子どもの結婚を機に保険の「契約者変更」したとき、課税関係はどう変わる?

配信日: 2019.03.13 更新日: 2019.06.21

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子どもの結婚を機に保険の「契約者変更」したとき、課税関係はどう変わる?
親が子どものために掛けていた生命保険を、子どもの結婚を機に契約者を子どもに変更し、保険金の受取人を子どもの配偶者に変更するというケースは珍しくありません。
 
この場合、子どもの配偶者が受け取る保険金の課税関係はどうなるのか、ご存知ですか。契約者変更と税金について解説します。
 
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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生命保険の課税関係

生命保険は、保険料負担者、被保険者、受取人の関係で課税関係が決まります。契約者は、保険会社と契約を結び、保険契約上の様々な権利や義務(保険料の支払い義務)を持つ人です。契約者と実際保険料を支払う人は同じとは限りません。しかし、多くは契約者が保険料を負担している場合が多いので、保険料負担者と契約者は同一人として説明します。
 
被保険者は、生命保険の対象となっている人をいい、死亡保険金受取人は被保険者が死亡した時に死亡保険金を受け取る人をいいます。
 
例えば、死亡保険金に係る税金に関して見ると、被保険者が死亡した場合、契約者と被保険者が同じであれば、受け取った死亡保険には相続税が課されます。契約者と被保険者が違う場合、契約者と受取人が同じであれば、所得税(一時所得)・住民税、異なる場合は贈与税が課されます。
 
なお、相続税が課される場合、死亡保険金の受取人が相続人であれば、「500万円×法定相続人の人数」が非課税金額になります。
 

「契約者変更」の課税関係

生命保険は、出口課税です。つまり、保険金等を受け取った時に課税されます。保険期間の途中で契約者(保険料負担者)や受取人を変更しても、その時点で課税されることはありません。
途中で契約者(保険料負担者)に異動があった場合には、変更前と変更後に分けて課税される税金が決まります。
 
例えば、母親が子どものために掛けていた終身保険を、子どもの結婚を機に、契約者を子どもに、死亡保険金の受取人を子どもの配偶者に変更した場合を考えてみましょう。
 

(変更前)

(1)契約者(保険料負担者):母親 (2)被保険者:子ども (3)死亡保険金受取人:母親
 

(変更後)

(1)契約者(保険料負担者):子ども (2)被保険者:子ども (3)死亡保険金受取人:子どもの配偶者
 
死亡保険金にかかる税金について、前契約者(母)の負担した保険料に相当する部分には、保険料負担者(母)と被保険者(子ども)が同一人ではなく、かつ、保険料負担者(母)と受取人(子どもの配偶者)が違うので、贈与税が課されます。
 
新契約者(子ども)の負担した保険料に相当する部分には契約者(子ども)と被保険者(子ども)が同一人なので、相続税が課されます。
 
では、上記の事例において契約者変更後に解約した場合はどうでしょうか。
 
満期保険金や解約返戻金を受け取った時の課税関係は、契約者(保険料負担者)と受取人の関係で決まります。契約者(保険料負担者)と受取人が同じであれば、所得税(一時所得)・住民税、違えば贈与税です。
 
したがって、実際に子どもが負担した保険料に相当する部分は所得税(一時所得)、これ以外は、前契約者である母親から贈与されたものとして、贈与税の課税対象となります。
 
また、上記の事例で、契約者(母)が死亡したことにより名義変更する場合はどうでしょうか。
 
契約者(保険料負担者)と被保険者が異なる契約で、契約者が保険期間中に死亡した場合、契約者死亡時点で、「生命保険契約に関する権利」として評価された金額が相続税の課税対象となります。
 
契約者変更後に前契約者(母)が死亡した場合は、その時点で「生命保険契約に関する権利」として評価された金額のうち、前契約者(母)の負担した保険料に相当する部分が相続税の課税対象となります。
 
なお、「生命保険契約に関する権利」の評価額は、相続開始時に解約するとした場合に受け取れる解約返戻金の金額(配当金や前納保険料など含む。)となります。
 

「契約者変更」は支払調書に記載される

満期保険金、死亡保険金、解約返戻金、祝い金等の一時金は、1回あたりの支払金額が100万円を超える場合には、保険会社は税務署へ支払調書を提出しなければなりません。
 
また、平成30年1月1日からは支払調書に新たに「直前(変更前)の氏名・住所」「契約者変更の回数」「現在の契約者の既払込保険料の額」などが記載されることになりました。
 
なお、追加記載されるのは、平成30年1月1日以降に契約者の変更があった場合です。また、平成30年1月からは「保険契約者の異動に関する調書」も新設されています。
 
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
 

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