【FP解説】「生命保険と医療保険は受け取る時の出口が大事」
配信日: 2019.06.13
保険金や給付金の請求する時に慌てないためにも、保障内容と同時に死亡保険の受取人も一緒に確認するようにしましょう。
執筆者:末次祐治(すえつぐ ゆうじ)
FP事務所 くるみ企画 代表
確定拠出年金相談ねっと認定FP、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP(日本FP協会)、企業年金管理士(確定拠出年金)。
大学卒業後、旅行会社、外資系生命保険会社勤務を経て、ファイナンシャル・プランナー(FP)として独立。
「老後資金の不安をゼロにする」特に中小零細企業の退職金を大企業、公務員並みの2000万円以上にするというミッションのもと、マネーセミナーや個別相談、中小企業に確定拠出年金の導入支援を行っている。金融商品は出口が大事。「一生のお付き合い」がモットー。
FP事務所 くるみ企画
末次ゆうじYouTubeチャンネル
死亡保険の受取人について
生命保険の契約では、死亡時の保険金が発生する場合に受取人を少なくとも1人以上指定しなければいけません。この受取人を指定することで、生命保険の死亡保険金は「受取人固有の財産」となり相続財産から外れ、遺産の分割協議からも外れます。
ですから、生命保険の受取人の指定をすることは、ある意味、保険金というお金を相続させる旨の「遺言」と同じ効果があります。生命保険を活用して相続対策を行う場合が多いのは、死亡時の保険金が受取人固有の財産になるためです。
また、受取人の指定は複数でも可能です。例えば、妻50%、実母50%とするなど、合計の割合が100%になるように指定すれば、保険金の割合分が保険会社から支払われます。
しかしこの複数の受取人指定ですが、保険会社によっても変わりますが、通常は、代表者の口座に保険金を100%振り込むケースが多いので注意が必要です。こうなると、代表者と話し合って仲良く分けてくださいということになりますね。
もし仲が悪かったら事がスムーズにいかないかもしれません。その場合、最初から個別に契約して受取人の指定割合を100%にしておく方が、本来の「受取人固有の財産」ということになるかもしれません。
例えば、死亡保険1000万円の保険契約で、受取人が2名の時は50%の割合という指定ではなく、死亡保険500万円の保険契約をそれぞれ契約して受取人の指定割合を100%とするということです。
医療保険、ガン保険の受取人について
医療保険やガン保険の受取人についてですが、この場合「保険金ではなく給付金」になるので受取人は本人です。正式には「被保険者」ということになります。契約者が親で、被保険者が未成年の子供の場合は、契約者である親が受け取ります。
ここからが重要になりますが、本人(被保険者)が死亡した後の未請求分の給付金は誰が請求するのでしょうか?
受取人である被保険者が亡くなっている場合は、妻、子(20歳以上)、本人の両親、兄弟姉妹などの法定相続人が請求することになります。医療保険・ガン保険の場合(死亡保険金がない場合)は、あくまでも給付金なので受取人指定という概念はありません。
例えば、独身時代に生命保険に加入して、保険金受取人は母親。もし結婚後も受取人の変更をしなかったとしても、入院給付金やガン診断給付金、通院給付金などの給付金の請求は、母親が行うことはできません。
被保険者(息子)が亡くなった場合、配偶者がこれらの請求を行うことになります。配偶者の給付金請求がスムーズにいけば問題はないのですが、仮に別居していたり離婚前だったりすると、請求に時間がかかるなど大変なことが多いので注意が必要です。
もちろん、住所変更などの環境の変化があったり、各種変更に関しての相談があれば、保険担当者に連絡してみてください。担当者がいない場合は、保険会社か契約者専用のサービスセンターにお問い合わせください。
すぐに連絡でき、かつアドバイスしてくれる担当者は重要!
筆者が子供の頃、米は米屋さん、醤油や味噌は醤油屋さん、お酒は酒屋さんに電話すれば顔なじみのお店の方がすぐに配達してくれていたので、在庫がなくなりそうな場合は、電話1本ですぐに物が届くという安心感があったような気がします。
保険商品も、すぐに駆け付けるとまではいかなくても、契約者やご家族の方に何かあった場合にはすぐに連絡ができるように、日ごろからコミュニケーションを取るようにしておく良いでしょう。
いくらSNSが発達してきていると言っても、重要で緊急のことならば電話される方が多いかと思います。担当者の名前もしっかりと覚えておきたいですね。
まずは、困ったらこの人(会社)に連絡できるように、携帯電話の電話帳登録やメモをしておくと安心ですね。加入する保険は、どこで、誰から加入しても同じ値段(保険料)なので、ぜひ担当者を付けましょう。
さまざまなシーンで迅速に動いてくれる方にお願いした方がより安心だと思います。
執筆者:末次祐治(すえつぐ ゆうじ)
FP事務所 くるみ企画 代表