少額短期保険業者vs保険会社! 違いはどこにあるのか

配信日: 2019.05.01 更新日: 2019.06.13

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少額短期保険業者vs保険会社! 違いはどこにあるのか
少額短期保険(ミニ保険)に注目が集まっています。この制度がスタートした2006年以降、年々、少額短期保険業者の数は増加しており、2019年4月1日現在、100事業者が登録されています。
 
古くからある保険会社と少額短期保険業者はどう違うのか、少額短期保険の特徴について解説します。
 
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

少額短期保険とは

少額短期保険は、保険金額が少額、保険期間1年(第二分野については2年)以内の保険を言います。
 
1人の被保険者について少額短期保険事業者が引き受ける保険金額には、保険区分に応じた上限があります。
 
具体的には、(1)死亡保険300万円以下 (2)医療保険(傷害疾病保険)80万円以下 (3)疾病等を原因とする重度障害保険300万円以下 (4)障害を原因とする特定重度障害保険600万円以下 (5)傷害死亡保険300万円以下(調整規定付き障害死亡保険の場合は600万円以下) (6)損害保険1,000万円以下 (7)低発生率保険1,000万円以下となっています。なお、(1)~(7)の保険の保険金額の合計額は1,000万円以下となっています。
 
かつて、特定の者を相手方として保険類似の商品を販売しても保険業法の規制が及ばず、根拠法が存在しないまま作られた「無認可共済」が多数存在していました。これら「無認可共済」の中には破たんするものもあり、多くの加入者が被害を受けました。
 
このため、2005年5月2日公布による「保険業法等の一部を改正する法律」で少額短期保険の制度が導入され、2006年4月1日から施行され、「無認可共済」は少額短期保険事業者または保険会社に移行するか、廃業するかを選択することになりました。

 

激変緩和措置の内容

「無認可共済」から少額短期保険業者への移行には、保険金額に関して、激変緩和措置が設けられました。2023年3月31日までの間の激変緩和措置として、再保険に付すること等を条件とし、被保険者に対して少額短期保険業者が引き受けることのできる金額を、それぞれ以下のとおり定めています。
 
・2013年3月31日時点既契約の被保険者であった者
それぞれの区分で定められた上限金額の5倍(ただし、医療保険については3倍)
 
・2013年4月1日~2018年3月31日の間で新規契約の被保険者
それぞれの区分で定められた上限金額の3倍(ただし、医療保険については2倍)
 
・2018年4月1日~2023年3月31日の間で新規契約の被保険者
それぞれの区分で定められた上限金額の2倍
 

少額短期保険の特徴

保険会社の商品と違い、少額短期保険は、上記で見たように、保険金額が少額で保険期間が短いことが最大の特徴となっています。
 
監督官庁は金融庁と同じですが、免許制の保険会社と異なり、少額短期保険事業者は登録制です。最低資本金は保険会社が10億円ですが、少額短期保険業者は1,000万円です。新規参入のハードルがかなり下げられていると言えます。実際、さまざまな業種から少額短期保険事業に算入しており、また、生損保兼営が認められているためユニークな商品が多くあります。
 
留意すべきは契約者保護についてです。保険会社には、契約者を保護するために、保険会社が万一、破たんしたときに生命保険契約者保護機構や損害保険契約者保護機構といった公的なセーフティーネットがありますが、少額短期保険事業者にはこのようなセーフティーネットはありません。
 
ただし、営業保証金として「前事業年度の年間収受保険料×5%+1,000万円」の供託が義務付けられています。
 
税制も押さえておきたい違いです。少額短期保険事業者から支払われる保険金・給付金は生命保険会社・損害保険会社から支払われる保険金・給付金に準じます。
 
しかし、契約者が支払う保険料に関しては、少額短期保険の場合、生命保険料控除や地震保険料控除の対象とならないので注意してください。
 

少額短期保険のユニークな商品

少額短期保険には普通の保険商品にはないユニークな商品がたくさんあります。
 
例えば、糖尿病患者でも加入できる医療保険、チケットや結婚式のキャンセル代を補償する保険、弁護士への相談・依頼に発生した費用を補てんする保険、要介護でも加入できる介護保険、単独で加入できる地震補償保険、痴漢冤罪時に電話で弁護士からアドバイスを受けられる保険、器質性認知症と診断されたら一時金を受け取ることができる認知症保険、最先端のがん免疫細胞療法を保障する保険など。
 
各社商品の一覧は、一般社団法人日本少額短期保険協会のホームページ上で確認できます。あなたのニーズのニーズに合った保険を見つけることができるかもしれません。
 
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
 

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