生命保険への加入を検討しています。高血圧症でも生命保険へ加入できますか? また、デメリットはありますか?
配信日: 2025.04.06


執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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告知の重要性
保険に加入する際に、現在の健康状態や過去の病歴などについて、告知または医師による診査を必要とします。健康な人と健康でない人では死亡リスクなどが異なります。健康状態にかかわらず、同じ保険商品に加入し同じ保険料を支払うと公平性が損なわれてしまいます。
そこで、告知によって契約を引き受けるかどうか、特別条件付きで契約を引き受けるかの判断をして公平性を担保しています。告知義務違反をした場合には保険契約を解除されることや、将来、保険金や給付金が支払われないなどのペナルティが課されます。
告知は正しく申告することが極めて重要です。
特別条件とは
保険会社は、契約者が保険を申し込む時に、被保険者の健康状態、過去の傷病歴などによって、死亡・入院・手術などが発生する可能性があると判断した際、申し込みを断ります。しかし、特別な条件を付けて、申し込みを承諾する場合があります。
特別条件には、保険料の割り増し、保険金の削減、特定部位・指定疾病不担保などがあります。
保険料の割り増し
「保険料の割り増し」は、保険金額・年齢・性別などから設定される通常の保険料に、病気や死亡などが発生するリスクに応じた特別保険料を上乗せし、保険料払込期間すべてにわたって特別保険料を払い込むことを条件に生命保険への申し込みを承諾するものです。保障内容に変更はありません。
保険金の削減
「保険金の削減」は契約日から保険金削減期間(1~5年)内に病気で死亡した場合、または病気で所定の高度障害状態になった場合、保険金額から一定の割合を差し引いて保険金を支払うことを条件に生命保険への申し込みを承諾するものです。
保険料は、特別条件が付かない生命保険と同じです。保険金削減期間を過ぎれば保障は元に戻ります。
特定部位・指定疾病不担保法
主に医療保険を契約した場合に適用される条件です。契約日から一定の期間もしくは保険期間のすべてにわたり、体の特定部位や保険会社が指定した疾病の治療のための入院や手術などを保障の対象外(不担保)とすることを条件に申し込みを承諾します。
ただし、不慮の事故(けが)や所定の感染症および特定部位・指定疾病以外の病気になった場合は、保障の対象です。
無選択型の保険
無選択型の保険では告知や医師による診査は不要です。健康状態にかかわらず、だれでも保険に加入できます。無選択型の保険には、終身保険や個人年金保険などがあります。
無選択型終身保険の場合、契約後2年間など一定期間内に病気により死亡した場合は、すでに払い込んだ保険料相当額しか受け取れないといった制限があります。
一定期間経過後は契約どおりの死亡保険金が受け取れます。災害死亡の場合は、契約当初から契約どおりの死亡保険金が受け取れます。
ただし、通常の終身保険より保険料は割高です。契約できる年齢は40歳から80歳程度、死亡保険金は上限500万円程度と通常の終身保険に比べ制限されています。
引き受け基準緩和型の保険
引き受け基準緩和型の保険は医療保険や死亡保険(定期保険、収入保障保険、終身保険)などさまざまです。
引き受け基準緩和型終身保険の場合、3~5項目程度の告知で加入できます。契約後1年以内の病気による死亡では、死亡保険金額が50%に削減されるのが一般的です(削減されないものもあります)。
災害死亡の場合は、契約した当初より、契約した死亡保険金の全額を受け取れるものと、病気死亡時と同様契約後1年以内は死亡保険金額が50%に削減されるものがあります。
通常の終身保険より保険料は割高です。契約できる年齢は20歳から85歳程度、死亡保険金は上限1500万円や4000万円と高額のものもあります。
まとめ
高血圧など健康面に不安があっても、まずは健康な人が通常加入する保険を申し込みましょう。降圧剤で血圧をコントロールできていれば、健康な方と同じ条件で加入、あるいは条件付きで加入できる場合があります。
加入を断られた場合でも、引き受け基準緩和型や無選択型の保険もあります。ただし、保障内容と保険料のバランスが取れているかよく検討して加入しましょう。
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。