介護保険と医療保険、自己負担はどのくらい?負担を軽減するしくみとは
配信日: 2019.06.07 更新日: 2019.06.13
一方、医療保険の自己負担割合は原則3割ですが、義務教育就業前の子どもは2割負担です。また、70歳以上75歳未満の一般・低所得者も2割です。75歳以上の一般・低所得者は1割です。ただし、70歳以上で、現役並み所得者は3割となっています。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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介護保険の自己負担割合
介護保険の自己負担割合は原則1割です。所得により自己負担割合が変わるのは65歳以上の方(第1号被保険者)です。1~3割負担になる方の所得水準を具体的に確認しておきましょう。
1割負担の方は、本人の合計所得金額が160万円未満の方です。
2割負担の方は、本人の合計所得金額が160万円以上220万円未満の方で、年金収入+その他の合計所得金額の合計額が単身世帯で280万円以上(2人以上世帯で346万円以上)の場合です。
なお、本人の合計所得金額が160万円以上220万円未満の方でも、年金収入+その他の合計所得金額が、単身世帯で280万円未満(2人以上世帯で346万円未満)の場合であれば1割負担です。
3割負担の方は、本人の合計所得金額が220万円以上の方で、年金収入+その他の合計所得金額の合計額が単身世帯で340万円以上(2人以上世帯で463万円以上)の場合です。
なお、本人の合計所得金額が220万円以上であっても、年金収入+その他の合計所得金額の合計額が単身世帯で280万円以上340万円未満(2人以上世帯で346万円以上463万円未満)であれば、2割負担です。
また、年金収入+その他の合計所得金額が、単身世帯で280万円未満(2人以上世帯で346万円未満)の場合であれば1割負担です。
自分の負担割合は、要介護・要支援の認定を受けた方に対し、毎年6~7月頃に市区町村から負担割合が記された負担割合証が交付されますので確認できます。介護サービスを利用する時は、この負担割合証を介護保険被保険者証と一緒にサービス事業者や施設に提出します。
医療保険の「現役並み所得」
70歳以上の方で「現役並み所得」のある方の自己負担割合は3割です。「現役並み所得」とは何か、具体的に所得水準を確認しておきましょう。75歳以上(後期高齢者医療)では、世帯内に課税所得の額が145万円以上の被保険者がいる場合に3割負担となります。
70歳以上74歳の方は、国民健康保険では、世帯内に課税所得の額が145万円以上の被保険者がいる場合、被用者保険(健康保険など)では、標準報酬月額が28万円以上の場合が3割負担になります。
なお、いずれの場合も、世帯の被保険者全員の収入の合計額が520万円以上(世帯の被保険者が1人の場合は383万円以上)でなければ3割負担となりません。
利用者負担を軽減するしくみ
医療保険にも介護保険にも、月々の利用負担額には上限があり、上限を超えて支払った分は払い戻されるしくみがあります。
介護保険には、高額介護サービス費などがあります。高額介護(介護予防)サービス費では、同じ月に利用したサービスの「自己負担の合計金額」が高額になり、1か月あたりの限度額を超えたときに申請により超えた分が「高額介護(介護予防)サービス費」として後から給付されます。
同じ世帯にサービス利用者が複数いる場合は世帯で合算できます。
「高額医療・高額介護合算制度」は、同じ世帯内で、医療保険と介護保険の自己負担の合計金額が年間(毎年8月から翌年7月)の負担限度額を超えた場合、申請により「高額介護合算療養費」として後から給付されます。
医療保険には「高額療養費」があります。高額療養費とは、同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとで払い戻される制度です。
医療費が高額になることが事前にわかっている場合には、「限度額適用認定証」を取得しておくと便利です。限度額適用認定証と保険証をあわせて医療機関の窓口に提示すれば、窓口で支払う1ヶ月分の医療費を一定の金額(自己負担限度額)までとすることができます。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー