無職の息子が「国保」を滞納…放置していたら“60万円”の請求が! “扶養外”の子どもでも親に連絡がくる? その理由と対処法

配信日: 2025.08.05
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無職の息子が「国保」を滞納…放置していたら“60万円”の請求が! “扶養外”の子どもでも親に連絡がくる? その理由と対処法
「息子は一人暮らしなのに」……成人した子どもが無職になり、国民健康保険料を滞納し、突然親に通知が届くというケースがあります。その額は、場合によって数十万円に及ぶこともあるようです。
 
そこで本記事では、“扶養外”の子どもであっても親に連絡が届く理由と、その対処法、そして、未然にトラブルを防ぐためのポイントを解説します。
柘植輝

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

国民健康保険は「個人加入」、でも請求が親に届く理由とは?

まず、国民健康保険(国保)の性質から簡単に確認しましょう。厚生労働省によれば、国保は、他の医療保険制度に加入していない全ての住民を対象とした医療保険制度です。そのため、今回の事例における無職の子どもであっても、基本的には自身の名義で国民健康保険に加入しており、自分で保険料を支払う義務があります。
 
しかし、多くの自治体では、保険料は「世帯主に一括請求」される仕組みをとっています。そのため、住民票上親と同じ世帯である限り、実際は生計が別であったりしたとしても、請求書は親宛に届くことがあるのです。
 
さらに、請求書が親宛に届いたとき、それを放置すると、親の財産が差し押さえられてしまう可能性もあります。
 
なお、仮に世帯主である親が国保に加入していない場合であっても、同じ世帯の中に国保加入者がいれば、国保に加入していない親に保険料の納付義務が発生することになります。
 

無職の子どもにかかる保険料が“60万円”というのはあり得るの?

前述の通り、国保制度は、他の医療保険制度に加入していない全ての住民を対象とした制度です。無職の人にとっては保険料が高いと感じることもあるかもしれません。
 
国保の保険料の金額は、前年の収入に基づいて決められます。そのため、今年は無職であっても、昨年に収入があれば、今年に国保の保険料の支払い義務が生じるのです。
 
では、保険料を滞納した末に、請求される金額が60万円になるということはあり得るのか、考えていきましょう。
 
具体的な金額は、滞納額やその期間などによって異なりますが、参考までに、横浜市在住、前年の年収が400万円で年齢が30歳の方に発生する保険料は、年間でおよそ32万円です。
 
それを踏まえて考えると、60万円という金額は、あり得ない額ではありません。ただ、1年以上もの長期間滞納していた可能性も考えられるため、早急な対応が必要です。
 

親ができる対処法

ここまで見たところで、無職の子どもが国保の保険料を滞納したことで、その請求が突然届いて驚くことのないようにするには、どうしたらよいのか考えていきましょう。
 
一番の対策は、住民票を子どもと分け、世帯を分離することです。それによって、親は子の滞納した国保の保険料から逃れることができます。また、本人の支払いが難しければ、各自治体の減免や減額制度を利用させたり、役所に相談することを勧めたりするのもよいでしょう。
 
とはいえ、成人した子どもに対して、親が直接できることはそう多くはないと考えられるため、発覚したらできるだけ早く対処することが、非常に重要となります。
 
もちろん、どのようにしたらよいか分からない、迷ってしまう、というような場合は、直接役所へ相談するのも手です。
 

まとめ

扶養を外れた無職の子どもであっても、住民票が親と同じ世帯であれば、「世帯主」である親に国保の保険料の請求や滞納通知が届くのは、制度上の仕様です。子どもの保険料滞納が、親の生活にまで影響を及ぼす事態を防ぐためには、「世帯分離」や「減免申請」など、早めの対応がカギとなります。
 
もし、子どもの国保の保険料の請求が来てしまったら、まずは慌てず状況を確認し、必要に応じて役所に相談し、対応していくようにしてください。
 

出典

厚生労働省 国民健康保険制度
 
執筆者 : 柘植輝
行政書士

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