子どもが生まれたけれど、子どもも医療保険に入ったほうが良いの?
配信日: 2019.03.22 更新日: 2019.06.26
確かに、保険会社を通じて医療保険に入っておくと、お子さんが病気やケガをした場合の経済的な負担を和らげることはできるでしょう。また、大人になってから入るよりも保険料が安いため、一般的には、それほど家計の負担になるとも思えません。
このようなことから、子どもが生まれたことをきっかけに医療保険に入ろうと思うのは頷けます。しかし、一方で、お母さん方と会話をしていると、「医療費の助成制度があるから、子どもには医療保険なんて必要ない」という意見もあります。
さて、どちらが正しいでしょうか。
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。
2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai
目次
医療費の助成制度があるから、子どもに医療保険は必要ない?
結論を言ってしまうと、どちらも正しいと思います。入りたければ入ればいいですし、必要ないと思うならわざわざ加入しなくてもいいと思います。
ただ、重要なのは、「なぜ、入った方がいいと思うの?」「なぜ、入らない方がいいと思うの?」の答えをご自身で導き出すことです。この答えを導き出すためには、まず、社会保険制度について知っておく必要があります。
お子さんが病気やケガになったときに役立つ「乳幼児・子ども医療費助成制度」
お子さんが病気やケガになった場合、現行の健康保険制度では、6歳(小学校未就学前)までは自己負担の割合が2割(公費負担8割)、小学校入学以降は3割(公費負担7割)となっています。
そして、この自己負担額を補助するために「乳幼児・子ども医療費助成制度」がお住まいの自治体ごとに設けられています。
乳幼児、もしくは子ども医療費助成制度は、都道府県・市町村ごとに多少制度の内容が異なっています。しかし、おおよそ一般的には、お子さんが病気やケガをした場合の入院費用や一部の食事代、通院費用、薬代を各自治体が助成しています。
千葉県の子ども医療費助成制度を例に見ると、各市町村でおおむね、以下のような内容です。
さらに、保育園や幼稚園、小・中・高等学校に通うお子さんが、学校などの管理するもとで病気やケガになった場合、独立行政法人「日本スポーツ振興センター」の災害共済給付の対象となっている医療費については、各自治体の医療費助成制度ではなく、こちらから給付金が支給されるようになっています。
たとえば、学校でケガをし、治療費が5000円以上かかった場合、治療費の4割が支給されます。この4割の内訳は、健康保険制度における自己負担割合分の3割に1割を加算した割合です。
重要なのは、自分なりの「なぜ?」に対する答えを導き出すこと
以上のことから、お子さんが病気やケガになった場合、治療費はほとんどかからないと考えることができるかもしれません。
しかし、必ずしもすべてのご家庭のお子さんの治療費が0円になるというわけではなく、また、入院や通院の日数が長くなると、その分治療費もかかるため、家計にとっては多少とはいえ負担になります。
その他にも、娘の嫁入り道具としてかけておきたいというお母さん方の思いもあったりします。このような理由で、お子さんに民間の医療保険をかけておくという方法を選ぶのも間違いではありません。
繰り返しになりますが、重要なのは、自分なりの「なぜ?」に対する答えを導き出すことです。家計面で考えるのもいいでしょうし、保障面で考えるのもいいと思います。他の理由も、ご家庭によってはあるかもしれません。
今回のお話は、家計面では「収入」・「支出」・「資産」・「負債」の4つの項目のうち、「収入」と「支出」に関わる事柄です。家計簿内では、医療費は支出、助成金は収入に結びつきます。
お金については、知ればそんなに難しくありません。ただ、お金を「なぜ」「何のために」「どのように」活用するかを考えることが難しいんだと思います。
お子さんの医療費について考える際は、各ご家庭なりの基準をしっかり持ったうえで検討するようにしてください。次回は、「児童手当」についてお伝えしていきます。
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)