでしょうか。マイナンバーカードのIC チップには、税や年金、健診結果や薬剤情報などのプライバシー性の高い個人情報は入っていません。したがって、マイナンバーを知られても個人情報を調べることはできないとされています。
 
マイナンバーカードを紛失・盗難などの場合は、悪用を防ぐため一時利用停止ができます。マイナンバー総合フリーダイヤル(通話料無料0120-95-0178)で24時間365日受付しています。
 
あわせて、警察に遺失届・盗難届を出し、受理番号を控えてください。その後、お住まいの市区町村へ届け出をしてマイナンバーカードの再発行を受けることができます。紛失の際には、以上の手順で進めましょう。
 

出典

厚生労働省 マイナンバーカードの健康保険証利用について
厚生労働省 健康保険証は12月2日以降新たに発行されなくなります
内閣府大臣官房政府広報室 政府広報オンライン マイナ保険証 2024年12月2日マイナ保険証を基本とする仕組みへ。
厚生労働省 マイナンバーカードの健康保険証利用についてよくある質問
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー

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