個人経営の店に就職したら社会保険に入れてもらえず!これって問題ないの?

配信日: 2019.04.20 更新日: 2020.04.07

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個人経営の店に就職したら社会保険に入れてもらえず!これって問題ないの?
正社員やフルタイムのアルバイトとして働いていると、基本的には就業先を通じて社会保険へ加入することとなります。なぜなら、従業員を社会保険に加入させることは、一定の例外を除き雇用主の義務となっているからです。
 
一方で個人経営の小規模な店舗や事務所などにおいては、従業員を社会保険に加入させていないということもあります。正社員やフルタイムのアルバイトでもあっても社会保険に一切加入していないという状況に問題はないのでしょうか。
 
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

社会保険に加入させてもらえないAさん

Aさんは4月から、とある個人経営の飲食店にて正社員として就職しましたが、社会保険に加入させてもらうことができませんでした。疑問に感じたAさんが雇用主でもある店長に社会保険について確認したところ、店長から次のように回答されました。
 
「うちは従業員がAさんしかいないんだから、Aさんは社会保険に入らなくてもいいんだよ」
 
さて、Aさんはこのまま社会保険に加入することはできないのでしょうか。なお、今回の事例における社会保険とは、雇用保険、労災保険、厚生年金、健康保険、介護保険について指すものとします。
 

社会保険の強制適用となる事業所には一定の要件がある

今回の事例における結論については次の通りとなります。
 
Aさんは雇用保険と労災保険に必ず加入しなければならないが、厚生年金や健康保険、介護保険については必ずしも加入できるわけではない。なぜなら、社会保険はその種類によって、強制適用となる事業所と、そうでない事業所が存在しているからです。
 
では、社会保険の種類ごとにそれぞれ確認していきます。また、労働時間など、特に触れていない他の要件については満たしているものとします。
 

雇用保険と労災保険について

小規模な農林水産業であるなど、一定の例外を除き、基本的に一人でも従業員が雇用されている事業所(事務所や工場など)は雇用保険と労災保険の適用事業所となり、雇用主は全従業員を雇用保険と労災保険に加入させなければなりません。
 
つまり、本事例における店長は、Aさんを雇用保険と労災保険へ加入させなければならないのです。これは義務であり、違反する事業主は懲役や罰金など罰則の対象となります。
 
また、適用事業所でなくとも、事業者が任意で労働者を雇用保険や労災保険に加入させることもできます(労働者の同意など一定の条件を満たすことが必要です)。
 

厚生年金、健康保険、介護保険

次の(1)、または(2)に該当する事業所は厚生年金や健康保険、介護保険の適用事業所となり、雇用主は従業員を健康保険などに加入させなければなりません。
 
(1)常時従業員を使用する国や地方公共団体、法人の事業所
(2)常時5人以上の従業員を雇用しており、適用対象となる事業を営んでいる事業所
 
今回、Aさんの就業している事業所は、上記(1)にも(2)にも該当しません。
 
つまり、店長にはAさんを健康保険などへ加入させる義務がないのです。ただ、雇用保険などのように一定の要件を満たすことで、健康保険の適用事業所となり、Aさんを健康保険などへ加入させることもできます。
 

社会保険には適用対象外の事業所があります

正社員やフルタイムのアルバイトとして就業したからといって、必ずしもすべての社会保険に加入できるわけではありません。
 
特に、個人経営の店舗などにおいては加入義務の対象外とされていることがあり、事業所の方針によっては健康保険などへ加入できないこともあります。その場合、自身で国民年金や国民健康保険へ加入することとなるでしょう。
 
就業先を通じて社会保険に加入したいと考えているのであれば、社会保険の適用されている事業所であるか否か、就業前に確認するようにしておきましょう。
 
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
 

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