「生命保険」の受取人を「誰にするか」で税金が数百万円変わる? どちらの方が「税額」が低いの?

配信日: 2025.07.29
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「生命保険」の受取人を「誰にするか」で税金が数百万円変わる? どちらの方が「税額」が低いの?
万が一に備えて生命保険に加入している人もいるでしょう。生命保険の受取人を誰にするかによって、受取時に適用される税金の種類が異なり、金額も大きく変わる可能性があります。
 
そこで今回は、生命保険における税務の取り扱い、相続税と贈与税における税額の違いについて解説します。受取人を誰にしたらよいか分からない方や、これまで何となく決めていたという方はぜひ参考にしてください。
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保険金の受け取りにかかる税金について

生命保険では、保険料を支払う契約者、保険の対象となる被保険者、実際に保険金をもらう受取人がいます。一般的な例として、夫・妻・子の3者間において保険金にかかる税金の種類を表1にまとめました。
 
表1

契約者 被保険者 受取人 税金の種類
契約者=被保険者の場合 相続税
契約者=受取人の場合 所得税
すべて異なる場合 贈与税

※筆者作成
 
契約者と被保険者が同一の場合は相続税、契約者と受取人が同一の場合には所得税、すべて異なる場合には贈与税の対象となります。
 

保険金受取時に相続税と贈与税ではどれくらい金額が違うのか?

次に、相続税と贈与税ではかかる税額がどれ程違うのかを見ていきましょう。相続税と贈与税では基礎控除や税率が大きく異なります。ここでは、死亡保険金として3000万円を受け取った場合、相続税と暦年課税における贈与税の金額の違いを検証していきます。
 
なお、今回は相続税・贈与税どちらにおいても生命保険のみを受け取ったとして検証していきますが、本来相続税であればそのほかの相続財産、暦年贈与では年間に受け取ったそのほかの財産と合算して計算される点を覚えておきましょう。
 

相続税における税額

相続税では通常の基礎控除のほかに生命保険の非課税枠が設定されています。国税庁によると、具体的には「500万円×法定相続人の数」を超えた部分に対して課税されます。ただし、受取人が相続人でない場合には生命保険の非課税枠は適用されませんので注意しましょう。
 
契約者・被保険者が夫、受取人が妻である生命保険において法定相続人を3人とした場合、1500万円が非課税限度額となる計算です。
 
さらに、相続財産全体についても「3000万円+600万円×法定相続人の数」が基礎控除として適用されるため、今回のケースでは4800万円までは課税されません。もし死亡保険金3000万円を受け取った場合でも、そのほかに相続する財産がないのであれば税金がかからないことが分かります。
 

贈与税における税額

一方で贈与税の場合、暦年課税における基礎控除額は年間110万円です。契約者を夫、被保険者を妻、受取人を子どもとした場合、3000万円から110万円を引いた2890万円に対して税金がかかります。
 
受取人の子どもがすでに成人していた場合の贈与税額は次の通りです。
 
・贈与税額:2890万円×45%(特例税率)-控除額265万円=1035万5000円
 
贈与税の対象となる保険金を受け取った場合、3000万円のうち約3分の1を税金の支払いにあてなければいけないことが分かります。
 

受取人によってかかる税金は大きく異なる

生命保険は、契約者・被保険者・受取人の3者の関係によって、保険金を受け取った際に相続税・贈与税・所得税のいずれかの課税対象となります。
 
特に、相続税と贈与税では同じ金額の保険金を受け取った場合、贈与税の方がかかる税額が大きくなることが分かりました。これは、相続税には通常の基礎控除である「3000万円+600万円×法定相続人の数」とあわせて、生命保険における非課税枠として「500万円×法定相続人の数」が設けられているためです。
 
万が一に備えて生命保険に加入する場合は、保険金受取時にかかる税金を考慮して受取人を誰にするか慎重に決めるようにしましょう。
 

出典

国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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